届かぬ想い
あれから数ヶ月後、凛香は『仮面』という名のもう一人の自分を作っていた。傍から見たら、凛香は更正した様に思えるだろう。が、凛香は『大人』の前でだけ『仮面』を被っていた。生きる為に、そして否定されない為に。
だが、所詮は自分を偽って生きているにすぎない。その心的ストレスは、凛香の心を蝕み続けた。
『本当の自分』と『偽りの自分』の間で、凛香は揺れていた。周りに望まれているのは『偽りの自分』であり、その要望に応えているうちに『本当の自分』を見失いかけていたのだ。
『本当の自分』とは何なのか――今となっては、それまでの自分が全て『偽り』に思えてならなかった。『仮面』を被る時間だけが増え、『凛香』で居る時間は激減した。その事で凛香は、次第に殻に閉じこもる様になっていった。
誰も『アタシ』に気付いてくれない……。『理解』してくれない……。
ミカドに出会ったのは、『自分探し』に模索している時だった。
無理に明るく振る舞いつつ、周りとは適度に距離を置いた生活に、凜香は疲れていた。極度のストレスからくる疲労で、その日はぐっすりと眠っていた。そして、ミカドに出会ったのだ。
不思議な事に、ミカドにムカつく事はあっても、何の苦痛もなく接していられた。
今思えば、凜香が事件に巻き込まれたのは偶然ではなく、必然だったのだろう。いや、事件だけではなく、綾芽や涼、閑那達との出会いも必然なのかもしれない。
『自分から話さなければ、理解などして貰えない』
閑那のこの一言が、凜香を変えた。
何もせずに、『理解』して貰えると思っていた自分が馬鹿だった。自分から歩み寄らなければ、何も変わらない。何で『理解』して貰えなかったのか、それが閑那と出会ってようやく解った。
「こんなんじゃ……解って貰えるわけないよね」
ポツリと呟く凜香をよそに、周りは慌ただしく動いていく。
「凛香さん?置いて行きますよ??」
「え?あ――待ってよ~!!」
未だ届かぬ想いを胸に、凛香は今日も生きている。いつか――いつかきっとこの『想い』が届く事を信じて……。
だが、所詮は自分を偽って生きているにすぎない。その心的ストレスは、凛香の心を蝕み続けた。
『本当の自分』と『偽りの自分』の間で、凛香は揺れていた。周りに望まれているのは『偽りの自分』であり、その要望に応えているうちに『本当の自分』を見失いかけていたのだ。
『本当の自分』とは何なのか――今となっては、それまでの自分が全て『偽り』に思えてならなかった。『仮面』を被る時間だけが増え、『凛香』で居る時間は激減した。その事で凛香は、次第に殻に閉じこもる様になっていった。
誰も『アタシ』に気付いてくれない……。『理解』してくれない……。
ミカドに出会ったのは、『自分探し』に模索している時だった。
無理に明るく振る舞いつつ、周りとは適度に距離を置いた生活に、凜香は疲れていた。極度のストレスからくる疲労で、その日はぐっすりと眠っていた。そして、ミカドに出会ったのだ。
不思議な事に、ミカドにムカつく事はあっても、何の苦痛もなく接していられた。
今思えば、凜香が事件に巻き込まれたのは偶然ではなく、必然だったのだろう。いや、事件だけではなく、綾芽や涼、閑那達との出会いも必然なのかもしれない。
『自分から話さなければ、理解などして貰えない』
閑那のこの一言が、凜香を変えた。
何もせずに、『理解』して貰えると思っていた自分が馬鹿だった。自分から歩み寄らなければ、何も変わらない。何で『理解』して貰えなかったのか、それが閑那と出会ってようやく解った。
「こんなんじゃ……解って貰えるわけないよね」
ポツリと呟く凜香をよそに、周りは慌ただしく動いていく。
「凛香さん?置いて行きますよ??」
「え?あ――待ってよ~!!」
未だ届かぬ想いを胸に、凛香は今日も生きている。いつか――いつかきっとこの『想い』が届く事を信じて……。