PTSD
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北極から戻って何日か経った頃。陵刀は岩城に仕事を押し付けていた。
「……で?どういう事なんでしょうかねぇ、陵刀先生」
「何が?」
「スペインオオヤマネコの腫瘍の手術、鉄生先生に押し付けたそうで」
「誰がそんな人聞きの悪い事言ったの?」
「院長から聞いた」
「まったく……今から鉄生クンの手術見に行くけど、心配なら名前ちゃんもおいでよ」
「言われなくても見に行くよ!」
陵刀に問い詰めるつもりが、うまく躱され岩城の手術を見に行くことになった名前。
手術室が見渡せる所まで、ブツブツと文句を言いながら歩いていたが、ものの数分で目的地へと着いてしまった。
「……知識不足があまりにもアレなんで心配してたけど……彼は手術の腕もナカナカだね」
「陵刀先生!それに名前さんも!」
「ども」
「左副腎は大動脈に沿ってるから摘出が難しいんだけど、血管には傷一つつけてない。手先は器用なのかな?」
「そう思いますよ。昔からバイクいじるの趣味だったそうで……自分のやりつくしたら、他人のまで鉄生カスタムにしてたそーですから……」
「へぇ……そりゃ手先も器用だろうね」
「……」
名前が感心した様に言うと、陵刀は少しムッとしていた。
「それに、何も知らないワケじゃないんですよ」
瀬能が岩城を指差すのでそちらを見る2人。
「看護師さん、あれ取って!アから始まる97円!」
「アトロピンですね……」
「あと、カの86円とリの181円」
「カチーフにリンゲルと……」
「あ、それにダの60円もだ」
「はいはい;」
「!?」
「え??」
「それとセの――」
「はーい!」
知らぬ薬品名と値段が聞こえてくる事に驚きながら、名前は岩城の姿を眺めた。
「何、アレ……」
「変でしょー!あれ薬品の値段なんです!動物病院って人間と違って国の保健効かないし、治療費に決まった値段なんてないからボッタクリみたいな病院多いじゃないですか……だから先生、効き目が同じなら少しでも値段の安い薬品使った方がいいって……薬品名より価格の方、先に覚えちゃったみたいなんです。まあ、本人は『ただ、ビンボー人根性染み付いてんだけだ』って言ってましたけど……」
「あはは、鉄生先生らしいなぁ」
「あ、でも薬品名覚えらんなかったってのが私の中では有力です!アハハ」
「……フッ!なる程、彼らしいね!ハハハ。でもR.E.D.はただでさえ他より治療費が安いんだ、あまり極めすぎるとR.E.D.が潰れちゃうよ!」
「「確かに;」」
「な……なんですか、それは……そんな話聞いてなんで笑っていられるんですか?陵刀先生!!」
「誰?」
「君――……」
通路の影から出てきた見知らぬ獣医師に、名前は警戒したが陵刀は知り合いの様だった。
「我々R.E.D.の職員はエリート中のエリートですよ!!選ばれた人間なんです。当然、獣医学に関しては全てに精通していなくてはならない!!薬品名すら覚えられん生半可な人間を許していてはいけないんです!!」
「鞍智君……」
「?」
「陵刀先生、知り合い?」
敵意を剥き出しにする名前を抑え、陵刀は見知らぬ獣医師を紹介した。
「彼は鞍智久孝君。帝都獣医大博士課程卒で、三科の救急から半年前に二科に配属になった。鉄生くんとはほぼ同期と言っていいのかな」
「陵刀先生!聞きましたよ、北極の話!奴は熊に大ケガさせられて帰ってきたそうじゃないですか!何故あんな低能な人間を連れて行ったんです!?経歴から言っても僕が一番適任だったハズ!いや、僕ならもっと大成果を収められた!」
「黙って聞いてりゃいい気になりやがって……」
「どうして僕ではなく奴だったんです!?答えてください、陵刀先生!!」
「――……答えは簡単……岩城鉄生の方が君より有能だからだよ」
「……で?どういう事なんでしょうかねぇ、陵刀先生」
「何が?」
「スペインオオヤマネコの腫瘍の手術、鉄生先生に押し付けたそうで」
「誰がそんな人聞きの悪い事言ったの?」
「院長から聞いた」
「まったく……今から鉄生クンの手術見に行くけど、心配なら名前ちゃんもおいでよ」
「言われなくても見に行くよ!」
陵刀に問い詰めるつもりが、うまく躱され岩城の手術を見に行くことになった名前。
手術室が見渡せる所まで、ブツブツと文句を言いながら歩いていたが、ものの数分で目的地へと着いてしまった。
「……知識不足があまりにもアレなんで心配してたけど……彼は手術の腕もナカナカだね」
「陵刀先生!それに名前さんも!」
「ども」
「左副腎は大動脈に沿ってるから摘出が難しいんだけど、血管には傷一つつけてない。手先は器用なのかな?」
「そう思いますよ。昔からバイクいじるの趣味だったそうで……自分のやりつくしたら、他人のまで鉄生カスタムにしてたそーですから……」
「へぇ……そりゃ手先も器用だろうね」
「……」
名前が感心した様に言うと、陵刀は少しムッとしていた。
「それに、何も知らないワケじゃないんですよ」
瀬能が岩城を指差すのでそちらを見る2人。
「看護師さん、あれ取って!アから始まる97円!」
「アトロピンですね……」
「あと、カの86円とリの181円」
「カチーフにリンゲルと……」
「あ、それにダの60円もだ」
「はいはい;」
「!?」
「え??」
「それとセの――」
「はーい!」
知らぬ薬品名と値段が聞こえてくる事に驚きながら、名前は岩城の姿を眺めた。
「何、アレ……」
「変でしょー!あれ薬品の値段なんです!動物病院って人間と違って国の保健効かないし、治療費に決まった値段なんてないからボッタクリみたいな病院多いじゃないですか……だから先生、効き目が同じなら少しでも値段の安い薬品使った方がいいって……薬品名より価格の方、先に覚えちゃったみたいなんです。まあ、本人は『ただ、ビンボー人根性染み付いてんだけだ』って言ってましたけど……」
「あはは、鉄生先生らしいなぁ」
「あ、でも薬品名覚えらんなかったってのが私の中では有力です!アハハ」
「……フッ!なる程、彼らしいね!ハハハ。でもR.E.D.はただでさえ他より治療費が安いんだ、あまり極めすぎるとR.E.D.が潰れちゃうよ!」
「「確かに;」」
「な……なんですか、それは……そんな話聞いてなんで笑っていられるんですか?陵刀先生!!」
「誰?」
「君――……」
通路の影から出てきた見知らぬ獣医師に、名前は警戒したが陵刀は知り合いの様だった。
「我々R.E.D.の職員はエリート中のエリートですよ!!選ばれた人間なんです。当然、獣医学に関しては全てに精通していなくてはならない!!薬品名すら覚えられん生半可な人間を許していてはいけないんです!!」
「鞍智君……」
「?」
「陵刀先生、知り合い?」
敵意を剥き出しにする名前を抑え、陵刀は見知らぬ獣医師を紹介した。
「彼は鞍智久孝君。帝都獣医大博士課程卒で、三科の救急から半年前に二科に配属になった。鉄生くんとはほぼ同期と言っていいのかな」
「陵刀先生!聞きましたよ、北極の話!奴は熊に大ケガさせられて帰ってきたそうじゃないですか!何故あんな低能な人間を連れて行ったんです!?経歴から言っても僕が一番適任だったハズ!いや、僕ならもっと大成果を収められた!」
「黙って聞いてりゃいい気になりやがって……」
「どうして僕ではなく奴だったんです!?答えてください、陵刀先生!!」
「――……答えは簡単……岩城鉄生の方が君より有能だからだよ」