奇劇
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「それも美学か?」
「どんな事態にも対応できてこそ執事ですから」
シエルの身体を濡れタオルで拭きながら着替えさせるセバスチャン。
「ふん。そんなことより紋章院で調べてきたことを早く報告しろ」
「紋章院……あの刻印(ホールマーク)の持ち主の事ですね。ケルヴィン男爵と仰るそうです」
「ケルヴィン?」
「ご存知なのですか?」
「僕は慈善活動家とやらは好かないから直接の知り合いではないが――確か《先代》に連れられて行ったパーティーで挨拶くらいはしたような……まあいい。名前さえわかれば十分だ。出かけるぞ」
「御意、ご主人様(イエス、マイロード)」
シエルをいつもの服装に着替えさせると、体調も戻っていないというのに出かけると言うシエル。
「お前はどうする?ナマエ」
「……行くに決まってるでしょ」
セバスチャンが開いた扉の先には、アグニが立ちふさがっていた。
「「……」」
「……え?」
「ふふふふふふ。甘いぞシエル俺が守っているこの街屋敷(タウンハウス)から簡単に出られると思うなよ!!はっはっはっ」
アグニの後ろから顔を出しながら、ソーマは誇らしげにしていた。
「お前は絶対に風邪を引いている。それをこの屋敷の総督でありお前の親友であるこの俺が見過ごすワケにはいかん!」
「誰が親友だ。ふざけたことを言うな」
「あっ」
立ち塞がろうとしていたソーマの横を何事もなかったかの様にシエルは通り過ぎようとした。
「アグニ!!絶対にシエルを通すな!!」
「御意のままに(ジョー・アーギャー)」
あくまでも通さないというソーマにシエルの堪忍袋の緒が切れた。
「いいかお前ら……僕には仕事がある!お前らの遊びに付き合ってるヒマはない!!ゴホッ、そこをどけ!」
「病人はベッドで看病されるのが仕事だ!!」
「僕はお前らと違う!これくらいの……ッ、ゴホッゲホッ……」
「シエル様」
咽るシエルにアグニは思わず駆け寄った。
「シエル様、どうかベッドにお戻りください。その呼吸音は喘息特有のもの。大丈夫なハズがありません!」
「気安く僕に触れるな!!セバスチャン、ナマエ、こいつらをどかせろッ。ゲホッ、ゴホッ」
「かしこまりました」
「……」
シエルの命令に黙って従おうとするセバスチャンだが、ナマエは返答せずにいた。
「ナマエ!」
「……だ」
「?」
「嫌だ。今回ばかりは無理」
「なっ……!?」
目を見開くシエルに対し、ナマエは冷静さを保ちながら拒絶の意を表した。
そんなやり取りを見ながら、ソーマは一人慌てていた。
「セバスチャン殿もセバスチャン殿です!!それでもシエル様の執事ですか!?」
「――え?」
「同じ執事(カーンサマー)として……いえ、友人として言わせて頂きます。ご主人様のお体こそ第一!今回はたとえ命令違反だとしてもシエル様の体調を想い、辛くともお止めすべきだと思いませんか。ご主人様にいつも朗らかで健やかでいて頂く。そのために命をかける。それが、執事の美学というものではないのですか!?」
アグニの言葉にセバスチャンは目を見開いた。
「主人の望みを叶えるのが私の役目だと思っているのですが……ふむっ、確かにその様な考えも一理あるかもしれません」
「おまッ……何を納得してる。僕の命令がッ!?」
「そうと決まれば病人は寝ろ」
急に横に引っ張られて、シエルは体勢を崩した。
「なっ」
「俺が直々に看病してやる!ありがたく思え!!」
ソーマに抱きかかえられ、シエルはベッドに逆戻りになった。
「アグニ!粥と薬湯だ!」
「かしこまりました」
「勝手に……っ」
「シエルの執事(カーンサマー)は寝巻きを出せ!あと氷枕もだ!」
「はい」
「おいッ」
「どんな事態にも対応できてこそ執事ですから」
シエルの身体を濡れタオルで拭きながら着替えさせるセバスチャン。
「ふん。そんなことより紋章院で調べてきたことを早く報告しろ」
「紋章院……あの刻印(ホールマーク)の持ち主の事ですね。ケルヴィン男爵と仰るそうです」
「ケルヴィン?」
「ご存知なのですか?」
「僕は慈善活動家とやらは好かないから直接の知り合いではないが――確か《先代》に連れられて行ったパーティーで挨拶くらいはしたような……まあいい。名前さえわかれば十分だ。出かけるぞ」
「御意、ご主人様(イエス、マイロード)」
シエルをいつもの服装に着替えさせると、体調も戻っていないというのに出かけると言うシエル。
「お前はどうする?ナマエ」
「……行くに決まってるでしょ」
セバスチャンが開いた扉の先には、アグニが立ちふさがっていた。
「「……」」
「……え?」
「ふふふふふふ。甘いぞシエル俺が守っているこの街屋敷(タウンハウス)から簡単に出られると思うなよ!!はっはっはっ」
アグニの後ろから顔を出しながら、ソーマは誇らしげにしていた。
「お前は絶対に風邪を引いている。それをこの屋敷の総督でありお前の親友であるこの俺が見過ごすワケにはいかん!」
「誰が親友だ。ふざけたことを言うな」
「あっ」
立ち塞がろうとしていたソーマの横を何事もなかったかの様にシエルは通り過ぎようとした。
「アグニ!!絶対にシエルを通すな!!」
「御意のままに(ジョー・アーギャー)」
あくまでも通さないというソーマにシエルの堪忍袋の緒が切れた。
「いいかお前ら……僕には仕事がある!お前らの遊びに付き合ってるヒマはない!!ゴホッ、そこをどけ!」
「病人はベッドで看病されるのが仕事だ!!」
「僕はお前らと違う!これくらいの……ッ、ゴホッゲホッ……」
「シエル様」
咽るシエルにアグニは思わず駆け寄った。
「シエル様、どうかベッドにお戻りください。その呼吸音は喘息特有のもの。大丈夫なハズがありません!」
「気安く僕に触れるな!!セバスチャン、ナマエ、こいつらをどかせろッ。ゲホッ、ゴホッ」
「かしこまりました」
「……」
シエルの命令に黙って従おうとするセバスチャンだが、ナマエは返答せずにいた。
「ナマエ!」
「……だ」
「?」
「嫌だ。今回ばかりは無理」
「なっ……!?」
目を見開くシエルに対し、ナマエは冷静さを保ちながら拒絶の意を表した。
そんなやり取りを見ながら、ソーマは一人慌てていた。
「セバスチャン殿もセバスチャン殿です!!それでもシエル様の執事ですか!?」
「――え?」
「同じ執事(カーンサマー)として……いえ、友人として言わせて頂きます。ご主人様のお体こそ第一!今回はたとえ命令違反だとしてもシエル様の体調を想い、辛くともお止めすべきだと思いませんか。ご主人様にいつも朗らかで健やかでいて頂く。そのために命をかける。それが、執事の美学というものではないのですか!?」
アグニの言葉にセバスチャンは目を見開いた。
「主人の望みを叶えるのが私の役目だと思っているのですが……ふむっ、確かにその様な考えも一理あるかもしれません」
「おまッ……何を納得してる。僕の命令がッ!?」
「そうと決まれば病人は寝ろ」
急に横に引っ張られて、シエルは体勢を崩した。
「なっ」
「俺が直々に看病してやる!ありがたく思え!!」
ソーマに抱きかかえられ、シエルはベッドに逆戻りになった。
「アグニ!粥と薬湯だ!」
「かしこまりました」
「勝手に……っ」
「シエルの執事(カーンサマー)は寝巻きを出せ!あと氷枕もだ!」
「はい」
「おいッ」