カメ
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「肩の力を抜いて……か。随分と偉そうな事を言うんだな」
鞍智はまるで威嚇するかの様に名前に向かって吐き捨てた。
「私をどう思おうが、それは鞍智先生の自由です。ただ、こういう考え方もあるんだって事だけは知っておいて欲しかった。それだけです」
『お呼び立てして申し訳ありません』と頭を下げる名前。
鞍智はそんな名前を見て、言葉を紡ぐことなく立ち竦んでいた。
「あ~疲れた!」
気まずい空気が流れる中、まるで沈黙を破るかの様に陵刀が医局へと入ってきた。
「あれ?2人で何してるの?」
「何でもありません!失礼します!!」
陵刀に声を掛けられた事で空気が変わり、鞍智は逃げる様に医局を出て行った。
名前はその後姿を苦笑しながら見送っていた。
「何?僕、変な所に来ちゃった??」
「そんな事ないよ。それより――今までどこでサボってたんですかね?陵刀先生」
「嫌だなぁ、サボってないよ。今日はちゃんと仕事してたんだよ。それより……名前ちゃんこそ、鞍智くんと2人きりで何をしてたのかな?」
目だけが笑っていない笑顔で、陵刀は名前に詰め寄った。
「別に……陵刀先生には関係無い事だけど」
「関係無い?それは酷いな。僕はこんなにも君が好きだっていうのに」
言うなり、陵刀はその腕の中に名前を閉じ込めた。
「好きなコが他の男と2人きりでいたんだ。気にしない方がおかしいだろ?」
なおも名前を抱き寄せる陵刀。しかし、名前はその行動に対してとても冷静だった。
「どうでもいいけど、離して」
「嫌だ。鞍智くんと何をしてたのか教えてくれるまで、離さないよ」
「…………」
「名前ちゃん?」
「陵刀先生が考えてる様な事は一切ない。仕事の事で話してただけ。解ったら離して」
「本当に?」
「は?」
「本当に、仕事の話をしてただけ?」
「くどい。ウチの事信じられないなら、鞍智先生にも訊けばいい」
「……分かった。名前ちゃんを信じるよ」
自分に言い聞かせるように言うと、陵刀は漸く名前を腕の中から開放した。
あれから暫くして、名前は不意に鞍智の診療が気になり、彼を探すことにした。
広いR.E.D.の建物とはいえ、2科が占めている範囲はそんなに広くはない。
途中すれ違った看護師に鞍智の居場所を訊ね、教えられた診察室へ行くと正に診察の真っ最中だった。
「フー……とりあえず肺は無事みてーだな……」
診察室の中には、鞍智だけではなく岩城もいた。
覗きこんでみると、どうやらゾウガメを診ていた様だ。
「カメ……?どうしたの?このコ」
診察室の中に入り、思わず声を出す名前。
それに気付いた飼育員が、慌てて状況を説明した。
「園内でコイツを運んでたら、いきなり荷台のカギが外れて……真っ逆さまに排水管のフタんとこに落ちちまったんです。助けてやってくださいよ、先生~!!俺が悪いんス、全部俺が」
「い……いや……」
飼育員に懇願され、岩城は焦っていた。
内臓の損傷を診るために甲羅を剥がしたはいいが、元に戻す事も出来ずに岩城も困惑しているのは明らかだった。
「とりあえず、一時預かります」
瀬能の言葉に、飼育員はゾウガメを心配しながらも帰って行った。
「さて、陵刀先生に仕事して貰おうか」
「「え?」」
「こういう時は主任としての腕を発揮して貰わないと!」
名前はそう言うと、陵刀を探すために診察室を後にした。
いつもの様にサボっていると決めつけ、名前は裏庭に行ってみるもそこに陵刀の姿はなかった。
次に医局でまた怪しげな本や漫画でも読んでいるのかと行ってみるも、そこにも陵刀はいなかった。
不思議に思い、最後の賭けとばかりに二科の診察室を虱潰しに覗いていくと、C診察室で医学書を立ち読みしている陵刀を見つけた。
「こんな所にいたの……探したんだよ!?」
鞍智はまるで威嚇するかの様に名前に向かって吐き捨てた。
「私をどう思おうが、それは鞍智先生の自由です。ただ、こういう考え方もあるんだって事だけは知っておいて欲しかった。それだけです」
『お呼び立てして申し訳ありません』と頭を下げる名前。
鞍智はそんな名前を見て、言葉を紡ぐことなく立ち竦んでいた。
「あ~疲れた!」
気まずい空気が流れる中、まるで沈黙を破るかの様に陵刀が医局へと入ってきた。
「あれ?2人で何してるの?」
「何でもありません!失礼します!!」
陵刀に声を掛けられた事で空気が変わり、鞍智は逃げる様に医局を出て行った。
名前はその後姿を苦笑しながら見送っていた。
「何?僕、変な所に来ちゃった??」
「そんな事ないよ。それより――今までどこでサボってたんですかね?陵刀先生」
「嫌だなぁ、サボってないよ。今日はちゃんと仕事してたんだよ。それより……名前ちゃんこそ、鞍智くんと2人きりで何をしてたのかな?」
目だけが笑っていない笑顔で、陵刀は名前に詰め寄った。
「別に……陵刀先生には関係無い事だけど」
「関係無い?それは酷いな。僕はこんなにも君が好きだっていうのに」
言うなり、陵刀はその腕の中に名前を閉じ込めた。
「好きなコが他の男と2人きりでいたんだ。気にしない方がおかしいだろ?」
なおも名前を抱き寄せる陵刀。しかし、名前はその行動に対してとても冷静だった。
「どうでもいいけど、離して」
「嫌だ。鞍智くんと何をしてたのか教えてくれるまで、離さないよ」
「…………」
「名前ちゃん?」
「陵刀先生が考えてる様な事は一切ない。仕事の事で話してただけ。解ったら離して」
「本当に?」
「は?」
「本当に、仕事の話をしてただけ?」
「くどい。ウチの事信じられないなら、鞍智先生にも訊けばいい」
「……分かった。名前ちゃんを信じるよ」
自分に言い聞かせるように言うと、陵刀は漸く名前を腕の中から開放した。
あれから暫くして、名前は不意に鞍智の診療が気になり、彼を探すことにした。
広いR.E.D.の建物とはいえ、2科が占めている範囲はそんなに広くはない。
途中すれ違った看護師に鞍智の居場所を訊ね、教えられた診察室へ行くと正に診察の真っ最中だった。
「フー……とりあえず肺は無事みてーだな……」
診察室の中には、鞍智だけではなく岩城もいた。
覗きこんでみると、どうやらゾウガメを診ていた様だ。
「カメ……?どうしたの?このコ」
診察室の中に入り、思わず声を出す名前。
それに気付いた飼育員が、慌てて状況を説明した。
「園内でコイツを運んでたら、いきなり荷台のカギが外れて……真っ逆さまに排水管のフタんとこに落ちちまったんです。助けてやってくださいよ、先生~!!俺が悪いんス、全部俺が」
「い……いや……」
飼育員に懇願され、岩城は焦っていた。
内臓の損傷を診るために甲羅を剥がしたはいいが、元に戻す事も出来ずに岩城も困惑しているのは明らかだった。
「とりあえず、一時預かります」
瀬能の言葉に、飼育員はゾウガメを心配しながらも帰って行った。
「さて、陵刀先生に仕事して貰おうか」
「「え?」」
「こういう時は主任としての腕を発揮して貰わないと!」
名前はそう言うと、陵刀を探すために診察室を後にした。
いつもの様にサボっていると決めつけ、名前は裏庭に行ってみるもそこに陵刀の姿はなかった。
次に医局でまた怪しげな本や漫画でも読んでいるのかと行ってみるも、そこにも陵刀はいなかった。
不思議に思い、最後の賭けとばかりに二科の診察室を虱潰しに覗いていくと、C診察室で医学書を立ち読みしている陵刀を見つけた。
「こんな所にいたの……探したんだよ!?」