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「え……!?そんな……大事な指輪……あたし……」
『別に私は許して貰わなくてもいいけどね』
『貴女は黙っていなさい』
日本語で呟いたナマエに、これまたセバスチャンは日本語で答えた。
なんとも言い難い緊迫感に包まれた中、シエルが指輪を拾い上げた。
「シエル……あたし……っ」
無言で窓を開けると、そのまま拾い上げた指輪を捨て去るシエル。
「な……シエル!?何てこと――」
窓から外へ身を乗り出すエリザベス。
「構わん。あんなもの……ただの古い指輪だ。指輪(あんなもの)がなくとも」
杖の柄を握りしめながらシエルは言い切った。
「ファントムハイヴ家の当主は“シエル・ファントムハイヴ(この僕)”だ」
床に落ちた帽子を拾い、埃を叩き落としながらシエルはエリザベスに向き合った。
「なんだ、その顔は?」
「だっ……だっで~」
「酷い顔だ。レディが聞いて呆れるな」
胸ポケットにあったハンカチでエリザベスの顔を拭いてやるシエルは意地悪く笑った。
「そんな顔の女をダンスに誘いたくはないんだが?」
呆気にとられているエリザベスに向かって、シエルは微笑みながら手を差し出した。
「嫌なことを忘れて踊り明かすのが夜会の礼儀だろう、レディ?」
「……はい」
さっきまでとは打って変わって、今度は嬉し泣きをしているエリザベス。
「本当……夢みたい!」
急拵えの楽団に混じりバイオリンを奏でるセバスチャン。シエル達に混ざって踊るフィニアンとタナカ。バルドロイは笑いながら壁の華となり、メイリンは一人頬を染めていた。
「貴女は何もしないおつもりですか?仮にも公爵令嬢の頬を引っ叩いたのに……」
優雅な音色を奏でるセバスチャンから嫌味を言われたナマエは、嫌々ながらもヴィオローネを手にした。
「おや……貴女に扱えるんですか?」
「ファントムハイヴ家の使用人たる者、この程度の事が出来なくてどうします?」
嫌味には嫌味で返す主義のナマエ。セバスチャンが奏でる音色に合わせ、優雅にヴィオローネを操った。
やがて夜会も終わり、エリザベスは客室で深い眠りについた頃。ナマエはシエルが投げ捨てた指輪を探していた。
「こんな所で何をなさっているのです?」
「セバスチャンさん……」
「女性がこんな夜更けに外にいるのは感心しませんよ?」
『悪魔のあなたに言われたくないね』
ポツリと呟いたナマエの言葉に、セバスチャンの紅茶色の眼が怪しく光った。
「私のどこが“悪魔”だと仰るんですか?」
「秘密」
「それを言うのであれば……貴女も“人間”ではないでしょう?ナマエさん」
クスリと嗤う悪魔:セバスチャンに、ナマエの背中を冷たい汗が伝った。
『私は“人間”だよ……少なくとも、“悪魔”じゃない』
哀しげに顔を歪めるナマエ。
「少しからかいすぎましたね……さぁ、後は私が処理致します。貴女はもうお休みなさい」
ナマエが拾い集めた指輪の破片を奪うように受け取り、セバスチャンは屋敷へと戻っていった。
『“人間”じゃないなら……私は“何”なの?』
そう呟くナマエの声に応えるモノは何もなかった。
『別に私は許して貰わなくてもいいけどね』
『貴女は黙っていなさい』
日本語で呟いたナマエに、これまたセバスチャンは日本語で答えた。
なんとも言い難い緊迫感に包まれた中、シエルが指輪を拾い上げた。
「シエル……あたし……っ」
無言で窓を開けると、そのまま拾い上げた指輪を捨て去るシエル。
「な……シエル!?何てこと――」
窓から外へ身を乗り出すエリザベス。
「構わん。あんなもの……ただの古い指輪だ。指輪(あんなもの)がなくとも」
杖の柄を握りしめながらシエルは言い切った。
「ファントムハイヴ家の当主は“シエル・ファントムハイヴ(この僕)”だ」
床に落ちた帽子を拾い、埃を叩き落としながらシエルはエリザベスに向き合った。
「なんだ、その顔は?」
「だっ……だっで~」
「酷い顔だ。レディが聞いて呆れるな」
胸ポケットにあったハンカチでエリザベスの顔を拭いてやるシエルは意地悪く笑った。
「そんな顔の女をダンスに誘いたくはないんだが?」
呆気にとられているエリザベスに向かって、シエルは微笑みながら手を差し出した。
「嫌なことを忘れて踊り明かすのが夜会の礼儀だろう、レディ?」
「……はい」
さっきまでとは打って変わって、今度は嬉し泣きをしているエリザベス。
「本当……夢みたい!」
急拵えの楽団に混じりバイオリンを奏でるセバスチャン。シエル達に混ざって踊るフィニアンとタナカ。バルドロイは笑いながら壁の華となり、メイリンは一人頬を染めていた。
「貴女は何もしないおつもりですか?仮にも公爵令嬢の頬を引っ叩いたのに……」
優雅な音色を奏でるセバスチャンから嫌味を言われたナマエは、嫌々ながらもヴィオローネを手にした。
「おや……貴女に扱えるんですか?」
「ファントムハイヴ家の使用人たる者、この程度の事が出来なくてどうします?」
嫌味には嫌味で返す主義のナマエ。セバスチャンが奏でる音色に合わせ、優雅にヴィオローネを操った。
やがて夜会も終わり、エリザベスは客室で深い眠りについた頃。ナマエはシエルが投げ捨てた指輪を探していた。
「こんな所で何をなさっているのです?」
「セバスチャンさん……」
「女性がこんな夜更けに外にいるのは感心しませんよ?」
『悪魔のあなたに言われたくないね』
ポツリと呟いたナマエの言葉に、セバスチャンの紅茶色の眼が怪しく光った。
「私のどこが“悪魔”だと仰るんですか?」
「秘密」
「それを言うのであれば……貴女も“人間”ではないでしょう?ナマエさん」
クスリと嗤う悪魔:セバスチャンに、ナマエの背中を冷たい汗が伝った。
『私は“人間”だよ……少なくとも、“悪魔”じゃない』
哀しげに顔を歪めるナマエ。
「少しからかいすぎましたね……さぁ、後は私が処理致します。貴女はもうお休みなさい」
ナマエが拾い集めた指輪の破片を奪うように受け取り、セバスチャンは屋敷へと戻っていった。
『“人間”じゃないなら……私は“何”なの?』
そう呟くナマエの声に応えるモノは何もなかった。