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雨が降る

「閑那さんはサイコメトラーなんですね。凄いな~……僕、すっごく羨ましいですよ」
「閑那でいいよ、コウダ君。それより……何?そのサイコなんたらってのは」
「あ、なら僕の事も柚琉でお願いします!サイコメトラーっていうのは、人や物の記憶を読みとるチカラを持った人の事です」
「ほぇ~……お前、本当に何でも知ってるのな?」
「あはは……まだまだですよ、僕なんて」
「サイコメトラーねぇ……そんな名称、初めて聞いたよ」
「欧米なんかでは割とポピュラーみたいですよ。日本は閉鎖的だから、過去にそういったチカラの持ち主はたいてい迫害されてますし――」
柚琉の『迫害』という言葉に、私の鼓動は高まった。身近に迫害された人物がいたのだから――。
「あ、でも閑那のチカラは、神様がくれた贈り物かもしれませんね。目が見えない、というのは冬夜に聞いてましたけど、視力なんかよりもっと素晴らしい物を授かった!って感じですから」
「神様からの贈り物、ねぇ――お前、そんな乙女チックな事言うなよ……」
「クスッ……」
「酷っ……閑那、笑わないで下さいよ!」
「い~や、大いに笑え」
「なっ……!?冬夜!」
二人のやりとりに、何故だか笑みが零れた。確かに、視力よりも素晴らしい物なんだろう。稀にしかみられないのだから――。

「そういえば……閑那って女の子みたいだよね」
三人でよく遊ぶようになって暫く経ったある日、不意に漏らした柚琉の言葉が私を変えた。
「お……女の子??」
「あ~……見た目女みたいだもんな」
意地悪く笑う冬夜の声に、私はわざと女の子みたいに答えてみた。
「嫌だわ、冬夜ったら~っ」
「ゲッ……」
「わぁ~……違和感無さ過ぎだよ、閑那」
「そうかしら?」
何故だか心底楽しかった。同時に、健常者と障害者の差別的壁は、周りではなく自分が作っていたんだと思い知りもした。
世の中には、彼等みたく障害なんてまったく気にもしない人が少なからずいるのだ。今更ながらその事に気付くとは――馬鹿みたいだった。
「なんか、こう……冬夜と閑那が並ぶと絵になるしさ」
「あらぁ~……なら、私達付き合いましょうよ、冬夜?」
「や――止めれ……」
「冬夜……私との事は遊びだったのね!?酷いわっ!」
「ヲイヲイ……」
「こんな綺麗な人を弄ぶなんて……冬夜最低だよ?」
「だから、何で俺なのよ……」
冗談でも、楽しかった。弟が亡くなって以来、初めて大声で笑った気がした。
「笑ったな?」
「確かに、大声で笑ってたね」
何やら二人から普段と違う気配が漂っていた。
「閑那」
「な……何?」
「これから先、一生女言葉命令!」
「はい?」
「だから、閑那はもうオネェ言葉以外禁止、って事だよ」
「え……いや、なんでいきなり??」
「「似合ってるから」」
二人同時に言い切りました、あの時見事に。それから、何故か私はオネェ言葉の特訓もさせられたりしていた。

「閑那が占い師になるなんてね~」
「まっ、いいんじゃないか?チカラの有効利用ってヤツで」
「そうだね」
柚琉と冬夜は、閑那が占い師になると聞いて、閑那の許へと来ていた。
「それにしても――」
「ん?」
「奴さ、最近服まで女物になってねぇか?」
「あぁ~……ソレ、僕が仕入れてるから」
「柚琉……」
「だってさ、あの時のゲーム――継続中なんでしょ?」
「……悪魔だな」
「え?」
「二人とも~、そんな所に居たの?探しちゃったじゃないのよ!」
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