“compatibility”
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「そんな事、誰が決めた?名字がお前と会いたくないとでも言ったのか?違うだろう??」
「それは……」
「大方、名字に懐いてる奴等に噛み付かれただけなんだろ?いつものお前なら、そんな事気にしないじゃないか」
「でも……僕は…………」
「まったく……どちらにしろ、今のままでは何も変わらない。名字と今後どうするのかは、本人に会って決めろ」
高宮は陵刀の腕を無理矢理引っ張り、名前の部屋の前まで来ていた。
あくまでも下を向いたまま自分から動こうとしない陵刀に痺れを切らした高宮は、溜息を吐くと名前の部屋のチャイムを鳴らした。
名前の部屋のドアが開く音がし、陵刀は顔を上げた。
しかしそこに立っていたのは名前ではなく、見知らぬ女性だった。
「お久しぶりですね、高宮さん」
「ああ、久しぶりだな咲羅(サクラ)。名字は?」
「まだ寝てます。でも、もうそろそろ起きてくると思いますよ。それで――……そちらの方が噂の“司さん”ですか?」
「そうだ。陵刀、紹介しておこう。こいつは咲羅。お前も知ってる朔耶の姉だ。咲羅、コレが騒動の発端である陵刀司だ」
高宮に紹介された咲羅は、ニッコリと微笑んで陵刀に手を差し出した。
「初めまして。愚弟がご迷惑をお掛けしたそうで……」
「あ……いえ……こちらこそ…………」
おずおずと咲羅の出した手を握る陵刀を、咲羅は柔らかく微笑んで見ていた。
「お怪我はもう大丈夫なんですか?」
「え?」
「名前から聞きました。自分で腕を切った、と」
「いや……あの……」
「大丈夫なら何も言いません。でも――……名前を傷つけた事は許しません」
そう言いながら、咲羅はスゥッと目を細めた。
「咲羅……?」
「あぁ、名前が起きたみたいですね。さぁ、入ってください」
部屋の奥から、陵刀にとってはとても懐かしい声が漏れ聞こえてきた。
「名前……ちゃん…………」
恐る恐るその名を口にする陵刀の手を強引に引き、咲羅は部屋の中へと進んでいった。
高宮は陵刀が部屋に足を踏み入れた事を確認すると、何も言わずにドアを閉め帰って行った。
「咲――……司さん?な……んで?」
大きく目を見開き、名前は陵刀の姿を見ていた。
「名前ちゃん……」
「名前の事を心配して、わざわざ来てくれたのよ」
「ごめ……なさい……ウチのせいで――……ごめん…………なさい」
ボロボロと大粒の涙を流しながら、名前は立ち竦んでいた。
「私、ちょっと買い物に行ってきます。名前のこと頼みましたよ?司さん」
咲羅は名前を宥める事をせず、財布と携帯だけを取ると部屋を出て行った。
「本当に……ごめんなさい……司さん…………」
子供の様に泣きじゃくる名前を、陵刀はどうしていいのか解らずに見ていた。
「悪いのは君じゃない……僕の方だ」
やっとの事で口に出たのは、名前ではなく自分が悪いという言葉。だが、それを聞いてなお、名前の瞳からは止めどなく涙が溢れ流れ続けていた。
「もう……泣かないで。悪いのは――……君の気持ちを理解しきれなかった僕なんだから」
一歩、また一歩とゆっくり名前に近づいていく陵刀。
名前は段々近づいて来る陵刀の気配に、ビクリと震えていた。
「僕の事が怖い?」
あと少しで名前に触れられるという距離で、陵刀は小さな声で訊ねた。
それに対し、名前はただゆっくりと首を横に振り否定した。
「僕の事――……嫌いになった?」
躊躇いがちに疑問を口にする陵刀に、名前はまたゆっくりと首を横に振った。
「なら……僕の事、見てよ」
「それは……」
「大方、名字に懐いてる奴等に噛み付かれただけなんだろ?いつものお前なら、そんな事気にしないじゃないか」
「でも……僕は…………」
「まったく……どちらにしろ、今のままでは何も変わらない。名字と今後どうするのかは、本人に会って決めろ」
高宮は陵刀の腕を無理矢理引っ張り、名前の部屋の前まで来ていた。
あくまでも下を向いたまま自分から動こうとしない陵刀に痺れを切らした高宮は、溜息を吐くと名前の部屋のチャイムを鳴らした。
名前の部屋のドアが開く音がし、陵刀は顔を上げた。
しかしそこに立っていたのは名前ではなく、見知らぬ女性だった。
「お久しぶりですね、高宮さん」
「ああ、久しぶりだな咲羅(サクラ)。名字は?」
「まだ寝てます。でも、もうそろそろ起きてくると思いますよ。それで――……そちらの方が噂の“司さん”ですか?」
「そうだ。陵刀、紹介しておこう。こいつは咲羅。お前も知ってる朔耶の姉だ。咲羅、コレが騒動の発端である陵刀司だ」
高宮に紹介された咲羅は、ニッコリと微笑んで陵刀に手を差し出した。
「初めまして。愚弟がご迷惑をお掛けしたそうで……」
「あ……いえ……こちらこそ…………」
おずおずと咲羅の出した手を握る陵刀を、咲羅は柔らかく微笑んで見ていた。
「お怪我はもう大丈夫なんですか?」
「え?」
「名前から聞きました。自分で腕を切った、と」
「いや……あの……」
「大丈夫なら何も言いません。でも――……名前を傷つけた事は許しません」
そう言いながら、咲羅はスゥッと目を細めた。
「咲羅……?」
「あぁ、名前が起きたみたいですね。さぁ、入ってください」
部屋の奥から、陵刀にとってはとても懐かしい声が漏れ聞こえてきた。
「名前……ちゃん…………」
恐る恐るその名を口にする陵刀の手を強引に引き、咲羅は部屋の中へと進んでいった。
高宮は陵刀が部屋に足を踏み入れた事を確認すると、何も言わずにドアを閉め帰って行った。
「咲――……司さん?な……んで?」
大きく目を見開き、名前は陵刀の姿を見ていた。
「名前ちゃん……」
「名前の事を心配して、わざわざ来てくれたのよ」
「ごめ……なさい……ウチのせいで――……ごめん…………なさい」
ボロボロと大粒の涙を流しながら、名前は立ち竦んでいた。
「私、ちょっと買い物に行ってきます。名前のこと頼みましたよ?司さん」
咲羅は名前を宥める事をせず、財布と携帯だけを取ると部屋を出て行った。
「本当に……ごめんなさい……司さん…………」
子供の様に泣きじゃくる名前を、陵刀はどうしていいのか解らずに見ていた。
「悪いのは君じゃない……僕の方だ」
やっとの事で口に出たのは、名前ではなく自分が悪いという言葉。だが、それを聞いてなお、名前の瞳からは止めどなく涙が溢れ流れ続けていた。
「もう……泣かないで。悪いのは――……君の気持ちを理解しきれなかった僕なんだから」
一歩、また一歩とゆっくり名前に近づいていく陵刀。
名前は段々近づいて来る陵刀の気配に、ビクリと震えていた。
「僕の事が怖い?」
あと少しで名前に触れられるという距離で、陵刀は小さな声で訊ねた。
それに対し、名前はただゆっくりと首を横に振り否定した。
「僕の事――……嫌いになった?」
躊躇いがちに疑問を口にする陵刀に、名前はまたゆっくりと首を横に振った。
「なら……僕の事、見てよ」