奇劇
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「さて……私はシエルにお粥作るかね~。アグニさんのは辛そうだし」
「ナマエ……くれぐれも――《くれぐれも》注意して作って下さいね?」
「なにそれ?嫌味のつもり??」
「さぁ……どうでしょう?」
あくまでもニッコリと笑ってみせるセバスチャンだが、その目は笑っていなかった。
「それでお粥をお作りになるのですか?」
キッチンでアグニと作業をしていると、彼は不思議そうにナマエが準備した調理器具を眺めていた。
「ん?あぁ、コレね。私の故郷じゃ当たり前に使われてる物なんだよ。前にタナカさんに用意して貰ったんだ」
「随分と変わった器ですね……」
「まぁ、焼き物だからね~。でも、保温性もいいし何よりご飯の美味しさが全く違うから」
「勉強になります!」
キラキラと目を輝かせながら手元を覗き込んでくるアグニ。
そんな彼の視線を気にする事無く、ナマエは調理を開始した。
「ほら、コレ食べてアグニさんの薬湯飲んだら寝な」
そう言いながら、ナマエは先程作り上げたお粥の乗ったトレイをサイドテーブルに置いた。
「コレは……?」
「日本式のお粥と、私が風邪引いてた時によく食べさせられてた卵味噌だよ」
「聞いたこともない料理だな……」
「味はタナカさんの保証付きだよ」
「……余計に食べたくなくなった」
レモネードに味の素を入れたタナカを思い出し、シエルは苦い顔をした。
「そんな顔せんで、食べろッ!ほら、黙って口開ける!!」
ナマエに半ば無理矢理口を開けられ、卵味噌の乗ったお粥を口の中に入れられるシエル。
恐る恐る咀嚼すると、小さく呟いた。
「……美味い」
「でしょ?熱出てる時は水分と塩分の補給が大事だからね。食べられるだけ食べたら、薬湯飲んで大人しく寝ときなさい」
その後、黙々とナマエが作ったお粥と卵味噌を食べ終えるとシエルはアグニの作った薬湯を飲み干した。
「よし、これで一安心だな!フー!!」
「はいっ」
体温計を口に入れられ、剥れるシエル。
「僕は忙しいと言ってるのに……ゴホッ」
「《色々》と分かってきた事ですし、彼らの言う通り今日位はお休みになられてもよろしいのでは?」
セバスチャンにベッドへ寝かせられても、まだ文句を言うシエル。
そんなシエルを横にならせると、セバスチャンはシエルの額に手を当てた。
「嗚呼、熱がこんなに……全ては明日に致しましょう」
その声を最後に、シエルの意識は途絶えた。
「熱は下がったようですね。呼吸音も正常ですし、顔色も昨日よりずっといい」
「一安心ですね」
「人間にとって最高の回復薬は睡眠だといいますから、起こすのはやめておきましょう」
ヒソヒソと小声で話しながら、セバスチャン達はシエルの部屋を後にした。
アグニは看病疲れで眠っていたソーマを背負いながら、セバスチャンとナマエの後ろを歩いていた。
「あの、セバスチャン殿。昨日はついムキになって大声を出してしまいすみませんでした」
「いえ。とても参考になる興味深いお話しでしたよ」
「参考だなんてとんでもない!私よりセバスチャン殿の方がずっと完璧な執事(カーンサマー)でいらっしゃいます!」
「だが優しさが足りんな」
「「え?」」
思わず立ち止まった3人。
「おっ王子、起きていらっ――」
「寝てる!!今しゃべってるのはアグニだ!!口パクしろ!!」
「ええっ!?」
「クククッ」
ソーマの無茶振りに驚くアグニに対し、ナマエは笑い声を漏らした。
「お前は私に比べて全然主人に優しくない」
「優しくない……ですか?」
「そうだ。シエルはまだ子供だ!風邪の時ぐらい一日中ごろごろして親に甘えていい齢だ。だがあいつに親はいない。まあ俺にもいないようなモンだったが、かわりに爺やミーナがめいっぱい甘やかして優しくしてくれた。だから――めいっぱい優しくして甘やかしてやるべきだ。いいな、優しくしろ!!絶対だぞ!!」
言うなりソーマは脱兎のごとく走り去って行った。
「ナマエ……くれぐれも――《くれぐれも》注意して作って下さいね?」
「なにそれ?嫌味のつもり??」
「さぁ……どうでしょう?」
あくまでもニッコリと笑ってみせるセバスチャンだが、その目は笑っていなかった。
「それでお粥をお作りになるのですか?」
キッチンでアグニと作業をしていると、彼は不思議そうにナマエが準備した調理器具を眺めていた。
「ん?あぁ、コレね。私の故郷じゃ当たり前に使われてる物なんだよ。前にタナカさんに用意して貰ったんだ」
「随分と変わった器ですね……」
「まぁ、焼き物だからね~。でも、保温性もいいし何よりご飯の美味しさが全く違うから」
「勉強になります!」
キラキラと目を輝かせながら手元を覗き込んでくるアグニ。
そんな彼の視線を気にする事無く、ナマエは調理を開始した。
「ほら、コレ食べてアグニさんの薬湯飲んだら寝な」
そう言いながら、ナマエは先程作り上げたお粥の乗ったトレイをサイドテーブルに置いた。
「コレは……?」
「日本式のお粥と、私が風邪引いてた時によく食べさせられてた卵味噌だよ」
「聞いたこともない料理だな……」
「味はタナカさんの保証付きだよ」
「……余計に食べたくなくなった」
レモネードに味の素を入れたタナカを思い出し、シエルは苦い顔をした。
「そんな顔せんで、食べろッ!ほら、黙って口開ける!!」
ナマエに半ば無理矢理口を開けられ、卵味噌の乗ったお粥を口の中に入れられるシエル。
恐る恐る咀嚼すると、小さく呟いた。
「……美味い」
「でしょ?熱出てる時は水分と塩分の補給が大事だからね。食べられるだけ食べたら、薬湯飲んで大人しく寝ときなさい」
その後、黙々とナマエが作ったお粥と卵味噌を食べ終えるとシエルはアグニの作った薬湯を飲み干した。
「よし、これで一安心だな!フー!!」
「はいっ」
体温計を口に入れられ、剥れるシエル。
「僕は忙しいと言ってるのに……ゴホッ」
「《色々》と分かってきた事ですし、彼らの言う通り今日位はお休みになられてもよろしいのでは?」
セバスチャンにベッドへ寝かせられても、まだ文句を言うシエル。
そんなシエルを横にならせると、セバスチャンはシエルの額に手を当てた。
「嗚呼、熱がこんなに……全ては明日に致しましょう」
その声を最後に、シエルの意識は途絶えた。
「熱は下がったようですね。呼吸音も正常ですし、顔色も昨日よりずっといい」
「一安心ですね」
「人間にとって最高の回復薬は睡眠だといいますから、起こすのはやめておきましょう」
ヒソヒソと小声で話しながら、セバスチャン達はシエルの部屋を後にした。
アグニは看病疲れで眠っていたソーマを背負いながら、セバスチャンとナマエの後ろを歩いていた。
「あの、セバスチャン殿。昨日はついムキになって大声を出してしまいすみませんでした」
「いえ。とても参考になる興味深いお話しでしたよ」
「参考だなんてとんでもない!私よりセバスチャン殿の方がずっと完璧な執事(カーンサマー)でいらっしゃいます!」
「だが優しさが足りんな」
「「え?」」
思わず立ち止まった3人。
「おっ王子、起きていらっ――」
「寝てる!!今しゃべってるのはアグニだ!!口パクしろ!!」
「ええっ!?」
「クククッ」
ソーマの無茶振りに驚くアグニに対し、ナマエは笑い声を漏らした。
「お前は私に比べて全然主人に優しくない」
「優しくない……ですか?」
「そうだ。シエルはまだ子供だ!風邪の時ぐらい一日中ごろごろして親に甘えていい齢だ。だがあいつに親はいない。まあ俺にもいないようなモンだったが、かわりに爺やミーナがめいっぱい甘やかして優しくしてくれた。だから――めいっぱい優しくして甘やかしてやるべきだ。いいな、優しくしろ!!絶対だぞ!!」
言うなりソーマは脱兎のごとく走り去って行った。