PTSD
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「モモ!」
「ニャーッ」
猫は診察台の上から飛び降り、機器の間に入り込んでしまう。
「大丈夫だよ!怖くないって!物が落ちただけだから!ホラ出といで!」
「フーッ!」
「何もしないから、ホラ!」
「フーッ」
「止めた方がいいよ。こういう時は無理矢理じゃなく、出てくるのを待った方がいい」
名前は飼い主の少年を宥め、陵刀の顔を見た。
「……判った……」
「え?」
「判ったぞ、コイツの病気……PTAだ……!!ホラ、あの心的ナントカカントカってヤツだよ!!」
「……フム……その可能性はあるな……!」
「可能性って……動物でもなるの?」
「ああ。なるよ、PTSDにね」
「そーそー、ソレだよソレ!」
「「あ……ああ……!!」」
「し……しかし猫にPTSD――そんな事聞いた事がない!!」
「いや、珍しい事ではない。PTSD(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオリダー)、心的外傷後ストレス障害。これは人に限らず様々な動物達に沢山の例が報告されている。過去に受けた恐怖体験がトラウマになり、その後長期間心や体に色々な症状を引き起こす病だ。その発作の症状や引き金が、受けた心身の傷によって異なるのが特徴だ。鉄生くんはさっきの音を聴いた猫の反応で気付いたんだね?」
「おー、そーそー!なんかコイツ、前の病院で音に関係して怖ェー目にでも遭ったんかなー?って」
「そ……そうなんですか……それは……大変な見落としでした……で……でも、そうと判れば人と同じ。安定剤の投与で精神の安定を――」
「いや、鉄生くん!モモちゃんの担当……お願い出来るかな?」
「おう!全然いーけど」
「なっ……待ってください、陵刀先生!僕だって病名さえ判れば治療法位――」
「……そっか、じゃあ君には鉄生くんの――補佐をして貰おうか♡」
「ほっ、補佐ぁ!?」
「だって気付いたのは鉄生くんだし♪病名は間違えたけど」
「ぐっ……」
「……そうすれば解るハズだよ」
「え……?」
陵刀は鞍智の肩に手を置きながら続けた。
「彼が君より有能な理由がね……行くよ、名前ちゃん♪」
「……はーい」
陵刀に促され、名前は診察室を後にした。
2課の医局へと向かう道すがら、陵刀は唐突に切り出した。
「ねぇ名前ちゃん」
「何?」
「医局に着いたら話して貰うよ、君の隠してる事」
「……何の事?」
陵刀の言葉に、名前は足を止めて彼の背中を睨みつけた。
「院長から大体の事情は聞いたよ。でも、僕は君の口から直接聞きたい」
振り返り立ち止まった名前の目を真っ直ぐに見据え、陵刀は続けた。
「君が何故あの“学園”から“R.E.D.”に来たのかを――ね」
「…………そんな事知ってどうするの?」
「別にどうもしないさ。ただ、好きなコの事を知りたい。それだけだよ」
「ハッ……そんな事言えるのは、何も知らないからだよ。高宮さんも知らない事を知ったら……貴方も離れていくさ、陵刀“さん”」
そこまで言うと、名前は陵刀の横をすり抜けるように通り、医局へと向かった。
医局に着くなり、名前は苛つきを隠すことなく室内にあるソファーに座った。
「で、何を話せっての?」
不機嫌になっている名前に臆することなく、陵刀は対面のソファーに座る。
「そこまで苛つく程、思い出したくないのかな?」
「当たり前だろ!?こっちは忘れようと努力して“今”を生きてるんだ!!何が悲しくてあんな事を他人に話さなきゃならんの?!」
「そう……よっぽど嫌な事だったんだね……でも、僕はきちんと君を理解したい」
『だから話して欲しい』と続けながら、陵刀は名前を見つめた。
「……高宮さんからはどこまで聞いたの?」
「君が“学園”に入った理由は一通り」
「そ……流石に理由までは高宮さんも話さなかったか」
クツクツと自嘲気味に笑い出す名前を、陵刀は不思議そうに見るしか出来なかった。
「ニャーッ」
猫は診察台の上から飛び降り、機器の間に入り込んでしまう。
「大丈夫だよ!怖くないって!物が落ちただけだから!ホラ出といで!」
「フーッ!」
「何もしないから、ホラ!」
「フーッ」
「止めた方がいいよ。こういう時は無理矢理じゃなく、出てくるのを待った方がいい」
名前は飼い主の少年を宥め、陵刀の顔を見た。
「……判った……」
「え?」
「判ったぞ、コイツの病気……PTAだ……!!ホラ、あの心的ナントカカントカってヤツだよ!!」
「……フム……その可能性はあるな……!」
「可能性って……動物でもなるの?」
「ああ。なるよ、PTSDにね」
「そーそー、ソレだよソレ!」
「「あ……ああ……!!」」
「し……しかし猫にPTSD――そんな事聞いた事がない!!」
「いや、珍しい事ではない。PTSD(ポスト・トラウマティック・ストレス・ディスオリダー)、心的外傷後ストレス障害。これは人に限らず様々な動物達に沢山の例が報告されている。過去に受けた恐怖体験がトラウマになり、その後長期間心や体に色々な症状を引き起こす病だ。その発作の症状や引き金が、受けた心身の傷によって異なるのが特徴だ。鉄生くんはさっきの音を聴いた猫の反応で気付いたんだね?」
「おー、そーそー!なんかコイツ、前の病院で音に関係して怖ェー目にでも遭ったんかなー?って」
「そ……そうなんですか……それは……大変な見落としでした……で……でも、そうと判れば人と同じ。安定剤の投与で精神の安定を――」
「いや、鉄生くん!モモちゃんの担当……お願い出来るかな?」
「おう!全然いーけど」
「なっ……待ってください、陵刀先生!僕だって病名さえ判れば治療法位――」
「……そっか、じゃあ君には鉄生くんの――補佐をして貰おうか♡」
「ほっ、補佐ぁ!?」
「だって気付いたのは鉄生くんだし♪病名は間違えたけど」
「ぐっ……」
「……そうすれば解るハズだよ」
「え……?」
陵刀は鞍智の肩に手を置きながら続けた。
「彼が君より有能な理由がね……行くよ、名前ちゃん♪」
「……はーい」
陵刀に促され、名前は診察室を後にした。
2課の医局へと向かう道すがら、陵刀は唐突に切り出した。
「ねぇ名前ちゃん」
「何?」
「医局に着いたら話して貰うよ、君の隠してる事」
「……何の事?」
陵刀の言葉に、名前は足を止めて彼の背中を睨みつけた。
「院長から大体の事情は聞いたよ。でも、僕は君の口から直接聞きたい」
振り返り立ち止まった名前の目を真っ直ぐに見据え、陵刀は続けた。
「君が何故あの“学園”から“R.E.D.”に来たのかを――ね」
「…………そんな事知ってどうするの?」
「別にどうもしないさ。ただ、好きなコの事を知りたい。それだけだよ」
「ハッ……そんな事言えるのは、何も知らないからだよ。高宮さんも知らない事を知ったら……貴方も離れていくさ、陵刀“さん”」
そこまで言うと、名前は陵刀の横をすり抜けるように通り、医局へと向かった。
医局に着くなり、名前は苛つきを隠すことなく室内にあるソファーに座った。
「で、何を話せっての?」
不機嫌になっている名前に臆することなく、陵刀は対面のソファーに座る。
「そこまで苛つく程、思い出したくないのかな?」
「当たり前だろ!?こっちは忘れようと努力して“今”を生きてるんだ!!何が悲しくてあんな事を他人に話さなきゃならんの?!」
「そう……よっぽど嫌な事だったんだね……でも、僕はきちんと君を理解したい」
『だから話して欲しい』と続けながら、陵刀は名前を見つめた。
「……高宮さんからはどこまで聞いたの?」
「君が“学園”に入った理由は一通り」
「そ……流石に理由までは高宮さんも話さなかったか」
クツクツと自嘲気味に笑い出す名前を、陵刀は不思議そうに見るしか出来なかった。