カメ
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猫の一件以来、鞍智の様子が傍から見てもおかしくなっていると評判になっていた。
「何してるの?」
「覗き見は良くないな――……」
とある診察室の前で、岩城と瀬能が中の様子を伺っていた。
「名前さん!陵刀先生!」
「いや、だってよ~」
岩城が診察室を指差しながら言うのを見て、陵刀は説明した。
「彼は変わろうとしてるんだよ」
「しかも、良い方向にね」
「へ?」
「彼は一流大学の博士課程を経て教授推薦でウチに来た、いわばエリート中のエリート!でも……そのプライド故に決定的に欠けているものがあってね……」
「欠けてるものォ……?」
「飼い主や患畜に対する“思いやりの心”さ。これがたった一つだけど、大きく彼に欠けていた。でも、鞍智くんはそれに気付いたんだね」
「まぁ、気付くのが遅いけどね……」
名前は陵刀の言葉に、ボソッと反応を示した。
「だからあんな……」
「そう。無理に笑顔を作ってでも――……彼は変わろうとしてるんだよ。だから温かく見守ってあげよう」
ニッと笑う陵刀だが、名前は鞍智の姿を見て顔を顰めていた。
「そ……そうですよね~。鉄生先生もそーゆートコ見習った方がいーですよ」
「ムリムリ。俺ァビックリする程、足りねーモンの方が多いからなー」
「何認めてんですか、もーっ!!」
「……」
「鉄生先生は足りないモノを補う情熱があるから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「そうかー?」
「うん。少なくとも、ウチはそう思うよ」
「――ま、そんなワケで明日の永田似園の遠足だけど……毎年恒例の」
「おお、水族館連れてきゃいいんだよな?」
陵刀はいきなり、岩城に明日に控えた永田似園の遠足の話を振った。
「鞍智くんも連れてってあげてくんないかな?あとで僕から話しておくから」
「別にいいけど……なんでだ?」
「いや、子供と触れ合えば少しは“解る”かと思って……だって……」
診察室からは、患畜であるブチハイエナの悲痛な鳴き声が響いてきていた。
「あれはやり方間違ってる……」
「……あ……ああ!」
「まあ君はフツーにしてりゃいいよ。それが一番の手本になるから」
「?はあ……」
「じゃ、行こうか名前ちゃん」
「はーい。じゃあね、鉄生先生、瀬能さん」
「おう!」
「お疲れ様です!」
岩城と瀬能と別れ、名前は陵刀に連れられて医局へと足を運んだ。
「で、鞍智先生を水族館に行かせるのはいいとして……」
「何か問題でもあるのかな?」
医局に着くなり、名前は溜息を吐きながら陵刀に切り出していた。
「大有りだよ!あの鞍智先生をどうやって行かせるつもりなの?」
「んー……業務命令?」
「ハァ……もうどうでもいい。ただし、鞍智先生には自分で言ってよね」
「えー……」
「『えー』じゃない!」
陵刀が持っていた書類を奪い取ると、名前は背中を向け自分の仕事に集中した。
どの位時間が経ったのかは分からないが、一区切りついた所でパソコンから視線を上げると、いつの間にか陵刀と鞍智が話していた。
「――というワケで、君も明日の永田似園の遠足は一緒に行ってね♡」
「……どうしてそうなるんですか?!」
「どうしてって……君の為になる事だし。何より、これは業務命令だから♡」
「なんですか!?その無茶苦茶な命令は!!」
「んー……でも、もう決まった事だし」
悪びれなく言う陵刀に、鞍智は肩を落としていた。
翌日、永田似園の子供と岩城達を乗せたバスを見送り、名前は医局へと戻って来た。
「鞍智先生もちゃんとバスに乗ったよ」
「そ。ありがと♡」
「……どうでもいいけど、仕事中にそういう怪しい本やら漫画やら読むの止めて」
名前の視線の先には、怪しげな雑誌を読む陵刀の姿があった。そして、彼の机の上にはこれでもかという程漫画が積み上げられている。
「何してるの?」
「覗き見は良くないな――……」
とある診察室の前で、岩城と瀬能が中の様子を伺っていた。
「名前さん!陵刀先生!」
「いや、だってよ~」
岩城が診察室を指差しながら言うのを見て、陵刀は説明した。
「彼は変わろうとしてるんだよ」
「しかも、良い方向にね」
「へ?」
「彼は一流大学の博士課程を経て教授推薦でウチに来た、いわばエリート中のエリート!でも……そのプライド故に決定的に欠けているものがあってね……」
「欠けてるものォ……?」
「飼い主や患畜に対する“思いやりの心”さ。これがたった一つだけど、大きく彼に欠けていた。でも、鞍智くんはそれに気付いたんだね」
「まぁ、気付くのが遅いけどね……」
名前は陵刀の言葉に、ボソッと反応を示した。
「だからあんな……」
「そう。無理に笑顔を作ってでも――……彼は変わろうとしてるんだよ。だから温かく見守ってあげよう」
ニッと笑う陵刀だが、名前は鞍智の姿を見て顔を顰めていた。
「そ……そうですよね~。鉄生先生もそーゆートコ見習った方がいーですよ」
「ムリムリ。俺ァビックリする程、足りねーモンの方が多いからなー」
「何認めてんですか、もーっ!!」
「……」
「鉄生先生は足りないモノを補う情熱があるから、そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
「そうかー?」
「うん。少なくとも、ウチはそう思うよ」
「――ま、そんなワケで明日の永田似園の遠足だけど……毎年恒例の」
「おお、水族館連れてきゃいいんだよな?」
陵刀はいきなり、岩城に明日に控えた永田似園の遠足の話を振った。
「鞍智くんも連れてってあげてくんないかな?あとで僕から話しておくから」
「別にいいけど……なんでだ?」
「いや、子供と触れ合えば少しは“解る”かと思って……だって……」
診察室からは、患畜であるブチハイエナの悲痛な鳴き声が響いてきていた。
「あれはやり方間違ってる……」
「……あ……ああ!」
「まあ君はフツーにしてりゃいいよ。それが一番の手本になるから」
「?はあ……」
「じゃ、行こうか名前ちゃん」
「はーい。じゃあね、鉄生先生、瀬能さん」
「おう!」
「お疲れ様です!」
岩城と瀬能と別れ、名前は陵刀に連れられて医局へと足を運んだ。
「で、鞍智先生を水族館に行かせるのはいいとして……」
「何か問題でもあるのかな?」
医局に着くなり、名前は溜息を吐きながら陵刀に切り出していた。
「大有りだよ!あの鞍智先生をどうやって行かせるつもりなの?」
「んー……業務命令?」
「ハァ……もうどうでもいい。ただし、鞍智先生には自分で言ってよね」
「えー……」
「『えー』じゃない!」
陵刀が持っていた書類を奪い取ると、名前は背中を向け自分の仕事に集中した。
どの位時間が経ったのかは分からないが、一区切りついた所でパソコンから視線を上げると、いつの間にか陵刀と鞍智が話していた。
「――というワケで、君も明日の永田似園の遠足は一緒に行ってね♡」
「……どうしてそうなるんですか?!」
「どうしてって……君の為になる事だし。何より、これは業務命令だから♡」
「なんですか!?その無茶苦茶な命令は!!」
「んー……でも、もう決まった事だし」
悪びれなく言う陵刀に、鞍智は肩を落としていた。
翌日、永田似園の子供と岩城達を乗せたバスを見送り、名前は医局へと戻って来た。
「鞍智先生もちゃんとバスに乗ったよ」
「そ。ありがと♡」
「……どうでもいいけど、仕事中にそういう怪しい本やら漫画やら読むの止めて」
名前の視線の先には、怪しげな雑誌を読む陵刀の姿があった。そして、彼の机の上にはこれでもかという程漫画が積み上げられている。