奇劇
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笑顔で料理を差し出してきたセバスチャンに礼を言い、ナマエは空いている席で朝食をとり始めた。
10分程で食べ終えれる量だった朝食を全て胃の中に収めると、ナマエは食器類を持って食堂の裏へと回った。
「セ……じゃなくて、ブラック。後は私がやるよ」
「あぁ、セイレーン。気にしないで下さい。いつも行っている事ですので」
「いやいや、ココじゃブラックは執事じゃなくて新人なんだし練習しに行かなきゃ……」
「そういう貴女だって新人でしょう?」
「私は何をしろとか、そういう指示受けてないんだよ……」
洗い物をしていた手を漸く止め、セバスチャンはナマエに視線を合わせた。
「では、お願いすると致しましょう。この時期の水は冷たいですから、洗い終わったらきちんとケアして下さいね?」
「わかってるよ」
「それでは、行ってきます」
にこやかな笑みを浮かべたかと思うと、セバスチャンはナマエの頬に口付けてその場を去って行った。
(あんの野郎……後で覚えとけ!!)
怒りで手を震わせているナマエに気付いているのかどうかは分からないが、セバスチャンは訓練場へと向かって歩を進めていた。
洗い物を終えてナマエが訓練場へと足を運び入れた時、いきなり歓声が上がった。
何事かと周りの人達の視線の先を辿って行くと、そこにはセバスチャンとウィリアムがいた。
「ブラックスゲエー!!」
「いや、スーツも負けてないッ」
視線の先では2人があり得ない高さでバランスを取っていた。巨大なボールを積み重ねたセバスチャンと、金属製の筒を組み合わせたウィリアム。
「人間技じゃねェ」
「スゲエ」
(まぁ、悪魔と死神だし……アレ位普通なんだろうなぁ……)
一通り練習という名の凄技を2人が披露した所で、シエルとそばかすの人の姿が消えていた。
(そろそろ、か……)
タオルを持って行水中の男性陣の所へ行って事のあらましを見ていたセバスチャンよりも先に、ナマエはシエルを探しだした。
(ドコだ……ドコの馬車の影だ?!)
[……主]
「《鵺》か……丁度いい。シエルの居場所分かる?」
[こちらへ……]
ゆらり、と揺れる影に先導され辿り着いた先には小さく蹲ってガチガチと震えているシエルの姿があった。
「シエル!?」
「お風邪を召されますよ」
ナマエが駆け寄ると、先に来ていたセバスチャンがシエルに毛布を掛けていた。
「こちらにお召し替えを」
着替えを用意していたセバスチャンは、シエルに着替えるように促す。
「……くさんだ」
「はい?」
「もう沢山だ。こんな生活続いたら、気がおかしくなる!!」
「おやおや……もう降参ですか?随分堪え性がありませんね。この程度で気がおかしくなるだなんて。坊っちゃんらしくもない」
「セバスチャン、言い過ぎ!!」
「らしくない……か……確かにそうだな。ファントムハイヴ家当主であるこの僕がこんな生活をしているなど、《らしい》はずがない。さっさと終わらせて切り上げるぞ」
「――御意」
「了解」
「ともかく、あとは一軍のテントさえ調べれば帰れるんだ。大人しく一軍昇格を目指そうと思っていたが……この環境でそんな悠長なことは言ってられん。我慢の限界だ」
「私としては夜は死神が邪魔で出歩けませんし、強行突破が一番楽なんですが」
セバスチャンの言葉に、シエルだけではなくナマエも反応した。
「死神がいるとはいえ、まだ奴らが犯人と決まったわけじゃない。大人しくしていろ。ナマエも何もするな」
「は」
「はーい」
「狙うなら一軍全員部屋を出る公演中だな。まずはあのベッタリはりついたソバカスを撒く方法を考えないと、僕が動けなければ意味がないんでな」
セバスチャンに着替えさせられ足を拭かれながら言うシエル。
まだ濡れていて寒いのか、吐き出す息はいつもよりも白かった。
10分程で食べ終えれる量だった朝食を全て胃の中に収めると、ナマエは食器類を持って食堂の裏へと回った。
「セ……じゃなくて、ブラック。後は私がやるよ」
「あぁ、セイレーン。気にしないで下さい。いつも行っている事ですので」
「いやいや、ココじゃブラックは執事じゃなくて新人なんだし練習しに行かなきゃ……」
「そういう貴女だって新人でしょう?」
「私は何をしろとか、そういう指示受けてないんだよ……」
洗い物をしていた手を漸く止め、セバスチャンはナマエに視線を合わせた。
「では、お願いすると致しましょう。この時期の水は冷たいですから、洗い終わったらきちんとケアして下さいね?」
「わかってるよ」
「それでは、行ってきます」
にこやかな笑みを浮かべたかと思うと、セバスチャンはナマエの頬に口付けてその場を去って行った。
(あんの野郎……後で覚えとけ!!)
怒りで手を震わせているナマエに気付いているのかどうかは分からないが、セバスチャンは訓練場へと向かって歩を進めていた。
洗い物を終えてナマエが訓練場へと足を運び入れた時、いきなり歓声が上がった。
何事かと周りの人達の視線の先を辿って行くと、そこにはセバスチャンとウィリアムがいた。
「ブラックスゲエー!!」
「いや、スーツも負けてないッ」
視線の先では2人があり得ない高さでバランスを取っていた。巨大なボールを積み重ねたセバスチャンと、金属製の筒を組み合わせたウィリアム。
「人間技じゃねェ」
「スゲエ」
(まぁ、悪魔と死神だし……アレ位普通なんだろうなぁ……)
一通り練習という名の凄技を2人が披露した所で、シエルとそばかすの人の姿が消えていた。
(そろそろ、か……)
タオルを持って行水中の男性陣の所へ行って事のあらましを見ていたセバスチャンよりも先に、ナマエはシエルを探しだした。
(ドコだ……ドコの馬車の影だ?!)
[……主]
「《鵺》か……丁度いい。シエルの居場所分かる?」
[こちらへ……]
ゆらり、と揺れる影に先導され辿り着いた先には小さく蹲ってガチガチと震えているシエルの姿があった。
「シエル!?」
「お風邪を召されますよ」
ナマエが駆け寄ると、先に来ていたセバスチャンがシエルに毛布を掛けていた。
「こちらにお召し替えを」
着替えを用意していたセバスチャンは、シエルに着替えるように促す。
「……くさんだ」
「はい?」
「もう沢山だ。こんな生活続いたら、気がおかしくなる!!」
「おやおや……もう降参ですか?随分堪え性がありませんね。この程度で気がおかしくなるだなんて。坊っちゃんらしくもない」
「セバスチャン、言い過ぎ!!」
「らしくない……か……確かにそうだな。ファントムハイヴ家当主であるこの僕がこんな生活をしているなど、《らしい》はずがない。さっさと終わらせて切り上げるぞ」
「――御意」
「了解」
「ともかく、あとは一軍のテントさえ調べれば帰れるんだ。大人しく一軍昇格を目指そうと思っていたが……この環境でそんな悠長なことは言ってられん。我慢の限界だ」
「私としては夜は死神が邪魔で出歩けませんし、強行突破が一番楽なんですが」
セバスチャンの言葉に、シエルだけではなくナマエも反応した。
「死神がいるとはいえ、まだ奴らが犯人と決まったわけじゃない。大人しくしていろ。ナマエも何もするな」
「は」
「はーい」
「狙うなら一軍全員部屋を出る公演中だな。まずはあのベッタリはりついたソバカスを撒く方法を考えないと、僕が動けなければ意味がないんでな」
セバスチャンに着替えさせられ足を拭かれながら言うシエル。
まだ濡れていて寒いのか、吐き出す息はいつもよりも白かった。