奇劇
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靴音を鳴らしながらケルヴィン男爵に近づいていったシエルは、コートの中に隠し持っていた銃を彼の頭に突きつけた。
それと同時にジョーカーが仕込み杖の刃をシエルの首筋に、セバスチャンが先程受け止めたナイフをジョーカーの首筋に、ナマエは鵺から渡されていた剣の先を背後からジョーカーの心臓の位置に当てた。
「は……伯爵?」
「!!」
「ジョーカー!!伯爵にそんな危ない物を向けるのはやめなさい!!」
「しかし――」
「僕の言うことが聞けないの!?」
「くっ……」
ジョーカーがケルヴィン男爵の言う事に従い剣先を降ろした所で、セバスチャンは首筋にナイフを当てたままジョーカーを拘束した。
「ケルヴィン男爵、誘拐した子供達はどこだ」
「なーんだ」
「!?」
銃を付きつけられているというのに、ケルヴィン男爵は嬉しそうに笑いながらシエルと向かい合った。
「あの子達に会いたかったのか。地下にいるからすぐ案内するよ。それに、地下には君に見せたいものがあるんだ」
「?」
「君と並んで歩いているなんて、夢みたいだ」
「無駄口をたたくな。さっさと子供の所へ案内しろ」
2人の少女に車椅子を押されながら進むケルヴィン男爵を先頭に、シエル達は屋敷の地下にある廊下を歩いていた。
歩きながらも、ケルヴィン男爵とジョーカーにはいつでも攻撃できるようにしている3人。
「う、うん。ごめんね。ふふっ、でも嬉しくて。《あの日》から僕はずっと後悔してた。何故僕は、あの日あの場所……君の傍にいられなかったんだろうって」
「あの日?僕の……傍?一体なんの話だ」
1枚の重厚な扉の前で止まると、ケルヴィン男爵の車椅子を押していた2人の少女がその扉を開き始めた。
「どれだけ後悔しても時間は戻らない。でも僕は気付いたんだ。戻らないなら、もう一度やり直せばいいって」
扉の向こうの光景にいち早く気付いたのはセバスチャンだった。
「ほら見て!準備に3年もかかってしまった。さあやり直そう、ファントムハイヴ伯爵。3年前のあの日を!!」
全ては5年前に始まった悲劇。
シエルの父親とシエルに近づくため、ケルヴィン男爵は全身を整形しようとした。それがどんな結果をもたらそうとも、彼は止めることをしなかった。
そして、そんなケルヴィン男爵の元に舞い込んできたのがシエルが生け贄にされ行われる黒魔術の儀式の話だった。
「あの時の痛みは今でも忘れられない。君に逢うために全てを捨てた僕だけが君に逢えない。なんで運命はこんなに僕らを引き離すのだろうって……そして《あの日》、彼らは皆いなくなってしまった。一人残らず。君だろう?伯爵。彼らを殺してあげたのは。ああ、なんて羨ましい。冷たい月に看取られて逝く美しい最後。お願いだよ!僕も仲間に入れておくれ!あの日と同じだよ。見て!ちゃんと準備したんだ。この儀式の間も、子羊達も。そして最後は伯爵、君だよ!」
行きたくても行けなかったケルヴィン男爵は、今度こそシエルが生け贄になる儀式を行おうとしていた。
儀式の間には檻に入れたれた子供、血塗れで倒れて息を引き取っている子供が複数見受けられた。
(許せない……なんて身勝手な…………許せない!!)
ナマエの瞳が琥珀色へと変わっていく。
「本当はちゃんと迎えに行き――」
それと同時に、辺りに乾いた音が響き渡った。
「フッ……フーッ、フー」
「お父様ァァッ」
拘束されていた右手をセバスチャンに掴まれたまま、ジョーカーは走りだした。
その事によってもぎ取れた右手。
走りながらも、ジョーカーは手首の関節に仕込まれている刃を抜き取りシエルに向かって行く。
「うおおおおおおッ」
次の瞬間、先に動いたのはセバスチャンだった。
「え?」
「主人の邪魔をしないで頂けますか?」
左手で切り落としたジョーカーの腕を持ち、右手には先程まで拘束に使っていたナイフが血塗れで握られていた。
腕を切り落とされたジョーカーはそのまま床に倒れ落ちた。
「ぐあああッ、あ゛ああッ」
あまりの痛みに床に転がり叫ぶジョーカー。
それと同時にジョーカーが仕込み杖の刃をシエルの首筋に、セバスチャンが先程受け止めたナイフをジョーカーの首筋に、ナマエは鵺から渡されていた剣の先を背後からジョーカーの心臓の位置に当てた。
「は……伯爵?」
「!!」
「ジョーカー!!伯爵にそんな危ない物を向けるのはやめなさい!!」
「しかし――」
「僕の言うことが聞けないの!?」
「くっ……」
ジョーカーがケルヴィン男爵の言う事に従い剣先を降ろした所で、セバスチャンは首筋にナイフを当てたままジョーカーを拘束した。
「ケルヴィン男爵、誘拐した子供達はどこだ」
「なーんだ」
「!?」
銃を付きつけられているというのに、ケルヴィン男爵は嬉しそうに笑いながらシエルと向かい合った。
「あの子達に会いたかったのか。地下にいるからすぐ案内するよ。それに、地下には君に見せたいものがあるんだ」
「?」
「君と並んで歩いているなんて、夢みたいだ」
「無駄口をたたくな。さっさと子供の所へ案内しろ」
2人の少女に車椅子を押されながら進むケルヴィン男爵を先頭に、シエル達は屋敷の地下にある廊下を歩いていた。
歩きながらも、ケルヴィン男爵とジョーカーにはいつでも攻撃できるようにしている3人。
「う、うん。ごめんね。ふふっ、でも嬉しくて。《あの日》から僕はずっと後悔してた。何故僕は、あの日あの場所……君の傍にいられなかったんだろうって」
「あの日?僕の……傍?一体なんの話だ」
1枚の重厚な扉の前で止まると、ケルヴィン男爵の車椅子を押していた2人の少女がその扉を開き始めた。
「どれだけ後悔しても時間は戻らない。でも僕は気付いたんだ。戻らないなら、もう一度やり直せばいいって」
扉の向こうの光景にいち早く気付いたのはセバスチャンだった。
「ほら見て!準備に3年もかかってしまった。さあやり直そう、ファントムハイヴ伯爵。3年前のあの日を!!」
全ては5年前に始まった悲劇。
シエルの父親とシエルに近づくため、ケルヴィン男爵は全身を整形しようとした。それがどんな結果をもたらそうとも、彼は止めることをしなかった。
そして、そんなケルヴィン男爵の元に舞い込んできたのがシエルが生け贄にされ行われる黒魔術の儀式の話だった。
「あの時の痛みは今でも忘れられない。君に逢うために全てを捨てた僕だけが君に逢えない。なんで運命はこんなに僕らを引き離すのだろうって……そして《あの日》、彼らは皆いなくなってしまった。一人残らず。君だろう?伯爵。彼らを殺してあげたのは。ああ、なんて羨ましい。冷たい月に看取られて逝く美しい最後。お願いだよ!僕も仲間に入れておくれ!あの日と同じだよ。見て!ちゃんと準備したんだ。この儀式の間も、子羊達も。そして最後は伯爵、君だよ!」
行きたくても行けなかったケルヴィン男爵は、今度こそシエルが生け贄になる儀式を行おうとしていた。
儀式の間には檻に入れたれた子供、血塗れで倒れて息を引き取っている子供が複数見受けられた。
(許せない……なんて身勝手な…………許せない!!)
ナマエの瞳が琥珀色へと変わっていく。
「本当はちゃんと迎えに行き――」
それと同時に、辺りに乾いた音が響き渡った。
「フッ……フーッ、フー」
「お父様ァァッ」
拘束されていた右手をセバスチャンに掴まれたまま、ジョーカーは走りだした。
その事によってもぎ取れた右手。
走りながらも、ジョーカーは手首の関節に仕込まれている刃を抜き取りシエルに向かって行く。
「うおおおおおおッ」
次の瞬間、先に動いたのはセバスチャンだった。
「え?」
「主人の邪魔をしないで頂けますか?」
左手で切り落としたジョーカーの腕を持ち、右手には先程まで拘束に使っていたナイフが血塗れで握られていた。
腕を切り落とされたジョーカーはそのまま床に倒れ落ちた。
「ぐあああッ、あ゛ああッ」
あまりの痛みに床に転がり叫ぶジョーカー。