PTSD
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「ウチが“学園”に入ったのは簡単な理由だよ。小学生の頃に苛められて、そっから精神を病んだから。親もその事に気づかなくてね、治療を始めたのが20歳になってからだった。ま、病院に行ったのも流石にこのままじゃ“死ぬ”と思ったからなんだけどね」
「“死ぬ”?どうして……」
「判らない?“リストカッター”だったんだよ、ウチは」
そう言い、名前は自身の左手を擦った。
「だからウチは“学園”に入った。“生きる”為にね。知ってた?自傷行為って、何も死にたいからしてるってワケじゃないんだ。多くの人は傷口から流れる自分の血を見て、“生きてる”事を認識する。自分の“存在”を確認しているんだ」
『だから無理に止めたら駄目なんだ』と言いながら、名前は窓の外へと目をやった。
窓の外は日が傾き始めていた。
「人間ってさ、案外脆い生き物だよね。直ぐに壊れちゃう。ウチも見た目だけ修復させてるけど、中身は壊れたまんま。今でも偶に自分をどうしようもなく傷つけたくなる事だってある。だけど、もう自分を傷付けないって決めたから我慢してるだけ」
「そこまでしても、君は“生きたい”と思ってるんだろう?なら、どうして僕が離れていくと思ったのかな?」
「簡単だよ。人間は“異質な存在”を排除したがる生き物だから。だから鞍智先生だって鉄生先生を毛嫌いしてるでしょ?」
『人間なんてそんなモンだよ』と遠い目をしながら名前は言い切った。
「僕はそうは思わない」
「は?」
「僕は君を“異質”だとは思わないし、今のままの君でいいと思う。だから、そんなに悲しそうな顔をしないで」
「何言ってるの?」
「僕はそのままの君が好きなんだ」
「意味解かんないよ」
「今は理解してくれなくてもいい。僕が本気だって事、思い知らせてあげるから」
それだけ言うと、陵刀は立ち上がった。
「陵刀先生」
「なんだい?」
「ありがと」
そう言い残し、名前は医局を出て行った。
翌日、名前は何事も無かったかの様に医局へと出向いていた。
名前が部屋に入ると、そこには陵刀と鞍智がいた。
「――で、どう?彼が有能だって解った?」
「全然!!です!」
「ありゃ」
「……」
「確かに奴は原因を見つけはしましたが、それは僕にも気付けた事!そんなので納得など出来ませんよ!いや、僕のプラン通りに薬を処方した場合を考えても!猫を嫌いな音に慣らす事は出来る!クライアントの家に泊まる必要もありません!!」
「…………そーだな。でも、あれはどう思う?」
陵刀は窓の外を見て、鞍智に訊いた。
「センセー!」
「おう!あれ?診察2時半からだろ?」
「うん!でも学校早く終わったからさ。センセー昼メシー?」
「彼はすっかり飼い主の信頼を得たようだ」
「おう、なっちゃんが作ってくれた」
「なっちゃん?玉子焼き黒いよ」
「っせーな、テメー!」
「……」
「ねェ鞍智くん。あの猫ちゃんの手術――パイオ……だったけど――長期入院なんておかしいと思わないか?」
陵刀の言葉に、鞍智は何か思い当たったのかピクリと反応した。
「パイオは診断も手術も極めて簡単……R.E.D.では即日退院も可能な病気です……が……」
「そう。その病院が長期で入院させたのには理由がある。点滴で毒素さえ薄めておけば、パイオは悪化してもまず死なない。だから無意味な検査入院で手術を延期し、何も知らないあの子から手術費以外にも多額の治療費を毟り取ったんだろう。パイオが、別名【獣病院界のドル箱】と呼ばれる所以だね。可哀想に……PTSDのオマケ付きで、あの子はその病院に一体いくら支払ったんだろうね」
「そ……それが何か!?ウチには関係無い……」
「まだ分からない?傷付いたのはあの猫だけじゃない。あのコだって一緒なんだよ」
「“死ぬ”?どうして……」
「判らない?“リストカッター”だったんだよ、ウチは」
そう言い、名前は自身の左手を擦った。
「だからウチは“学園”に入った。“生きる”為にね。知ってた?自傷行為って、何も死にたいからしてるってワケじゃないんだ。多くの人は傷口から流れる自分の血を見て、“生きてる”事を認識する。自分の“存在”を確認しているんだ」
『だから無理に止めたら駄目なんだ』と言いながら、名前は窓の外へと目をやった。
窓の外は日が傾き始めていた。
「人間ってさ、案外脆い生き物だよね。直ぐに壊れちゃう。ウチも見た目だけ修復させてるけど、中身は壊れたまんま。今でも偶に自分をどうしようもなく傷つけたくなる事だってある。だけど、もう自分を傷付けないって決めたから我慢してるだけ」
「そこまでしても、君は“生きたい”と思ってるんだろう?なら、どうして僕が離れていくと思ったのかな?」
「簡単だよ。人間は“異質な存在”を排除したがる生き物だから。だから鞍智先生だって鉄生先生を毛嫌いしてるでしょ?」
『人間なんてそんなモンだよ』と遠い目をしながら名前は言い切った。
「僕はそうは思わない」
「は?」
「僕は君を“異質”だとは思わないし、今のままの君でいいと思う。だから、そんなに悲しそうな顔をしないで」
「何言ってるの?」
「僕はそのままの君が好きなんだ」
「意味解かんないよ」
「今は理解してくれなくてもいい。僕が本気だって事、思い知らせてあげるから」
それだけ言うと、陵刀は立ち上がった。
「陵刀先生」
「なんだい?」
「ありがと」
そう言い残し、名前は医局を出て行った。
翌日、名前は何事も無かったかの様に医局へと出向いていた。
名前が部屋に入ると、そこには陵刀と鞍智がいた。
「――で、どう?彼が有能だって解った?」
「全然!!です!」
「ありゃ」
「……」
「確かに奴は原因を見つけはしましたが、それは僕にも気付けた事!そんなので納得など出来ませんよ!いや、僕のプラン通りに薬を処方した場合を考えても!猫を嫌いな音に慣らす事は出来る!クライアントの家に泊まる必要もありません!!」
「…………そーだな。でも、あれはどう思う?」
陵刀は窓の外を見て、鞍智に訊いた。
「センセー!」
「おう!あれ?診察2時半からだろ?」
「うん!でも学校早く終わったからさ。センセー昼メシー?」
「彼はすっかり飼い主の信頼を得たようだ」
「おう、なっちゃんが作ってくれた」
「なっちゃん?玉子焼き黒いよ」
「っせーな、テメー!」
「……」
「ねェ鞍智くん。あの猫ちゃんの手術――パイオ……だったけど――長期入院なんておかしいと思わないか?」
陵刀の言葉に、鞍智は何か思い当たったのかピクリと反応した。
「パイオは診断も手術も極めて簡単……R.E.D.では即日退院も可能な病気です……が……」
「そう。その病院が長期で入院させたのには理由がある。点滴で毒素さえ薄めておけば、パイオは悪化してもまず死なない。だから無意味な検査入院で手術を延期し、何も知らないあの子から手術費以外にも多額の治療費を毟り取ったんだろう。パイオが、別名【獣病院界のドル箱】と呼ばれる所以だね。可哀想に……PTSDのオマケ付きで、あの子はその病院に一体いくら支払ったんだろうね」
「そ……それが何か!?ウチには関係無い……」
「まだ分からない?傷付いたのはあの猫だけじゃない。あのコだって一緒なんだよ」