奇劇
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「……早く帰って温かい紅茶を飲みながら甘いものが食べたい」
「お屋敷に戻ったらご用意致しますよ」
やがて日も沈み、夜が訪れた。
「あたしの髪飾りしらないかい?」
「こちらに」
「皆はーん、もうすぐ開演どすから急いでー」
「ナイフの数が足んねーぞ!予備は!?」
「はいっ」
公演の準備で忙しなく動く団員達。
やっと一息ついた所で、シエルは手近な椅子に腰を掛けた。
「――ハァ……あの……公演中は何をすれば――ん?ん?」
辺りを見回して、シエルは勢いよく椅子から立ち上がった。
「セバスチャン!」
背後からかけられたシエルの声に振り向くセバスチャン。
「あいつ(ソバカス)のマークが外れた!!」
小走りで走り寄るシエル。
「次のチャンスはいつ来るかわからん。今のうちにテントの調査を済ませよう。10分で終わらせるぞ!」
「御意、ご主人様(イエス、マイロード)」
「了解~」
シエルがセバスチャンとナマエを伴って走りだした時だった。
「ブラック!」
不意に後ろから声をかけられ、足を止めて振り返る3人。
「ウェンディ姉さんが足ひねってしもて公演出れなくなってしもた。さかいにブラック――代わりに出とくれやす」
ウェンディと呼ばれた少女を背負いながら、ジョーカーはセバスチャンに舞台へ出るよう依頼した。
「ブラックやったらもうショーに出ても大丈夫やし、よろしゅう頼んます」
「……っ」
「あとチョイで出番さかいに急いで準備しとくれやす!セイレーンはその間、繋ぎで歌っておくれやす!!」
立ち去るジョーカー達を見送り、セバスチャンは溜息を吐いた。
「坊っちゃん、残念ですが又の機会に――」
「…………」
「?――坊っちゃん?」
「こんな所に長々と潜入していられない。それに奴(ソバカス)がいないのは今だけかもしれない。僕には時間がある。面倒なのは毒蛇くらいだ。プログラムによるとお前の出番が終わるのが19時50分。アンコールが20時00分。これから5分以内に蛇を全て捕獲しお前はショーに出る。19時50分に出番を終え一旦裏に戻り、蛇を全て開放しお前はアンコールに戻る」
懐中時計で時間を確認しながら、シエルはセバスチャンに指示を出した。
「後は僕が調べる。行くぞ!ナマエは先にショーに行け!!」
「御意」
「りょーかいです」
シエルの指示に従いショーが行われているテントへ向かったナマエ。
テントの裏口ではダガーとビーストが焦りながらもナマエを待っていた。
「遅いッスよ!」
「何してたのよ!?」
「ちょっと着替えるのに手間取ってしまって……」
ナマエは与えられた淡いブルーの衣装に着替えて走って裏口へとやって来た。
「普段こういう服って着ないので……」
「もう!言い訳はいいからさっさと舞台に出て!空中ブランコの準備が出来るまで、まだ時間が掛かりそうなのよ!!」
「……分かりました」
「しくじんなよ、セイレーン!」
「頑張ります……」
多くの人の前で歌うのは初めての事だったナマエは緊張していた。しかし、ここで失敗するわけにはいかない。場繋ぎをしなければならない。そんな使命感がナマエにはあった。
「こんな小さな君の手を取って
いたいほどの
かがやきがあって
幸福(しあわせ)の記憶だけ
残したいと願いながら
優しく無意味に
消える日まで
アレルヤ
全てのいのちが
歌うときが来るって
信じて
雨の中で両手
ふりかざして踊って
笑ってるんだ
笑ってようよ
涙の海で
抜き手を切って
未来へゆく
未来へゆく♪」
サーカスには不向きな歌なのは解っている。それでもシエルのあの“刻印”を見てしまった以上、この歌以外に思い浮かばなかった。
歌い終えたナマエを出迎えた一軍メンバーは口を揃えて言った。
「お屋敷に戻ったらご用意致しますよ」
やがて日も沈み、夜が訪れた。
「あたしの髪飾りしらないかい?」
「こちらに」
「皆はーん、もうすぐ開演どすから急いでー」
「ナイフの数が足んねーぞ!予備は!?」
「はいっ」
公演の準備で忙しなく動く団員達。
やっと一息ついた所で、シエルは手近な椅子に腰を掛けた。
「――ハァ……あの……公演中は何をすれば――ん?ん?」
辺りを見回して、シエルは勢いよく椅子から立ち上がった。
「セバスチャン!」
背後からかけられたシエルの声に振り向くセバスチャン。
「あいつ(ソバカス)のマークが外れた!!」
小走りで走り寄るシエル。
「次のチャンスはいつ来るかわからん。今のうちにテントの調査を済ませよう。10分で終わらせるぞ!」
「御意、ご主人様(イエス、マイロード)」
「了解~」
シエルがセバスチャンとナマエを伴って走りだした時だった。
「ブラック!」
不意に後ろから声をかけられ、足を止めて振り返る3人。
「ウェンディ姉さんが足ひねってしもて公演出れなくなってしもた。さかいにブラック――代わりに出とくれやす」
ウェンディと呼ばれた少女を背負いながら、ジョーカーはセバスチャンに舞台へ出るよう依頼した。
「ブラックやったらもうショーに出ても大丈夫やし、よろしゅう頼んます」
「……っ」
「あとチョイで出番さかいに急いで準備しとくれやす!セイレーンはその間、繋ぎで歌っておくれやす!!」
立ち去るジョーカー達を見送り、セバスチャンは溜息を吐いた。
「坊っちゃん、残念ですが又の機会に――」
「…………」
「?――坊っちゃん?」
「こんな所に長々と潜入していられない。それに奴(ソバカス)がいないのは今だけかもしれない。僕には時間がある。面倒なのは毒蛇くらいだ。プログラムによるとお前の出番が終わるのが19時50分。アンコールが20時00分。これから5分以内に蛇を全て捕獲しお前はショーに出る。19時50分に出番を終え一旦裏に戻り、蛇を全て開放しお前はアンコールに戻る」
懐中時計で時間を確認しながら、シエルはセバスチャンに指示を出した。
「後は僕が調べる。行くぞ!ナマエは先にショーに行け!!」
「御意」
「りょーかいです」
シエルの指示に従いショーが行われているテントへ向かったナマエ。
テントの裏口ではダガーとビーストが焦りながらもナマエを待っていた。
「遅いッスよ!」
「何してたのよ!?」
「ちょっと着替えるのに手間取ってしまって……」
ナマエは与えられた淡いブルーの衣装に着替えて走って裏口へとやって来た。
「普段こういう服って着ないので……」
「もう!言い訳はいいからさっさと舞台に出て!空中ブランコの準備が出来るまで、まだ時間が掛かりそうなのよ!!」
「……分かりました」
「しくじんなよ、セイレーン!」
「頑張ります……」
多くの人の前で歌うのは初めての事だったナマエは緊張していた。しかし、ここで失敗するわけにはいかない。場繋ぎをしなければならない。そんな使命感がナマエにはあった。
「こんな小さな君の手を取って
いたいほどの
かがやきがあって
幸福(しあわせ)の記憶だけ
残したいと願いながら
優しく無意味に
消える日まで
アレルヤ
全てのいのちが
歌うときが来るって
信じて
雨の中で両手
ふりかざして踊って
笑ってるんだ
笑ってようよ
涙の海で
抜き手を切って
未来へゆく
未来へゆく♪」
サーカスには不向きな歌なのは解っている。それでもシエルのあの“刻印”を見てしまった以上、この歌以外に思い浮かばなかった。
歌い終えたナマエを出迎えた一軍メンバーは口を揃えて言った。