美坂
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「んー、今日こそは名前ちゃんと2人で食事したいなって思って♡」
「別にいいけど」
「……やっぱダメだよね~」
「いいけど、それ位なら」
「え?!いいの??」
「うん。メシだけならね」
「よかった♪断られると思ってたよ;」
「“理解者”とならメシ位行くよ」
「そっか♡」
そうして名前との食事の約束を取り付けた陵刀は、鼻歌交じりに運転しながらR.E.D.に向かった。
夜遅くにR.E.D.に着き、医局へ向かう名前。陵刀は患畜のレントゲンが仕上がっていたらしく、それを取ってから医局に来るとの事だった。
名前はとりあえずパソコンの電源をつけ、コーヒーを淹れに医局を出る事にした。
ドアを開けた所で陵刀が入ってこようとしていた。
「あれ?どこ行くの?」
「コーヒー入れてくる。陵刀先生も飲むでしょ?」
「うん、お願い♡」
陵刀と別れ給湯室へと向かう道すがら、名前は美坂という男について考えた。R.E.D.一とまで言われた獣医師の為に作られたという六科。院外にあるその出張所は、あまりにも簡素な作りのプレハブだった。
給湯室でコーヒーを淹れ終えると、名前は急いで医局へと戻った。
医局のドアを開けようとした所で、中から電話が鳴る音が聞こえてきた。
「はい、こちらR.E.D.第二科WI……」
『コラテメェ陵刀!!』
陵刀が出た電話の受話器の向こうからは、岩城の叫び声が聞こえていた。
「いやー、感激だな。君から電話貰えるなんて♡」
『アホか!!』
「冗談冗談♡で、どうそっちは?」
『どーもこーもねェよ!!最っ悪なデタラメ言いやがって!あんな奴がR.E.D.No.1なワケねーだろが!!』
岩城が電話で抗議している声が木霊する中、名前は入れてきたコーヒーを陵刀が座っている椅子の机に置いた。
近くに立ったままコーヒーに口をつけ、岩城と陵刀の話を聞く名前。
「僕はR.E.D.No.1なんて言ってないよ。“元”R.E.D.No.1って言ったんだ。君が勝手に勘違いしたんだろう?」
『あのな!元だろーが何だろうが、あんな注射で手ェ震えるよーな奴、昔からダメに決まって……』
「ホントだよ」
『え……?』
「美坂はね……凄く熱心な獣医だったんだ……いつも世界中を飛び回り、病院にいる時も遅くまで患畜達の治療をしてた……でも……数年前のある日――その日は美坂の息子さんの手術の日でね……美坂も病院に行こうとしてたんだ。でも息子さんが――」
「父さん、今日は大事な患畜の手術だったよね。ちゃんと行ってよ、僕1人で大丈夫だから」
「し……しかし……」
「その手術、父さんしか出来ないんでしょ?そのコ、助けてって父さんの事呼んでるよ。父さんがそのコ助けたら、神さまも僕を助けてくれると思うんだ……」
「……分かった。俺は必ず患畜を助ける!だからお前も頑張るんだぞ!」
「それが美坂が息子さんと話した最後だったんだ……息子さんはね……8つの時に発病してから何度も手術を繰り返して――…………もしかしたら彼は……もう自分の命が保たないのを解っていて、美坂を行かせたのかも知れない。父親の仕事を……とても誇りに思っていた様だから……」
陵刀が美坂に何があったのかを話していると、そこまで聞いた岩城が電話を切った音がした。
「鉄生くん?鉄生く…………鉄生くん……」
受話器を置いた陵刀の顔は、どこか思いつめた物になっていた。
「陵刀先生」
「なにかな?」
「美坂先生の事情は、今ので大体解った。大方、院長が美坂先生を立ち直らせる為に鉄生先生を向かわせたんでしょ?」
「そうだけど……」
「なら、院長の判断と鉄生先生の事を信じよう?あの人ならきっと何かしてくれる。いい意味でね」
「そう……だね」
「ほら、解ったらそんな顔しない!さすがに腹減ったから、メシ食いに行こ」
「別にいいけど」
「……やっぱダメだよね~」
「いいけど、それ位なら」
「え?!いいの??」
「うん。メシだけならね」
「よかった♪断られると思ってたよ;」
「“理解者”とならメシ位行くよ」
「そっか♡」
そうして名前との食事の約束を取り付けた陵刀は、鼻歌交じりに運転しながらR.E.D.に向かった。
夜遅くにR.E.D.に着き、医局へ向かう名前。陵刀は患畜のレントゲンが仕上がっていたらしく、それを取ってから医局に来るとの事だった。
名前はとりあえずパソコンの電源をつけ、コーヒーを淹れに医局を出る事にした。
ドアを開けた所で陵刀が入ってこようとしていた。
「あれ?どこ行くの?」
「コーヒー入れてくる。陵刀先生も飲むでしょ?」
「うん、お願い♡」
陵刀と別れ給湯室へと向かう道すがら、名前は美坂という男について考えた。R.E.D.一とまで言われた獣医師の為に作られたという六科。院外にあるその出張所は、あまりにも簡素な作りのプレハブだった。
給湯室でコーヒーを淹れ終えると、名前は急いで医局へと戻った。
医局のドアを開けようとした所で、中から電話が鳴る音が聞こえてきた。
「はい、こちらR.E.D.第二科WI……」
『コラテメェ陵刀!!』
陵刀が出た電話の受話器の向こうからは、岩城の叫び声が聞こえていた。
「いやー、感激だな。君から電話貰えるなんて♡」
『アホか!!』
「冗談冗談♡で、どうそっちは?」
『どーもこーもねェよ!!最っ悪なデタラメ言いやがって!あんな奴がR.E.D.No.1なワケねーだろが!!』
岩城が電話で抗議している声が木霊する中、名前は入れてきたコーヒーを陵刀が座っている椅子の机に置いた。
近くに立ったままコーヒーに口をつけ、岩城と陵刀の話を聞く名前。
「僕はR.E.D.No.1なんて言ってないよ。“元”R.E.D.No.1って言ったんだ。君が勝手に勘違いしたんだろう?」
『あのな!元だろーが何だろうが、あんな注射で手ェ震えるよーな奴、昔からダメに決まって……』
「ホントだよ」
『え……?』
「美坂はね……凄く熱心な獣医だったんだ……いつも世界中を飛び回り、病院にいる時も遅くまで患畜達の治療をしてた……でも……数年前のある日――その日は美坂の息子さんの手術の日でね……美坂も病院に行こうとしてたんだ。でも息子さんが――」
「父さん、今日は大事な患畜の手術だったよね。ちゃんと行ってよ、僕1人で大丈夫だから」
「し……しかし……」
「その手術、父さんしか出来ないんでしょ?そのコ、助けてって父さんの事呼んでるよ。父さんがそのコ助けたら、神さまも僕を助けてくれると思うんだ……」
「……分かった。俺は必ず患畜を助ける!だからお前も頑張るんだぞ!」
「それが美坂が息子さんと話した最後だったんだ……息子さんはね……8つの時に発病してから何度も手術を繰り返して――…………もしかしたら彼は……もう自分の命が保たないのを解っていて、美坂を行かせたのかも知れない。父親の仕事を……とても誇りに思っていた様だから……」
陵刀が美坂に何があったのかを話していると、そこまで聞いた岩城が電話を切った音がした。
「鉄生くん?鉄生く…………鉄生くん……」
受話器を置いた陵刀の顔は、どこか思いつめた物になっていた。
「陵刀先生」
「なにかな?」
「美坂先生の事情は、今ので大体解った。大方、院長が美坂先生を立ち直らせる為に鉄生先生を向かわせたんでしょ?」
「そうだけど……」
「なら、院長の判断と鉄生先生の事を信じよう?あの人ならきっと何かしてくれる。いい意味でね」
「そう……だね」
「ほら、解ったらそんな顔しない!さすがに腹減ったから、メシ食いに行こ」