奇劇
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「?」
「消えた子供。サーカス。笛吹きトムの息子。そして僕。バラバラのピースを繋ぐのは一体……ゴホッ」
「坊っちゃん?」
「とにかく一度街屋敷(タウンハウス)に戻っ……ゲホッ。ゴホゴホッ、ガッ」
「坊っちゃん?どうしました?」
「ゴホゴホッ、ゲホガハッ」
「坊っちゃん!?」
咳き込みながら胃の中の物を吐き出しながら膝をつくシエル。
「坊っちゃん!どうされたん――」
「ゴホッゴホッ、うェ゛……」
「坊っ……」
「スマイル!?どうしたオイ、しっかりしろ!!」
「喘息だね」
医務室にシエルを担ぎ込んだセバスチャン達は、先生の診断を聞いていた。
「喘息……ですか。3年程一緒に居りましたが、今日の様な症状は初めて見ました」
「3年も発作がないなら治ってるも同然だろうけどね――急激な寒さやストレス……あと風邪の時に突然ぶり返したりするから」
「風邪なら1~2回引いた事があるのですが、こんな風になった事は……こう見えて割と頑丈でいらっしゃるので……」
「今回は色々な要因が重なったんだろう。大体、ウチの筋肉バカ共と外で行水したって?風邪ひいて当然だよ」
「シエル……ごめんね」
小さな声で呟きながら、ベッドの傍らに腰を掛けたナマエはシエルの頭を優しく撫でていた。
その時、シエルが薄っすらと目を開けた。
「あ、よかった。気がついたね」
「……」
相変わらず喘息特有の呼吸音を出しながら、シエルは小さく呟いた。
「……みず……」
「こちらをどうぞ」
そう言いながら、セバスチャンは吸飲みでシエルに水を飲ませた。
「スマイル。君、昔は結構ひどい小児喘息だったんじゃないかい?喘息は死ぬこともあるんだから、治ったと思ってても気をつけなきゃね。熱と咳が治るまで絶対安静!いいね!さー、君らは帰った帰った」
先生に追い出されるように医務室を出て行った3人。
「セイレーン、話があります」
「ん?」
「ちょっとこちらへ」
セバスチャンに呼ばれ、ナマエは手近なテントの影へと連れて行かれた。
「貴女、この事も知っていたんですよね?」
「……知ってたよ」
「何故止めなかったのです?」
「止めて……何かが変わるっていうの?」
「少なくとも――坊っちゃんが苦しむ事にはなりませんでした」
「そうだね。それは認める。私が悪かった。でもね……こうでもしないと“物語”は進まないんだよ」
「“物語”?」
「そう……この悲劇という名の“物語”だよ」
「つまり――良い結果にはならないという事ですね?」
「……」
「無言は肯定と見做しますよ?」
「私は……私はシエルが望んだ時しか《攻略本》にはならない」
「分かりました。話は以上です。貴女は自分のテントに戻って、もうお休みなさい」
それだけ言うと、セバスチャンはナマエに背を向けて歩き出していた。
夜もだいぶ更けてきた頃。外で金属音が鳴るのを聞いたナマエはベッドから起き上がって外へ出た。
「どこへ行くのです。飼い主無しでウロつくなと言ったはずです」
「残念ながら我が主は身動きが取れませんので、私が代わりにお使いに」
「例外は認めません。今すぐテントに戻りなさい。審査が終わるまで、単独行動を許す訳にはいきません。小さなミスが大きな残業に繋がるのだから!」
ナマエが音のする所へ辿り着いた時には、パジャマ姿のウィリアムがセバスチャンに向けて攻撃している所だった。
『ったく……あの馬鹿共はっ』
「!?」
「申し訳ありません。私にも執事としての義務があります。主人の眠りを妨げる事を許す訳にはいきません」
言いながらセバスチャンはデスサイズの切っ先を手で掴み、血を流していた。
「ちょっ……セバスチャン!?」
「シィー……坊っちゃんが起きてしまいますよ、ナマエ」
「そういう問題じゃ……」
「消えた子供。サーカス。笛吹きトムの息子。そして僕。バラバラのピースを繋ぐのは一体……ゴホッ」
「坊っちゃん?」
「とにかく一度街屋敷(タウンハウス)に戻っ……ゲホッ。ゴホゴホッ、ガッ」
「坊っちゃん?どうしました?」
「ゴホゴホッ、ゲホガハッ」
「坊っちゃん!?」
咳き込みながら胃の中の物を吐き出しながら膝をつくシエル。
「坊っちゃん!どうされたん――」
「ゴホッゴホッ、うェ゛……」
「坊っ……」
「スマイル!?どうしたオイ、しっかりしろ!!」
「喘息だね」
医務室にシエルを担ぎ込んだセバスチャン達は、先生の診断を聞いていた。
「喘息……ですか。3年程一緒に居りましたが、今日の様な症状は初めて見ました」
「3年も発作がないなら治ってるも同然だろうけどね――急激な寒さやストレス……あと風邪の時に突然ぶり返したりするから」
「風邪なら1~2回引いた事があるのですが、こんな風になった事は……こう見えて割と頑丈でいらっしゃるので……」
「今回は色々な要因が重なったんだろう。大体、ウチの筋肉バカ共と外で行水したって?風邪ひいて当然だよ」
「シエル……ごめんね」
小さな声で呟きながら、ベッドの傍らに腰を掛けたナマエはシエルの頭を優しく撫でていた。
その時、シエルが薄っすらと目を開けた。
「あ、よかった。気がついたね」
「……」
相変わらず喘息特有の呼吸音を出しながら、シエルは小さく呟いた。
「……みず……」
「こちらをどうぞ」
そう言いながら、セバスチャンは吸飲みでシエルに水を飲ませた。
「スマイル。君、昔は結構ひどい小児喘息だったんじゃないかい?喘息は死ぬこともあるんだから、治ったと思ってても気をつけなきゃね。熱と咳が治るまで絶対安静!いいね!さー、君らは帰った帰った」
先生に追い出されるように医務室を出て行った3人。
「セイレーン、話があります」
「ん?」
「ちょっとこちらへ」
セバスチャンに呼ばれ、ナマエは手近なテントの影へと連れて行かれた。
「貴女、この事も知っていたんですよね?」
「……知ってたよ」
「何故止めなかったのです?」
「止めて……何かが変わるっていうの?」
「少なくとも――坊っちゃんが苦しむ事にはなりませんでした」
「そうだね。それは認める。私が悪かった。でもね……こうでもしないと“物語”は進まないんだよ」
「“物語”?」
「そう……この悲劇という名の“物語”だよ」
「つまり――良い結果にはならないという事ですね?」
「……」
「無言は肯定と見做しますよ?」
「私は……私はシエルが望んだ時しか《攻略本》にはならない」
「分かりました。話は以上です。貴女は自分のテントに戻って、もうお休みなさい」
それだけ言うと、セバスチャンはナマエに背を向けて歩き出していた。
夜もだいぶ更けてきた頃。外で金属音が鳴るのを聞いたナマエはベッドから起き上がって外へ出た。
「どこへ行くのです。飼い主無しでウロつくなと言ったはずです」
「残念ながら我が主は身動きが取れませんので、私が代わりにお使いに」
「例外は認めません。今すぐテントに戻りなさい。審査が終わるまで、単独行動を許す訳にはいきません。小さなミスが大きな残業に繋がるのだから!」
ナマエが音のする所へ辿り着いた時には、パジャマ姿のウィリアムがセバスチャンに向けて攻撃している所だった。
『ったく……あの馬鹿共はっ』
「!?」
「申し訳ありません。私にも執事としての義務があります。主人の眠りを妨げる事を許す訳にはいきません」
言いながらセバスチャンはデスサイズの切っ先を手で掴み、血を流していた。
「ちょっ……セバスチャン!?」
「シィー……坊っちゃんが起きてしまいますよ、ナマエ」
「そういう問題じゃ……」