ラッコ
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《業務連絡、業務連絡――医局第二科陵刀先生――至急院長室までお越し下さい。繰り返します。医局第二科、陵刀先生――……》
ある日陵刀が医局で漫画雑誌を読んでいると、院内放送で呼び出しがかかった。
「ん?はーい、今行きまーす」
「ついに、サボりすぎてお説教でもされるのか……」
「名前ちゃん、それ言い過ぎ」
「本当の事でしょ」
「まったく……名前ちゃんも来てよ」
「えー……ウチ、仕事してるんだけど?」
「恋人の一大事かもしれないんだよ?そんな事より僕を優先してよ」
「仕事は“そんな事”じゃない!」
「いいから、一緒に来て♡」
仕事をしている名前の腕を引っ張り、陵刀はそのまま名前を連れて院長室へと向かった。
「お呼びですか、院長」
院長室に着くなり、陵刀は畏まって高宮の前に立った。
「…………ついに来るべき時が来たようだ……今すぐ逃げるんだ、陵刀!」
「!!」
「逃げ……る?」
焦りながら立ち上がる高宮と陵刀の顔には、大量の冷や汗が流れていた。
「まっ……まさかそれは……父が!?」
「……そうだ」
「陵刀先生のお父さん?」
「“陵刀遣威”名誉教授は今日、東ティモールから戻られてそのままこちらにいらっしゃるそうだ」
「そ……そうですか……」
「……どうする?ウチの地下室にでも身を隠すか……?」
落ち着きを取り戻すかのように椅子に座った高宮は、陵刀に提案した。
「いや……それは危険です。父は勘がいいですからね……見つかった時、地下室じゃ逃げ場がない」
「ならば、すぐ海外出張の手続きを……」
「いえ!」
受話器を上げようとした高宮を、何故か陵刀は止めた。
「明日から3連休ですし、今からチケットの手配をしたのでは……」
「そうか……ではどうする……?」
「新潟の水族館に叔父がいます。叔父ならば必ず助けてくれるハズですし、国内に逃げた方がかえって意表をつけるかもしれません」
「――分かった。あとは何とか俺がごまかそう。急いで向かえ!」
「ありがとうございます。では!」
高宮に深々と頭を下げると、陵刀は名前を引きずる様にして院長室を後にした。
「痛いって!」
「……ああ、ごめん」
力の加減を考える余裕もなく、名前の腕を引っ張り医局に戻った陵刀は、名前の一言でようやく思考が戻った。
「さっきから険しい顔してるけど、そんなにお父さんに会いたくないの?」
「そりゃあ、会いたくないよ」
「どうして?」
「……名前ちゃんと一緒にいられなくなる」
名前が急に何を言い出すのかと不思議そうに陵刀の顔を見ていると、陵刀は焦りながら続けた。
「父ならやりかねないんだ!僕を研究所に連れ戻す為なら、何だってやる!!」
「フーン……それで?」
「だから僕は新潟の叔父の所にひとまず身を隠す。名前ちゃんも――……」
「ウチは行かない」
「え!?」
「陵刀先生のお父さんに会ってみたいし、どういう人なのか自分の目で確かめたいから」
「……会ったら後悔するよ?」
「会わずに後悔するよりもマシ」
「そう……解った。なら、僕はもう行くよ」
名前の額に軽くキスを落とし、陵刀は急いで医局を出て行った。
《業務連絡、業務連絡――医局第二科美坂先生、鞍智先生、岩城先生、瀬能看護師、名字さん――至急院長室までお越し下さい。繰り返します。医局第二科美坂先生――……》
本日2度目の院内放送に、名前は重い腰を上げて院長室へと向かった。
「すまんな皆、仕事中に」
「まったくだ。こっちはまだカルテを作ってる途中なんだ。早くしてくれ」
「分かってるよ。実は――……」
高宮が美坂達に院長室へ呼び寄せた理由を話し始めた。
ある日陵刀が医局で漫画雑誌を読んでいると、院内放送で呼び出しがかかった。
「ん?はーい、今行きまーす」
「ついに、サボりすぎてお説教でもされるのか……」
「名前ちゃん、それ言い過ぎ」
「本当の事でしょ」
「まったく……名前ちゃんも来てよ」
「えー……ウチ、仕事してるんだけど?」
「恋人の一大事かもしれないんだよ?そんな事より僕を優先してよ」
「仕事は“そんな事”じゃない!」
「いいから、一緒に来て♡」
仕事をしている名前の腕を引っ張り、陵刀はそのまま名前を連れて院長室へと向かった。
「お呼びですか、院長」
院長室に着くなり、陵刀は畏まって高宮の前に立った。
「…………ついに来るべき時が来たようだ……今すぐ逃げるんだ、陵刀!」
「!!」
「逃げ……る?」
焦りながら立ち上がる高宮と陵刀の顔には、大量の冷や汗が流れていた。
「まっ……まさかそれは……父が!?」
「……そうだ」
「陵刀先生のお父さん?」
「“陵刀遣威”名誉教授は今日、東ティモールから戻られてそのままこちらにいらっしゃるそうだ」
「そ……そうですか……」
「……どうする?ウチの地下室にでも身を隠すか……?」
落ち着きを取り戻すかのように椅子に座った高宮は、陵刀に提案した。
「いや……それは危険です。父は勘がいいですからね……見つかった時、地下室じゃ逃げ場がない」
「ならば、すぐ海外出張の手続きを……」
「いえ!」
受話器を上げようとした高宮を、何故か陵刀は止めた。
「明日から3連休ですし、今からチケットの手配をしたのでは……」
「そうか……ではどうする……?」
「新潟の水族館に叔父がいます。叔父ならば必ず助けてくれるハズですし、国内に逃げた方がかえって意表をつけるかもしれません」
「――分かった。あとは何とか俺がごまかそう。急いで向かえ!」
「ありがとうございます。では!」
高宮に深々と頭を下げると、陵刀は名前を引きずる様にして院長室を後にした。
「痛いって!」
「……ああ、ごめん」
力の加減を考える余裕もなく、名前の腕を引っ張り医局に戻った陵刀は、名前の一言でようやく思考が戻った。
「さっきから険しい顔してるけど、そんなにお父さんに会いたくないの?」
「そりゃあ、会いたくないよ」
「どうして?」
「……名前ちゃんと一緒にいられなくなる」
名前が急に何を言い出すのかと不思議そうに陵刀の顔を見ていると、陵刀は焦りながら続けた。
「父ならやりかねないんだ!僕を研究所に連れ戻す為なら、何だってやる!!」
「フーン……それで?」
「だから僕は新潟の叔父の所にひとまず身を隠す。名前ちゃんも――……」
「ウチは行かない」
「え!?」
「陵刀先生のお父さんに会ってみたいし、どういう人なのか自分の目で確かめたいから」
「……会ったら後悔するよ?」
「会わずに後悔するよりもマシ」
「そう……解った。なら、僕はもう行くよ」
名前の額に軽くキスを落とし、陵刀は急いで医局を出て行った。
《業務連絡、業務連絡――医局第二科美坂先生、鞍智先生、岩城先生、瀬能看護師、名字さん――至急院長室までお越し下さい。繰り返します。医局第二科美坂先生――……》
本日2度目の院内放送に、名前は重い腰を上げて院長室へと向かった。
「すまんな皆、仕事中に」
「まったくだ。こっちはまだカルテを作ってる途中なんだ。早くしてくれ」
「分かってるよ。実は――……」
高宮が美坂達に院長室へ呼び寄せた理由を話し始めた。