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期限付きで陵刀を“理解者”として迎え入れてから、名前に対する陵刀の態度が明らかに変わっていた。
「名前ちゃん♡」
「……何?」
その日も院内で名前を目敏く見つけた陵刀は、名前に走り寄ると名前を呼びながら人目も憚らずに抱きついてきた。
「抱き着くなっ!」
「無理♡」
「無理じゃない!理由もなく抱き着くな!!」
「えー……理由ならあるよ」
「却下」
「聞く前から却下って酷くない?」
「どうせ、碌でもない理由なんでしょ?聞くだけ無駄」
『解ったら離れろ』と冷たく言い放つ名前に対し、陵刀は離すどころか更に力を込めて抱き締めた。
「いやいや……意味解かんない行動すんなよ」
「名前ちゃんって、抱き心地いいね♡」
「それって、今言う必要ある?つか、いい加減離せ」
「んー、それは無理かな。こうしてないと、名前ちゃんに悪い虫付きそうだし」
真剣な声音で言う陵刀に、名前は一瞬思考が停止した。
「僕、名前ちゃんを守る為なら何だってするよ?例え名前ちゃんが嫌がる事でもね」
「……て」
「え?」
「……や……めて」
「名前ちゃん?どうしたの??」
ポツリと呟いた名前の言葉を聞き逃さず、陵刀はその真意を問い質そうとしていた。
「……そういうの…………マジで止めて」
「嫌だ――って言ったら?」
「……逃げる、かな」
「逃さないよ」
名前の身体を強く抱き寄せ、陵刀はその腕の中から名前を逃がすまいとしていた。
そんな陵刀の行動に、名前は身を捩って抵抗を見せるも、男女の力の差に敵う訳もなく逃げる事は叶わなかった。
暫く陵刀に抱きしめられたままでいると、不意に拘束されていた身体を開放された。
「……院長、邪魔しないでくださいよ」
陵刀から開放され振り向くと、そこには鬼の形相になった高宮がいた。
「何をやってるんだ?陵刀……」
「何って――……見て判りませんか?」
「確かに俺はお前に名字を任せたが……そんな事をさせる為じゃない」
「“そんな事”ってなんですか?こう見えて僕は真剣なんですけどね」
「……名字」
「は……はいっ」
「ちょっと一緒に来い」
「分かり……ました」
高宮は名前に声を掛けると、踵を返して歩き出した。
名前はそんな高宮の後を慌てて追いかけて行く。
残された陵刀は、何故高宮があんな顔をしていたのか理解出来ずにいた。
「――……で、人目も憚らず、何故陵刀と抱き合っていたんだ?」
院長室に着くなり、高宮は溜息混じりに名前を問い質していた。
「抱き合ってなんかない……」
「そうか?傍から見たら、充分抱き合ってる様に見えたぞ」
「アレは陵刀先生が――……」
尻すぼみになりながらも、名前は言葉を紡いだ。
「……いきなり抱き着いてきただけだよ」
「何故抵抗しなかった?大声を出せば、さすがに周りの者が助けに入っただろ」
「そこまでする必要は無いかと思ったから……」
「たまたま俺が通りがかったから良かったものの……お前はどうして自分の事には無頓着なんだ?」
「自分の事なんかどうでもいいから……周りが幸せなら、それでいい」
「ハァ……俺はお前に幸せになって貰いたいからこそ、R.E.D.に呼んだんだぞ」
椅子に座った状態で、片手で顔を覆いながら高宮は大きな溜息を吐いた。
そんな高宮の姿を見て、名前はバツが悪そうに顔を背けた。
「ごめん……」
「謝る位なら、もう少し自分の事を大事にしろ。もう“あの時”の様にヤケになったお前は見たくないからな」
「……解ってる」
「ならばもう何も言うまい。仕事に戻れ」
「名前ちゃん♡」
「……何?」
その日も院内で名前を目敏く見つけた陵刀は、名前に走り寄ると名前を呼びながら人目も憚らずに抱きついてきた。
「抱き着くなっ!」
「無理♡」
「無理じゃない!理由もなく抱き着くな!!」
「えー……理由ならあるよ」
「却下」
「聞く前から却下って酷くない?」
「どうせ、碌でもない理由なんでしょ?聞くだけ無駄」
『解ったら離れろ』と冷たく言い放つ名前に対し、陵刀は離すどころか更に力を込めて抱き締めた。
「いやいや……意味解かんない行動すんなよ」
「名前ちゃんって、抱き心地いいね♡」
「それって、今言う必要ある?つか、いい加減離せ」
「んー、それは無理かな。こうしてないと、名前ちゃんに悪い虫付きそうだし」
真剣な声音で言う陵刀に、名前は一瞬思考が停止した。
「僕、名前ちゃんを守る為なら何だってするよ?例え名前ちゃんが嫌がる事でもね」
「……て」
「え?」
「……や……めて」
「名前ちゃん?どうしたの??」
ポツリと呟いた名前の言葉を聞き逃さず、陵刀はその真意を問い質そうとしていた。
「……そういうの…………マジで止めて」
「嫌だ――って言ったら?」
「……逃げる、かな」
「逃さないよ」
名前の身体を強く抱き寄せ、陵刀はその腕の中から名前を逃がすまいとしていた。
そんな陵刀の行動に、名前は身を捩って抵抗を見せるも、男女の力の差に敵う訳もなく逃げる事は叶わなかった。
暫く陵刀に抱きしめられたままでいると、不意に拘束されていた身体を開放された。
「……院長、邪魔しないでくださいよ」
陵刀から開放され振り向くと、そこには鬼の形相になった高宮がいた。
「何をやってるんだ?陵刀……」
「何って――……見て判りませんか?」
「確かに俺はお前に名字を任せたが……そんな事をさせる為じゃない」
「“そんな事”ってなんですか?こう見えて僕は真剣なんですけどね」
「……名字」
「は……はいっ」
「ちょっと一緒に来い」
「分かり……ました」
高宮は名前に声を掛けると、踵を返して歩き出した。
名前はそんな高宮の後を慌てて追いかけて行く。
残された陵刀は、何故高宮があんな顔をしていたのか理解出来ずにいた。
「――……で、人目も憚らず、何故陵刀と抱き合っていたんだ?」
院長室に着くなり、高宮は溜息混じりに名前を問い質していた。
「抱き合ってなんかない……」
「そうか?傍から見たら、充分抱き合ってる様に見えたぞ」
「アレは陵刀先生が――……」
尻すぼみになりながらも、名前は言葉を紡いだ。
「……いきなり抱き着いてきただけだよ」
「何故抵抗しなかった?大声を出せば、さすがに周りの者が助けに入っただろ」
「そこまでする必要は無いかと思ったから……」
「たまたま俺が通りがかったから良かったものの……お前はどうして自分の事には無頓着なんだ?」
「自分の事なんかどうでもいいから……周りが幸せなら、それでいい」
「ハァ……俺はお前に幸せになって貰いたいからこそ、R.E.D.に呼んだんだぞ」
椅子に座った状態で、片手で顔を覆いながら高宮は大きな溜息を吐いた。
そんな高宮の姿を見て、名前はバツが悪そうに顔を背けた。
「ごめん……」
「謝る位なら、もう少し自分の事を大事にしろ。もう“あの時”の様にヤケになったお前は見たくないからな」
「……解ってる」
「ならばもう何も言うまい。仕事に戻れ」