奇劇
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遠くからキイキイという音が聞こえると、ジョーカーはそのドアを開いた。
「きっ来てくれたんだね、ファントムハイヴ伯爵。ああ……夢みたいだ!君がこんな近くにいるなんて!」
現れたのは2人の少女に押された車椅子に乗り、左目と口以外の頭部を包帯で巻いた男だった。
「こんな姿で君に会うのは恥ずかしいんだけど……」
「……貴殿がケルヴィン男爵か?」
「そうだよ。改まるとテレるな」
顔を赤くさせながらもじもじするケルヴィン男爵。
(コイツが……コイツのせいで……)
「まだ駄目だ、ナマエ」
小さな声で制され、ナマエは怒りをなんとか押し止めた。
「君のためにごちそうを用意したんだ。ワインは1875年物。君が生まれた年のワインだよ。ちょっとキザだったかな」
運んできたワインをグラスに注ぎ、ジョーカーはシエルの前に置いた。
「……」
「毒は入っていないようです」
セバスチャンはそのワインを一口飲み、シエルに安全だと報告する。
「フン。鼠に出された料理などに手をつける気などない。毒味は不要だ――それよりあの子供達……」
「警察に上がってきている情報以外にも被害者がいると思ってよさそうですね」
「しかしあの様子は……」
「そうだっ、ただ食事をするだけじゃ伯爵も退屈だよね。ジョーカー、《アレ》をやっておくれ」
「え――し、しかし……」
「いいからやってよ」
ケルヴィンの言葉に、明らかに動揺するジョーカー。
「…………はい……」
やがて諦めたジョーカーは、一度目を伏せるとまた元の不敵な顔に戻った。
「?」
ジョーカーが杖を回し床にその先を着けると、目の前のカーテンが開き、多数の子供達が姿を現した。
「ようこそおこしやした、ファントムハイヴ伯爵。今宵は特別に、貴方をめくるめく歓喜の世界へとお連れ致しますえ」
現れた子供達は皆衣装を身にまとい、仮面を付けていた。
そんな光景に一人はしゃぐケルヴィン男爵。
「まずは綱渡りにございます。命綱などは一切なし。正真正銘の――」
「な……」
綱渡りをしている子供は一歩踏み出しただけで落下し、ステージに叩きつけられてその身を崩しながら即死した。
それを知っていたのか、ジョーカーは下を向きながら悔しそうに歯を食いしばっている。
「!?」
シエルが驚きを隠せずにいると、隣のケルヴィン男爵が拍手をしていた。
「あはははははは」
「お次は猛獣使い」
ジョーカーが進行していく後ろで、他の子供が死体を引き摺りながら片付け、別の子供がライオンの入った檻を運んできた。
「獰猛なライオンを見事――」
ライオンの前に立たされた子供は、そのまま何もせずにライオンに噛み殺された。
「あははははははははははははは」
「さあ、お次はナイフ投げ!磔の少女の運命いやいかに!?」
何も考えていないのか、子供達は黙々と演技の準備をしている。
「止めろセバスチャン!!ナマエ!!!」
磔にされた少女に向かって1本のナイフが投げられた瞬間、シエルは2人に命じた。
ナマエがナイフを影で止め、それを左での指で挟み取るセバスチャン。
「コーンウォール地方で行方不明になっていたエラリー・ニクソン……間違いありませんね。流石は坊っちゃん」
少女の仮面を取り去ると、警察から持って来た写真と写しとった書類を見ながらセバスチャンは確認した。
その様子を見て、ジョーカーはホッとしていた。
「誘拐した子供を《そのまま》出演させる。成程、サーカスにはこの様な楽しみ方もあるのですね」
「ごっごめん、コレも気に入らなかった!?ジョーカー!すぐに片付けて」
一人慌てふためくケルヴィン男爵。
「もうやめた。家畜にも劣るクズと同じテーブルにつく趣味はない」
「えっえっどうしたの?」
「女王陛下への報告はこれだけでいい。低俗で、醜悪で、変態な――最低の下衆は番犬(この僕)が始末したと!」
「きっ来てくれたんだね、ファントムハイヴ伯爵。ああ……夢みたいだ!君がこんな近くにいるなんて!」
現れたのは2人の少女に押された車椅子に乗り、左目と口以外の頭部を包帯で巻いた男だった。
「こんな姿で君に会うのは恥ずかしいんだけど……」
「……貴殿がケルヴィン男爵か?」
「そうだよ。改まるとテレるな」
顔を赤くさせながらもじもじするケルヴィン男爵。
(コイツが……コイツのせいで……)
「まだ駄目だ、ナマエ」
小さな声で制され、ナマエは怒りをなんとか押し止めた。
「君のためにごちそうを用意したんだ。ワインは1875年物。君が生まれた年のワインだよ。ちょっとキザだったかな」
運んできたワインをグラスに注ぎ、ジョーカーはシエルの前に置いた。
「……」
「毒は入っていないようです」
セバスチャンはそのワインを一口飲み、シエルに安全だと報告する。
「フン。鼠に出された料理などに手をつける気などない。毒味は不要だ――それよりあの子供達……」
「警察に上がってきている情報以外にも被害者がいると思ってよさそうですね」
「しかしあの様子は……」
「そうだっ、ただ食事をするだけじゃ伯爵も退屈だよね。ジョーカー、《アレ》をやっておくれ」
「え――し、しかし……」
「いいからやってよ」
ケルヴィンの言葉に、明らかに動揺するジョーカー。
「…………はい……」
やがて諦めたジョーカーは、一度目を伏せるとまた元の不敵な顔に戻った。
「?」
ジョーカーが杖を回し床にその先を着けると、目の前のカーテンが開き、多数の子供達が姿を現した。
「ようこそおこしやした、ファントムハイヴ伯爵。今宵は特別に、貴方をめくるめく歓喜の世界へとお連れ致しますえ」
現れた子供達は皆衣装を身にまとい、仮面を付けていた。
そんな光景に一人はしゃぐケルヴィン男爵。
「まずは綱渡りにございます。命綱などは一切なし。正真正銘の――」
「な……」
綱渡りをしている子供は一歩踏み出しただけで落下し、ステージに叩きつけられてその身を崩しながら即死した。
それを知っていたのか、ジョーカーは下を向きながら悔しそうに歯を食いしばっている。
「!?」
シエルが驚きを隠せずにいると、隣のケルヴィン男爵が拍手をしていた。
「あはははははは」
「お次は猛獣使い」
ジョーカーが進行していく後ろで、他の子供が死体を引き摺りながら片付け、別の子供がライオンの入った檻を運んできた。
「獰猛なライオンを見事――」
ライオンの前に立たされた子供は、そのまま何もせずにライオンに噛み殺された。
「あははははははははははははは」
「さあ、お次はナイフ投げ!磔の少女の運命いやいかに!?」
何も考えていないのか、子供達は黙々と演技の準備をしている。
「止めろセバスチャン!!ナマエ!!!」
磔にされた少女に向かって1本のナイフが投げられた瞬間、シエルは2人に命じた。
ナマエがナイフを影で止め、それを左での指で挟み取るセバスチャン。
「コーンウォール地方で行方不明になっていたエラリー・ニクソン……間違いありませんね。流石は坊っちゃん」
少女の仮面を取り去ると、警察から持って来た写真と写しとった書類を見ながらセバスチャンは確認した。
その様子を見て、ジョーカーはホッとしていた。
「誘拐した子供を《そのまま》出演させる。成程、サーカスにはこの様な楽しみ方もあるのですね」
「ごっごめん、コレも気に入らなかった!?ジョーカー!すぐに片付けて」
一人慌てふためくケルヴィン男爵。
「もうやめた。家畜にも劣るクズと同じテーブルにつく趣味はない」
「えっえっどうしたの?」
「女王陛下への報告はこれだけでいい。低俗で、醜悪で、変態な――最低の下衆は番犬(この僕)が始末したと!」