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名前から顔を背けながら、朔耶は悔しそうに呟いた。
「だからオレ達は……誰かを姐御に近づけるのを良しとしてないんだよ。姐御がこうなる事を解ってて、それで近づけるのを避けてきたんだ。それをお前は…………」
自身を睨みつけながら名前の肩を強く抱くナルに、陵刀は止めていた足をまた動かし始めた。
「何する気だ?オニイサン」
「退いてくれないかな?朔耶くん」
「嫌だね。これ以上名前姐が傷付くのを黙って見過ごす事は、もう出来ねェ」
「……僕は」
「先生?」
「僕は名前ちゃんを傷つけたいワケじゃない!守りたいんだ!!」
朔耶の目を真っ直ぐに見据え、陵刀は力強く言い切った。
「守りたい……?陵刀さんに姐さんを守れると思って言ってるの?笑わせないでよ」
「僕は本気だ」
「……本気なら何をしてもいいワケじゃない」
「そうだよ!現に、名前姐さんは先生の行動でかなり傷付いてるんだ!!見て判らないの?」
「そんな事、言われなくても解ってる!」
「なら……これが最後の忠告だ。姐御から手を引け。もう2度と姐御の前に姿を現すな。陵刀……アンタに会わない様、R.E.D.にはオレから連絡しとくからよ」
まるで子を守る野生動物の様に、ナル達はその牙を剥いて陵刀を名前に近付けまいとしていた。
「とにかく、だ。今の名前姐にオニイサンを近付かせるわけにはいかない。今日はこのまま帰ってくれ」
「でも――……」
「“でも”も“だけど”もねェんだよ。これ以上アンタが近くにいると、姐御の負担が大きいってのが解らねェのか?」
「…………」
「今回はおとなしく退いてくれないかな?陵刀さん」
「おいら達だって、好きで先生を遠ざけようとしているワケじゃないんだよ……名前姐さんがあぁなっちゃった以上、原因を遠ざけるしかおいら達に出来る事はないんだ」
「…………どの位会えないのかな?」
「は?」
「どの位、名前ちゃんに会えなくなるのかな?」
縋る様な目でナルを見る陵刀だが、ナルはそれすらも切り捨てた。
「んなもん、一生に決まってんだろ」
「一……生……?」
「当たり前だろ。姐御がこうなったのはアンタの責任だ。いつ元に戻れるか判らない状態の姐御を、アンタに会わせるワケにはいかないんだよ!」
『オレは姐御と先に帰る。後は頼んだ』と言い残し、ナルは名前の肩を抱き寄せながら廃墟を出て行った。
残された朔耶達は気不味い空気の中、一言も喋ることなく黙々と楽器類を片付けて撤収した。
残された陵刀は自身の浅はかな行動に対し、ただただ自嘲気味に笑い続けるしか出来なかった。
あの日以降、名前は本当にR.E.D.に来なくなっていた。
高宮に訊いても辞めた訳ではないようだったが、それでもいつまた出勤してくるのかすら判らないという状態だった。
日に日に弱っていく陵刀を見かね、高宮は名前の家を訪ねるように陵刀を促した。
しかし、陵刀は返事はするものの、一向に名前の所へ行く気配が見られなかった。
それに痺れを切らした高宮が、仕事だと理由をつけて自身の車に陵刀を押しこみ名前の家へと向かった。
「どういう事ですか?院長……」
「会って話せ。名字はそこまで弱くない」
「そんな事言われても……」
「会えるように段取りは付けておいた。今なら彼等もいない。会って名字と話し合え。それとも――……本当にこのまま終わりにしたいのか?陵刀」
名前の家の前まで来ても、陵刀は尻込みしていた。
高宮の言葉に否定の意を唱えたいものの、名前に拒絶されると思うだけで足が前に進む事を拒否していた。
「僕は……」
「なんだ?」
「僕には……名前ちゃんに会う資格が無いんです」
「だからオレ達は……誰かを姐御に近づけるのを良しとしてないんだよ。姐御がこうなる事を解ってて、それで近づけるのを避けてきたんだ。それをお前は…………」
自身を睨みつけながら名前の肩を強く抱くナルに、陵刀は止めていた足をまた動かし始めた。
「何する気だ?オニイサン」
「退いてくれないかな?朔耶くん」
「嫌だね。これ以上名前姐が傷付くのを黙って見過ごす事は、もう出来ねェ」
「……僕は」
「先生?」
「僕は名前ちゃんを傷つけたいワケじゃない!守りたいんだ!!」
朔耶の目を真っ直ぐに見据え、陵刀は力強く言い切った。
「守りたい……?陵刀さんに姐さんを守れると思って言ってるの?笑わせないでよ」
「僕は本気だ」
「……本気なら何をしてもいいワケじゃない」
「そうだよ!現に、名前姐さんは先生の行動でかなり傷付いてるんだ!!見て判らないの?」
「そんな事、言われなくても解ってる!」
「なら……これが最後の忠告だ。姐御から手を引け。もう2度と姐御の前に姿を現すな。陵刀……アンタに会わない様、R.E.D.にはオレから連絡しとくからよ」
まるで子を守る野生動物の様に、ナル達はその牙を剥いて陵刀を名前に近付けまいとしていた。
「とにかく、だ。今の名前姐にオニイサンを近付かせるわけにはいかない。今日はこのまま帰ってくれ」
「でも――……」
「“でも”も“だけど”もねェんだよ。これ以上アンタが近くにいると、姐御の負担が大きいってのが解らねェのか?」
「…………」
「今回はおとなしく退いてくれないかな?陵刀さん」
「おいら達だって、好きで先生を遠ざけようとしているワケじゃないんだよ……名前姐さんがあぁなっちゃった以上、原因を遠ざけるしかおいら達に出来る事はないんだ」
「…………どの位会えないのかな?」
「は?」
「どの位、名前ちゃんに会えなくなるのかな?」
縋る様な目でナルを見る陵刀だが、ナルはそれすらも切り捨てた。
「んなもん、一生に決まってんだろ」
「一……生……?」
「当たり前だろ。姐御がこうなったのはアンタの責任だ。いつ元に戻れるか判らない状態の姐御を、アンタに会わせるワケにはいかないんだよ!」
『オレは姐御と先に帰る。後は頼んだ』と言い残し、ナルは名前の肩を抱き寄せながら廃墟を出て行った。
残された朔耶達は気不味い空気の中、一言も喋ることなく黙々と楽器類を片付けて撤収した。
残された陵刀は自身の浅はかな行動に対し、ただただ自嘲気味に笑い続けるしか出来なかった。
あの日以降、名前は本当にR.E.D.に来なくなっていた。
高宮に訊いても辞めた訳ではないようだったが、それでもいつまた出勤してくるのかすら判らないという状態だった。
日に日に弱っていく陵刀を見かね、高宮は名前の家を訪ねるように陵刀を促した。
しかし、陵刀は返事はするものの、一向に名前の所へ行く気配が見られなかった。
それに痺れを切らした高宮が、仕事だと理由をつけて自身の車に陵刀を押しこみ名前の家へと向かった。
「どういう事ですか?院長……」
「会って話せ。名字はそこまで弱くない」
「そんな事言われても……」
「会えるように段取りは付けておいた。今なら彼等もいない。会って名字と話し合え。それとも――……本当にこのまま終わりにしたいのか?陵刀」
名前の家の前まで来ても、陵刀は尻込みしていた。
高宮の言葉に否定の意を唱えたいものの、名前に拒絶されると思うだけで足が前に進む事を拒否していた。
「僕は……」
「なんだ?」
「僕には……名前ちゃんに会う資格が無いんです」