第一章 出逢いの刻
「凛香さん!」
「え……?」
「初対面で人を呼び捨てにしない!!高校生ならそれくらいの礼儀はあるでしょ!?」
「ごめんなさい……」
言いたいことを言い終えて、綾芽は水を一口飲んで続けた。
「で、閑那さん!話をさっさと進めて下さい!時間がないんなら、くだらない喧嘩なんかしてる暇はないでしょ!?」
「そ……そうだったわ。ごめんなさいね、綾芽ちゃん」
慌てて閑那は本題に入った。
「凛香ちゃんにはさっき話したんだけど、この世界を壊そうとしている人がいるの」
「は?お前、頭大丈夫か?」
「私の頭はいたって正常よ?」
「で、それと私達に何の関係が?」
「正確には“人”じゃないんだけどね――貴女達の運命の歯車を狂わせたヤツが、貴女達を実験台に選んだのよ」
「正確には“人”じゃない?」
「えぇ、ヤツには実体が無いのよ」
「でも、ユーレイでもないんでしょ?」
「そうよ……ヤツは現実に存在しているわ。誰にも気付かれないように――」
「ミカドにはソイツの居場所がわかるの?」
「「ミカド?」」
初めて聞く名前に、綾芽と涼は声を出していた。
「ミカドっていうのは、昔死んだ私の弟で……今は私と凛香ちゃんの夢に出てきて――」
「アタシに“サトリ”っていうチカラをくれたの」
二人が怪訝な顔をしていると、凛香はチカラの説明を始めた。
「“サトリ”ってね、人の考えてる事が解るの。閑那のチカラと似てるんだって。私は電話以外でなら、他の人が考えてる事が勝手に頭の中に入ってくるんだ……だから、二人の考えてる事も解るよ?」
涼は閑那のチカラを知っている分動揺は少ないが、また厄介なのが増えたと思った。
「また厄介なのが増えた」
「あ?!」
「涼さん、今そう思ったでしょ?」
凛香は少し嫌そうにそう言った。
綾芽は本当なんだ、と不思議そうに見ていた。
「綾芽さん、嘘じゃなかったでしょ?」
「え?あ、うん……」
「ミカドはね、相手に実体が無い分こっちにもそれ相応のチカラがないと危ないと思って凛香ちゃんに自分のチカラを授けたのよ」
「で、今後はソイツ中心で行動しろって事か?」
「違うわ。貴方達二人にも相応のチカラを手に入れて貰うわ」
「は?」
「どういう意味ですか?」
「そのまんまの意味よ?凛香ちゃんのチカラだけじゃ、ヤツを止める事は出来ない。だから、二人にもヤツに対抗出来るチカラを身に付けて貰うの」
「どうやって?俺達にもミカドに会えとでも言うのか?」
「いいえ。ミカドには貴方と綾芽ちゃんに授けられるだけのチカラは無いわ……」
「なら――閑那さんが?」
「残念ながら、私にもそんなチカラは無いわ」
「じゃあ……どうやって――」
綾芽が途方にくれていると、閑那は話し続けた。
「私に出来るのは、ソレが出来る人物を紹介する事。そして、手に入れたチカラの遣い方を教える事」
「閑那、今嘘吐いたね?」
凛香が閑那を睨んだ。
「凛香ちゃん……ごめんなさいね、今はこれ以上言えないの。彼女に――涼と綾芽ちゃんにチカラを与えてくれる人に口止めされてるの」
「なんで?どうして言っちゃいけないの??」
「凛香ちゃん、私にはチカラと彼女に対してセイヤクがあるの……チカラのセイヤクはいつでも、貴女達の為には破っても構わない。けれど、彼女とのセイヤクは破れないの……今、彼女とのセイヤクを破ったら――ヤツには絶対に勝てなくなるのよ。だから……解って頂戴?」
悲しげな表情で凛香に詫びる閑那。
凛香も閑那が苦しんでいるのを察して、それ以上は何も言わなかった。
「で、その女とはどうやって会うんだ?」
「呼んであるわ。もうすぐ――ココに現れるハズよ」
「現れる?来るんじゃなくて??」
「えぇ……彼女もチカラの持ち主だもの」
閑那のその言葉を最後に、しばらく沈黙が続いた。皆何かを考え込んでしまっている様だ。
「え……?」
「初対面で人を呼び捨てにしない!!高校生ならそれくらいの礼儀はあるでしょ!?」
「ごめんなさい……」
言いたいことを言い終えて、綾芽は水を一口飲んで続けた。
「で、閑那さん!話をさっさと進めて下さい!時間がないんなら、くだらない喧嘩なんかしてる暇はないでしょ!?」
「そ……そうだったわ。ごめんなさいね、綾芽ちゃん」
慌てて閑那は本題に入った。
「凛香ちゃんにはさっき話したんだけど、この世界を壊そうとしている人がいるの」
「は?お前、頭大丈夫か?」
「私の頭はいたって正常よ?」
「で、それと私達に何の関係が?」
「正確には“人”じゃないんだけどね――貴女達の運命の歯車を狂わせたヤツが、貴女達を実験台に選んだのよ」
「正確には“人”じゃない?」
「えぇ、ヤツには実体が無いのよ」
「でも、ユーレイでもないんでしょ?」
「そうよ……ヤツは現実に存在しているわ。誰にも気付かれないように――」
「ミカドにはソイツの居場所がわかるの?」
「「ミカド?」」
初めて聞く名前に、綾芽と涼は声を出していた。
「ミカドっていうのは、昔死んだ私の弟で……今は私と凛香ちゃんの夢に出てきて――」
「アタシに“サトリ”っていうチカラをくれたの」
二人が怪訝な顔をしていると、凛香はチカラの説明を始めた。
「“サトリ”ってね、人の考えてる事が解るの。閑那のチカラと似てるんだって。私は電話以外でなら、他の人が考えてる事が勝手に頭の中に入ってくるんだ……だから、二人の考えてる事も解るよ?」
涼は閑那のチカラを知っている分動揺は少ないが、また厄介なのが増えたと思った。
「また厄介なのが増えた」
「あ?!」
「涼さん、今そう思ったでしょ?」
凛香は少し嫌そうにそう言った。
綾芽は本当なんだ、と不思議そうに見ていた。
「綾芽さん、嘘じゃなかったでしょ?」
「え?あ、うん……」
「ミカドはね、相手に実体が無い分こっちにもそれ相応のチカラがないと危ないと思って凛香ちゃんに自分のチカラを授けたのよ」
「で、今後はソイツ中心で行動しろって事か?」
「違うわ。貴方達二人にも相応のチカラを手に入れて貰うわ」
「は?」
「どういう意味ですか?」
「そのまんまの意味よ?凛香ちゃんのチカラだけじゃ、ヤツを止める事は出来ない。だから、二人にもヤツに対抗出来るチカラを身に付けて貰うの」
「どうやって?俺達にもミカドに会えとでも言うのか?」
「いいえ。ミカドには貴方と綾芽ちゃんに授けられるだけのチカラは無いわ……」
「なら――閑那さんが?」
「残念ながら、私にもそんなチカラは無いわ」
「じゃあ……どうやって――」
綾芽が途方にくれていると、閑那は話し続けた。
「私に出来るのは、ソレが出来る人物を紹介する事。そして、手に入れたチカラの遣い方を教える事」
「閑那、今嘘吐いたね?」
凛香が閑那を睨んだ。
「凛香ちゃん……ごめんなさいね、今はこれ以上言えないの。彼女に――涼と綾芽ちゃんにチカラを与えてくれる人に口止めされてるの」
「なんで?どうして言っちゃいけないの??」
「凛香ちゃん、私にはチカラと彼女に対してセイヤクがあるの……チカラのセイヤクはいつでも、貴女達の為には破っても構わない。けれど、彼女とのセイヤクは破れないの……今、彼女とのセイヤクを破ったら――ヤツには絶対に勝てなくなるのよ。だから……解って頂戴?」
悲しげな表情で凛香に詫びる閑那。
凛香も閑那が苦しんでいるのを察して、それ以上は何も言わなかった。
「で、その女とはどうやって会うんだ?」
「呼んであるわ。もうすぐ――ココに現れるハズよ」
「現れる?来るんじゃなくて??」
「えぇ……彼女もチカラの持ち主だもの」
閑那のその言葉を最後に、しばらく沈黙が続いた。皆何かを考え込んでしまっている様だ。