コアラ
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「名前ちゃんは黙って見てて♡」
手を突っ込まれた山羊は、苦しそうに声を上げて鳴いている。
「ん~無いな~~」
バタバタと藻掻く山羊を見て、飼い主であろう少年が陵刀を止めに入った。
「やっ……止めろよ、ヤギ山さん痛がってんだろーっ!!止めろってばー!!」
少年の制止も聞かずに、陵刀は更に手を奥まで入れた。
「いっ、いーかげんにしろよテメ……」
先ほど切開手術の指示を出した金髪の獣医師が、陵刀に掴みかかる。
「あった♡」
金髪の獣医師を無視し、陵刀は山羊の口から手を抜き出した。
ニュルリと出てきた手には、1枚のハンカチが握られている。
「これが原因♡ホラ、簡単でしょ?」
「あ……俺のハンカチ……昨日ゴハンやってた時になくなったヤツ……」
「君は“絶対音感”の新人くんだよねェ~。レントゲンに“布”は写らないからね……音だけでよく見つけたと言ってあげたいけど……」
山羊の口から抜いた手を拭きながら、陵刀は物騒な事を言い出した。
「でも、喉に物が詰まった位でこんな高齢な山羊に体に負担の掛かる切開手術をするのはどーかなあ……殺すつもり?」
「ちょっ……陵刀先生!?」
ペロリと唇を舐めながら言う陵刀を、名前は止めようとした。
「WILDLIFEの一員としては――あまりに判断が甘いよ、君!」
陵刀の言葉に、絶対音感を持つという金髪の獣医師は言葉に詰まっていた。
室内にいた患畜には見えない犬を見遣り、陵刀は言葉を続けた。
「それに、こんな汚い雑種犬を医療の現場に入れるのもどうかと思うケド……」
「……おい…………手術の事は確かに俺の判断ミスだよ。でも犬は関係ねェだろ……コイツは俺の相棒――ちゃんとした役割があんだよ!!」
「ほー、役割?」
「そーだよ、コイツはなあ!!コイツは……コイツは…………ただの犬であってタダの犬じゃねェ!!コイツは――えーと、えーと……絶対嗅覚を持つ立派な看護犬だ!!」
「フーン……なるほどね、絶対音感を持つ主人の飼い犬だけに絶対嗅覚……ククク…………信じてあげてもいいけどォ~」
「!?」
陵刀は何を考えたのか、絶対音感の持ち主だという新人獣医師の顔を掴み、自身の顔へと近づけながら言い放った。
「もし嘘だったら……食べちゃうよ、君かわいーから♡僕のおヘヤでね」
「うわあああああっ!!」
物凄い勢いで後付さる新人獣医師を、陵刀は可笑しそうに眺めていた。
「おかしいあいつ、おかしいあいつ、おかしいあいつ。おかしいあいつーっ!!」
「何してるんだ、岩城?」
「院長」
「高宮さん……」
岩城と呼ばれた新人獣医師の叫び声を聞いて、高宮が診察室へと入ってきた。
場所を院長室へと移し、高宮は岩城と瀬能に2人を紹介した。
「――改めて紹介しよう。ワイルドライフ主任の陵刀司君とその秘書の名字名前君だ。彼の父親は世界的に有名な獣医で……彼を跡継ぎにしたがっていてな。彼が3歳の頃から世界各地に連れて行き、獣医師としてのあらゆる知識と経験を身につけさせたんだ」
「3歳からってスゴーイ」
「何気に凄い人だったのか……」
「ん?何か言ったかい?」
「イーエ、何も」
呟く名前の言葉を聞き逃さず、壁に寄りかかったまま陵刀はにこやかに訊いた。
「そのため、彼には患畜の病状を一目で見抜く力がある。それは今までに養った知識と経験に裏打ちされた、いわば……“絶対眼力”と言った所か……」
「そんなに凄い獣医師なのに、何で監視させるほどサボるんだよ……」
「さっきから何をブツブツ言ってるの?」
「何でも御座いませーん」
「――そこで今回君らの能力が必要とされる仕事が入った」
高宮はプロジェクターを出すと、そこに映像を写しだした。
「川崎ズーパークのコアラだ!」
「コアラ!?」
映しだされた映像に、瀬能は喜んでいる。
「オーストラリアから親善のため、10日前に送られてきたそうだが……原因不明の栄養失調だそうだ」
「いわゆる消耗症ですか、厄介ですねェ♡」
手を突っ込まれた山羊は、苦しそうに声を上げて鳴いている。
「ん~無いな~~」
バタバタと藻掻く山羊を見て、飼い主であろう少年が陵刀を止めに入った。
「やっ……止めろよ、ヤギ山さん痛がってんだろーっ!!止めろってばー!!」
少年の制止も聞かずに、陵刀は更に手を奥まで入れた。
「いっ、いーかげんにしろよテメ……」
先ほど切開手術の指示を出した金髪の獣医師が、陵刀に掴みかかる。
「あった♡」
金髪の獣医師を無視し、陵刀は山羊の口から手を抜き出した。
ニュルリと出てきた手には、1枚のハンカチが握られている。
「これが原因♡ホラ、簡単でしょ?」
「あ……俺のハンカチ……昨日ゴハンやってた時になくなったヤツ……」
「君は“絶対音感”の新人くんだよねェ~。レントゲンに“布”は写らないからね……音だけでよく見つけたと言ってあげたいけど……」
山羊の口から抜いた手を拭きながら、陵刀は物騒な事を言い出した。
「でも、喉に物が詰まった位でこんな高齢な山羊に体に負担の掛かる切開手術をするのはどーかなあ……殺すつもり?」
「ちょっ……陵刀先生!?」
ペロリと唇を舐めながら言う陵刀を、名前は止めようとした。
「WILDLIFEの一員としては――あまりに判断が甘いよ、君!」
陵刀の言葉に、絶対音感を持つという金髪の獣医師は言葉に詰まっていた。
室内にいた患畜には見えない犬を見遣り、陵刀は言葉を続けた。
「それに、こんな汚い雑種犬を医療の現場に入れるのもどうかと思うケド……」
「……おい…………手術の事は確かに俺の判断ミスだよ。でも犬は関係ねェだろ……コイツは俺の相棒――ちゃんとした役割があんだよ!!」
「ほー、役割?」
「そーだよ、コイツはなあ!!コイツは……コイツは…………ただの犬であってタダの犬じゃねェ!!コイツは――えーと、えーと……絶対嗅覚を持つ立派な看護犬だ!!」
「フーン……なるほどね、絶対音感を持つ主人の飼い犬だけに絶対嗅覚……ククク…………信じてあげてもいいけどォ~」
「!?」
陵刀は何を考えたのか、絶対音感の持ち主だという新人獣医師の顔を掴み、自身の顔へと近づけながら言い放った。
「もし嘘だったら……食べちゃうよ、君かわいーから♡僕のおヘヤでね」
「うわあああああっ!!」
物凄い勢いで後付さる新人獣医師を、陵刀は可笑しそうに眺めていた。
「おかしいあいつ、おかしいあいつ、おかしいあいつ。おかしいあいつーっ!!」
「何してるんだ、岩城?」
「院長」
「高宮さん……」
岩城と呼ばれた新人獣医師の叫び声を聞いて、高宮が診察室へと入ってきた。
場所を院長室へと移し、高宮は岩城と瀬能に2人を紹介した。
「――改めて紹介しよう。ワイルドライフ主任の陵刀司君とその秘書の名字名前君だ。彼の父親は世界的に有名な獣医で……彼を跡継ぎにしたがっていてな。彼が3歳の頃から世界各地に連れて行き、獣医師としてのあらゆる知識と経験を身につけさせたんだ」
「3歳からってスゴーイ」
「何気に凄い人だったのか……」
「ん?何か言ったかい?」
「イーエ、何も」
呟く名前の言葉を聞き逃さず、壁に寄りかかったまま陵刀はにこやかに訊いた。
「そのため、彼には患畜の病状を一目で見抜く力がある。それは今までに養った知識と経験に裏打ちされた、いわば……“絶対眼力”と言った所か……」
「そんなに凄い獣医師なのに、何で監視させるほどサボるんだよ……」
「さっきから何をブツブツ言ってるの?」
「何でも御座いませーん」
「――そこで今回君らの能力が必要とされる仕事が入った」
高宮はプロジェクターを出すと、そこに映像を写しだした。
「川崎ズーパークのコアラだ!」
「コアラ!?」
映しだされた映像に、瀬能は喜んでいる。
「オーストラリアから親善のため、10日前に送られてきたそうだが……原因不明の栄養失調だそうだ」
「いわゆる消耗症ですか、厄介ですねェ♡」