「？」
「それは……危険な海でも子供がしっかりと浮かべるようにするためなんだ。しかし、私は……司を浮かばせようと焦るあまり、逆に我が子を沈めてしまうところだったのかも知れん……」
「気付けたのなら、まだ間に合うよ」
「名前くん……」
「人間、過ちを犯さない人なんていない。その過ちに気付いてどうするのかが大事なんだと思う。ま、あくまでもウチの持論だけどね」
「フッ……司も大変な女性に惚れた様だな――……」
「それって、褒めてます？」
「勿論だ。私の事は“お義理父さん”と呼んでくれて構わないよ」
「いやいや……それはかなり気が早いって……」
陵刀教授の言葉に呆れながらも、名前は笑顔になっていた。
「それと羅高くん」
遠くからヘリコプターが近づいて来る音がし始めた。
「ラッコはイタチ科なんだから、水を抜いても診察出来る！教えてやるつもりなら、最初からそう言ってやらなきゃな！じゃ！」
陵刀教授は着陸したヘリコプターに乗り込むと、そのまま空へと旅立っていった。
「そ……そーなのか！？俺、ウンコまみれになるイミなかったの？」
「そーいえば歩いてましたよ、ラッコ……；」
こうして陵刀親子が起こした嵐は過ぎ去ったのだった。