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通話を終えると、名前は軽く息を吐き陵刀を見た。
「ナルちゃんの許可は取ったよ。あとはナルちゃんが皆に伝えてくれるから大丈夫」
「有難う♪」
「別にいいよ。それに、これが最初で最後かもしれないしね」
「?」
「まっ、話はこれで終わり。仕事に戻ろう」
自身の膝を軽く叩くと、名前は立ち上がろうとした。
しかし、腰を浮かせた所で陵刀に腕を引かれ、彼の腕の中へと引き寄せられていった。
「何してんの?」
「分からない?」
「分からんから訊いてる」
「抱きしめたくなったから♡」
「さいですか……理由は解ったから離せ」
「……少しだけでいいから、このままでいさせてくれないかな?」
「嫌だ。抱きつかれる理由がない」
「好きなコを抱きしめたいって思うのは、普通の事だよ」
「相手の気持ち考えろよ。好きでもないヤツに抱きつかれて喜ぶヤツがいるか?」
「名前ちゃんが僕の事を好きになれば、解決するよ♪」
「ヲイ……」
「……ごめん。だけど、本当に少しでいいからこうしていたいんだ」
抱きしめる腕に力を込める陵刀に、最終的には名前が折れた。
「…………分かったから、力弱めろ。苦しい」
「ありがとう」
ふわりと微笑みながら、陵刀は少しだけ腕の力を弱めた。
やがて陵刀から開放された名前は、何事も無かったかの様に医局の鍵を開け、自身の仕事に戻った。
「ところでさー」
「なに?」
「名前ちゃんって、休みの日は普段何してるの?」
「何って……色々?」
パソコンを操作していた名前の動きが止まり、訝しげにその視線が陵刀へと向けられた。
「その“色々”ってのが知りたいんだけど」
「……作詞」
「作詞?」
「“compatibility”で唄うヤツの作詞してる。後は楽器の練習とか」
「へぇ~。楽器引けるんだ?」
「そんなに上手くないけどね。朔耶に教えて貰ってる」
「朔耶くんも楽器弾けるの?」
「うん。アイツはギターやってる。この前会ったメンバーは、皆“compatibility”のメンバーだから何がしかの楽器出来るよ」
どこか誇らしげに言う名前に、陵刀は自然と笑みが溢れていた。
「ちなみに、名前ちゃんは何をやってるの?」
「……ベースとボーカル」
「へぇー、聴いてみたいな♪名前ちゃんの歌声♡」
「…………そのうちね」
「約束だよ?」
いつの間にか近くに来て小指を出して言う陵刀を呆気に取られて見つめていると、陵刀が名前の手を取って小指を絡ませた。
「ゆーびきーりげーんまーん……」
「ガキか!」
指切りをして満足した陵刀は、また元の場所に戻り雑誌を読みだした。
それから暫くし経ったある日の朝、名前は陵刀を探して院内を彷徨っていた。
すると、出張に行っていた岩城と瀬能が帰ってきたとの話を小耳に挟んだ。
2人に陵刀を見かけなかったか訊く為、名前は正面玄関に向かって急いだ。
正面玄関に着くと、そこでは瀬能と犬が岩城を引きずって中に入ろうとしている所に出くわした。
「もぉ、先生ってばー!!」
「……何してんの?」
「名前さん!おはよー」
「名字!?」
岩城が名前の出現に驚いて逃げようとしていると、どこからともなく陵刀が現れた。
「やあ鉄生くん♡」
「あ、陵刀先生おはよーございます!」
「ここにいたんかよ!」
「おはよ♡聞いたよ、昨日はお手柄だったそうじゃないか」
「昨日?」
「昨日機長さんから連絡があったよ」
思い返してみれば、確かに昨日、陵刀は電話で畏まって話していた。
岩城は陵刀の言葉を聞いて、物凄い早さで逃げて行っていた。
「りょ……陵刀先生!わ……解ってください!あれはやむなくやった事で、免許剥奪だけは……」
「ナルちゃんの許可は取ったよ。あとはナルちゃんが皆に伝えてくれるから大丈夫」
「有難う♪」
「別にいいよ。それに、これが最初で最後かもしれないしね」
「?」
「まっ、話はこれで終わり。仕事に戻ろう」
自身の膝を軽く叩くと、名前は立ち上がろうとした。
しかし、腰を浮かせた所で陵刀に腕を引かれ、彼の腕の中へと引き寄せられていった。
「何してんの?」
「分からない?」
「分からんから訊いてる」
「抱きしめたくなったから♡」
「さいですか……理由は解ったから離せ」
「……少しだけでいいから、このままでいさせてくれないかな?」
「嫌だ。抱きつかれる理由がない」
「好きなコを抱きしめたいって思うのは、普通の事だよ」
「相手の気持ち考えろよ。好きでもないヤツに抱きつかれて喜ぶヤツがいるか?」
「名前ちゃんが僕の事を好きになれば、解決するよ♪」
「ヲイ……」
「……ごめん。だけど、本当に少しでいいからこうしていたいんだ」
抱きしめる腕に力を込める陵刀に、最終的には名前が折れた。
「…………分かったから、力弱めろ。苦しい」
「ありがとう」
ふわりと微笑みながら、陵刀は少しだけ腕の力を弱めた。
やがて陵刀から開放された名前は、何事も無かったかの様に医局の鍵を開け、自身の仕事に戻った。
「ところでさー」
「なに?」
「名前ちゃんって、休みの日は普段何してるの?」
「何って……色々?」
パソコンを操作していた名前の動きが止まり、訝しげにその視線が陵刀へと向けられた。
「その“色々”ってのが知りたいんだけど」
「……作詞」
「作詞?」
「“compatibility”で唄うヤツの作詞してる。後は楽器の練習とか」
「へぇ~。楽器引けるんだ?」
「そんなに上手くないけどね。朔耶に教えて貰ってる」
「朔耶くんも楽器弾けるの?」
「うん。アイツはギターやってる。この前会ったメンバーは、皆“compatibility”のメンバーだから何がしかの楽器出来るよ」
どこか誇らしげに言う名前に、陵刀は自然と笑みが溢れていた。
「ちなみに、名前ちゃんは何をやってるの?」
「……ベースとボーカル」
「へぇー、聴いてみたいな♪名前ちゃんの歌声♡」
「…………そのうちね」
「約束だよ?」
いつの間にか近くに来て小指を出して言う陵刀を呆気に取られて見つめていると、陵刀が名前の手を取って小指を絡ませた。
「ゆーびきーりげーんまーん……」
「ガキか!」
指切りをして満足した陵刀は、また元の場所に戻り雑誌を読みだした。
それから暫くし経ったある日の朝、名前は陵刀を探して院内を彷徨っていた。
すると、出張に行っていた岩城と瀬能が帰ってきたとの話を小耳に挟んだ。
2人に陵刀を見かけなかったか訊く為、名前は正面玄関に向かって急いだ。
正面玄関に着くと、そこでは瀬能と犬が岩城を引きずって中に入ろうとしている所に出くわした。
「もぉ、先生ってばー!!」
「……何してんの?」
「名前さん!おはよー」
「名字!?」
岩城が名前の出現に驚いて逃げようとしていると、どこからともなく陵刀が現れた。
「やあ鉄生くん♡」
「あ、陵刀先生おはよーございます!」
「ここにいたんかよ!」
「おはよ♡聞いたよ、昨日はお手柄だったそうじゃないか」
「昨日?」
「昨日機長さんから連絡があったよ」
思い返してみれば、確かに昨日、陵刀は電話で畏まって話していた。
岩城は陵刀の言葉を聞いて、物凄い早さで逃げて行っていた。
「りょ……陵刀先生!わ……解ってください!あれはやむなくやった事で、免許剥奪だけは……」