第一章 出逢いの刻
閑那に名前を呼ばれビクッとなる。怒られる……そう思っていたのだが――
「私のいない間に、涼に変な事されなかった?大丈夫??」
心配そうに綾芽を抱き寄せて頭を撫で始めた。
「ちょっ……閑那さん、私は平気ですよ!?涼さんとは普通に話をしてただけですから!!」
そう言いながら閑那から逃れようと、必死に身を捩る綾芽。
はたから見ると、ほのぼのした光景であろうが、綾芽にとってはいい迷惑である。
「可哀想に……涼に口止めされたのね……」
閑那は涼をキッと睨んでいる。
「んなガキ……こっちから願い下げだよ……」
涼はそれだけ言うと綾芽から煙草を取り返し、また煙草に火を点けて吸いだした。
「ちょっ……涼さん!暢気に煙草なんか吸ってないで助けて下さいよ!!」
綾芽は涼に助けを求めるが――
「自分でどうにかしな……」
あっけなく見捨てられた。
「そんなぁ~……」
「ぷっ……あは……あははは」
3人のやり取りを見ていた凛香は思わず笑ってしまった。
「笑う前に助けて――」
ぐったりとした綾芽が、初対面の凛香に助けを求めだした。
「あらあら……貴方のせいで笑われちゃったじゃないの、涼」
「俺のせいじゃなく、アンタのせいだろ……」
「酷いわね~……ねぇ、綾芽ちゃん?」
「どっちでもいいから……離して……」
「もう離してあげたら?その人」
凛香のその一言で、閑那は綾芽を見て驚いた。
「綾芽ちゃん??大丈夫?」
完全に疲れきっている綾芽。
「今お水持ってくるわね!?」
そう言い閑那は綾芽からようやく離れた。
「ありがと……助かったよ。ええと――」
「凛香だよ」
「ありがと、凛香さん」
「どういたしましてっ」
「ったく……またガキかよ……」
「何か言った?オジサン!?」
「誰がオジサンだよ!?」
「誰って――アンタしかいないじゃん?ねぇ?綾芽」
凛香はそう言いながら綾芽を見た。
「え??」
いきなり巻き込まれた綾芽。どうしようか迷っていると、閑那が戻って来た。
「あらあら、貴方達もう仲良くなったの?綾芽ちゃん、はいお水」
手にしていたコップを綾芽に渡しながら微笑む閑那。綾芽は水を飲みながら、しばらく傍観することにした。
「仲良くなんてなってねぇよ……」
「涼ったら照れちゃって、可愛いわね~」
「は?」
「こんな美人3人に囲まれてたら、仕方がないのかしら?ねぇ?」
閑那が二人にウィンクした。
「アンタ男だろ……」
涼の言葉は虚しくも、空に消え去った。
「もう自己紹介は済んだのかしら?」
「うんっ。あっちのオジサンが涼で、こっちが綾芽でしょ?さっきから閑那が連呼してたから覚えちゃった」
「オジサンじゃねぇっつーのが聞こえないのかよ!!」
「あらあら……十代から見たら、涼ももうオジサンなのね~……」
涼を無視して、閑那は凛香と二人で盛り上がっている。
「人をガキ扱いした報いですよ……」
それまで傍観していた綾芽がボソッと言った。
「……ったく、これだから女は――」
「涼はまだまだ子供ね~……」
閑那がふぅ~……っと溜息を吐いた。
「そんなんだと、これから先が思いやられるわ……」
「は?」
「それくらいで喧嘩するようじゃ、これから先やってけないわよ?」
「アタシ、こんなオジサン嫌だな~……」
「俺だってこんなガキのお守りはごめんだな……」
「いい加減にして下さいよ!!こっちは授業サボって来てるのに、さっきから黙って聞いてれば――そんなに喧嘩したいなら、涼さんと凛香さん!外で2人で勝手に気が済むまでやってきて下さい!!」
我慢の限界に達した綾芽がキレた。
涼は吸っている煙草を危うく落とすところだった。
「それに、閑那さん!」
怒りの矛先は閑那にまでおよんだ。
「え……?わ、私??」
「一番年上なのに、何煽ってるんですか!?止めるのが普通でしょ??」
「あ――はい……」
キレた綾芽に、二人だけでなく閑那まで萎縮してしまった。
「まったく……元はと言えば、涼さんが悪いんですよ!?年下だからってガキ扱いするのは止めて下さい!いいですね?」
「あ、あぁ……」
「私のいない間に、涼に変な事されなかった?大丈夫??」
心配そうに綾芽を抱き寄せて頭を撫で始めた。
「ちょっ……閑那さん、私は平気ですよ!?涼さんとは普通に話をしてただけですから!!」
そう言いながら閑那から逃れようと、必死に身を捩る綾芽。
はたから見ると、ほのぼのした光景であろうが、綾芽にとってはいい迷惑である。
「可哀想に……涼に口止めされたのね……」
閑那は涼をキッと睨んでいる。
「んなガキ……こっちから願い下げだよ……」
涼はそれだけ言うと綾芽から煙草を取り返し、また煙草に火を点けて吸いだした。
「ちょっ……涼さん!暢気に煙草なんか吸ってないで助けて下さいよ!!」
綾芽は涼に助けを求めるが――
「自分でどうにかしな……」
あっけなく見捨てられた。
「そんなぁ~……」
「ぷっ……あは……あははは」
3人のやり取りを見ていた凛香は思わず笑ってしまった。
「笑う前に助けて――」
ぐったりとした綾芽が、初対面の凛香に助けを求めだした。
「あらあら……貴方のせいで笑われちゃったじゃないの、涼」
「俺のせいじゃなく、アンタのせいだろ……」
「酷いわね~……ねぇ、綾芽ちゃん?」
「どっちでもいいから……離して……」
「もう離してあげたら?その人」
凛香のその一言で、閑那は綾芽を見て驚いた。
「綾芽ちゃん??大丈夫?」
完全に疲れきっている綾芽。
「今お水持ってくるわね!?」
そう言い閑那は綾芽からようやく離れた。
「ありがと……助かったよ。ええと――」
「凛香だよ」
「ありがと、凛香さん」
「どういたしましてっ」
「ったく……またガキかよ……」
「何か言った?オジサン!?」
「誰がオジサンだよ!?」
「誰って――アンタしかいないじゃん?ねぇ?綾芽」
凛香はそう言いながら綾芽を見た。
「え??」
いきなり巻き込まれた綾芽。どうしようか迷っていると、閑那が戻って来た。
「あらあら、貴方達もう仲良くなったの?綾芽ちゃん、はいお水」
手にしていたコップを綾芽に渡しながら微笑む閑那。綾芽は水を飲みながら、しばらく傍観することにした。
「仲良くなんてなってねぇよ……」
「涼ったら照れちゃって、可愛いわね~」
「は?」
「こんな美人3人に囲まれてたら、仕方がないのかしら?ねぇ?」
閑那が二人にウィンクした。
「アンタ男だろ……」
涼の言葉は虚しくも、空に消え去った。
「もう自己紹介は済んだのかしら?」
「うんっ。あっちのオジサンが涼で、こっちが綾芽でしょ?さっきから閑那が連呼してたから覚えちゃった」
「オジサンじゃねぇっつーのが聞こえないのかよ!!」
「あらあら……十代から見たら、涼ももうオジサンなのね~……」
涼を無視して、閑那は凛香と二人で盛り上がっている。
「人をガキ扱いした報いですよ……」
それまで傍観していた綾芽がボソッと言った。
「……ったく、これだから女は――」
「涼はまだまだ子供ね~……」
閑那がふぅ~……っと溜息を吐いた。
「そんなんだと、これから先が思いやられるわ……」
「は?」
「それくらいで喧嘩するようじゃ、これから先やってけないわよ?」
「アタシ、こんなオジサン嫌だな~……」
「俺だってこんなガキのお守りはごめんだな……」
「いい加減にして下さいよ!!こっちは授業サボって来てるのに、さっきから黙って聞いてれば――そんなに喧嘩したいなら、涼さんと凛香さん!外で2人で勝手に気が済むまでやってきて下さい!!」
我慢の限界に達した綾芽がキレた。
涼は吸っている煙草を危うく落とすところだった。
「それに、閑那さん!」
怒りの矛先は閑那にまでおよんだ。
「え……?わ、私??」
「一番年上なのに、何煽ってるんですか!?止めるのが普通でしょ??」
「あ――はい……」
キレた綾芽に、二人だけでなく閑那まで萎縮してしまった。
「まったく……元はと言えば、涼さんが悪いんですよ!?年下だからってガキ扱いするのは止めて下さい!いいですね?」
「あ、あぁ……」