初仕事
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「いかにもクロロが好きそうな場所だね」
「ああ、好きだね。【欲しく】なったりするのが困りもんだけどね」
少し困ったように笑うクロロを見て、ナマエは思った。
(青年スタイルだと、こんな表情もするのか……)
美術館に向かって歩いていると、前方で1人の男の子が泣いていた。
「どうしたんだろ?」
「大方、親と逸れたんだろうな」
「……ちょっと行ってくる。クロロは先に行ってて」
言うが早いか、ナマエは男の子の元へ駆け出していた。
「待てっ!」
クロロの制止も聞かず、ナマエは男の子の元へ辿り着いた。
男の子と視線を合わせるようにしゃがみ、優しく声を掛ける。
「どうしたの?」
「ママが……ママがいなくなった…………」
グスグスと嗚咽混じりに言う男の子の頭を優しく撫でてやり、ナマエは続けた。
「そうだったの……こんな人混みで逸れちゃったら、怖いよね…………」
「うぇ~ん!!」
「泣かないで。男の子でしょ?」
「ふぇっ……」
「一緒にママを探そうね?だから泣かないで」
「ナマエ」
いきなり肩を捕まれ、振り返るとクロロがいた。
「何?」
「1人で行動するな。お前まで逸れたらどうする気だ?」
「私はクロロを探せばいいだけの事。今はこのコのお母さんを探してあげなきゃ」
優しい表情で男の子を見て、再度頭を撫でてやるナマエ。そんなナマエの表情を見て、クロロは胸が暖かくなった。
男の子の母親を探す事にして十数分。
「あ!ママだっ!!」
クロロに肩車された状態で、男の子が指さした方を見やると若い女性がこちらを見て駆け寄ってきた。
「本当に有難うございましたっ」
「いえいえ。この人は、偶には【慈善活動】も必要な人ですから。気にしないで下さい」
にこやかに男の子の母親に言うナマエだが、クロロを指して嫌味を言った。
「そうだな。偶には【慈善活動】も必要だな」
男の子と別れた後、ナマエはクロロに向かって小さく呟いた。
「……有難う」
「何がだ?」
「付き合ってくれた事」
「ああ、偶には【慈善活動】をしなきゃ駄目だからな」
声を出して笑うクロロに、ナマエはげんなりしていた。
「それに、付き合ったお礼は後で貰うしな」
「お礼?」
「ああ」
クツクツ笑いながら、クロロは歩き出した。その後を小走りでナマエは追いかけた。
ようやく美術館に着いた時には、辺りは夕闇に包まれていた。
「デカッ……」
「何してるんだ?行くぞ」
その大きさに目を瞠っているナマエの手を引いて、クロロは歩き出した。
「ちょっ!クロロ!!手!!!」
「ん?手がどうかしたか?」
意地悪く笑いながら、クロロは歩く事を止めなかった。
「さ、中に入るぞ」
いつの間にか入場チケットを購入していたクロロに手を引かれたまま、ナマエは美術館の中に足を踏み入れた。
「凄ッ……」
「凄いだろう?ここ目当てで来る観光客もいる位だ」
にこやかに笑いながら、クロロは足を止めずにナマエの手を離さずに先へと進んだ。
クロロが立ち止まったかと思ったら、1枚の絵画の前だった。
「綺麗……」
クロロが立ち止まったのは、何処にでもあるような風景画。
「気に入ったか?」
「うん。何か、懐かしい感じがするね。この絵」
「だろう?オレはこの作家の絵が好きなんだ」
「へぇ~。クロロの事だから、もっと美術品として価値ありそうなのが好きだと思った」
「まあ、否定はしないけどな。この作家だけは別物なんだよ」
そういうクロロの表情は、どこか寂しげだった。
「クロロでも、そんな顔するんだね」
「そんな顔?」
「何か……さっきの男の子みたい」
「ふっ……そうか。そんな顔してたか」
「うん。で、何でこの絵の前で止まったの?」
「お前に……ナマエに見せたかったんだ」
「ふ~ん……まぁ、嫌いじゃないよ。こういう絵は」
「気に入って貰えた様で良かったよ」
ふんわりと微笑むクロロを見て、ナマエは先程の男の子とクロロを重ねた。
(クロロは親、いなかったのかな……)
そんな事を思うと、何故かナマエまで寂しさに包まれていた。未だ繋がれたままの手。その手に少しだけ力を入れてやると、クロロは不思議そうにナマエの手を見た。
「今だけだからね」
「ああ。有難う」
それだけ言うと、クロロはまた風景画に視線を戻した。
どの位そこに居たのかは判らない。気付いたら、閉館のアナウンスが流れていた。
「帰ろうか」
「そうだね」
クロロと2人、手を繋いだまま美術館を後にした。
「ああ、好きだね。【欲しく】なったりするのが困りもんだけどね」
少し困ったように笑うクロロを見て、ナマエは思った。
(青年スタイルだと、こんな表情もするのか……)
美術館に向かって歩いていると、前方で1人の男の子が泣いていた。
「どうしたんだろ?」
「大方、親と逸れたんだろうな」
「……ちょっと行ってくる。クロロは先に行ってて」
言うが早いか、ナマエは男の子の元へ駆け出していた。
「待てっ!」
クロロの制止も聞かず、ナマエは男の子の元へ辿り着いた。
男の子と視線を合わせるようにしゃがみ、優しく声を掛ける。
「どうしたの?」
「ママが……ママがいなくなった…………」
グスグスと嗚咽混じりに言う男の子の頭を優しく撫でてやり、ナマエは続けた。
「そうだったの……こんな人混みで逸れちゃったら、怖いよね…………」
「うぇ~ん!!」
「泣かないで。男の子でしょ?」
「ふぇっ……」
「一緒にママを探そうね?だから泣かないで」
「ナマエ」
いきなり肩を捕まれ、振り返るとクロロがいた。
「何?」
「1人で行動するな。お前まで逸れたらどうする気だ?」
「私はクロロを探せばいいだけの事。今はこのコのお母さんを探してあげなきゃ」
優しい表情で男の子を見て、再度頭を撫でてやるナマエ。そんなナマエの表情を見て、クロロは胸が暖かくなった。
男の子の母親を探す事にして十数分。
「あ!ママだっ!!」
クロロに肩車された状態で、男の子が指さした方を見やると若い女性がこちらを見て駆け寄ってきた。
「本当に有難うございましたっ」
「いえいえ。この人は、偶には【慈善活動】も必要な人ですから。気にしないで下さい」
にこやかに男の子の母親に言うナマエだが、クロロを指して嫌味を言った。
「そうだな。偶には【慈善活動】も必要だな」
男の子と別れた後、ナマエはクロロに向かって小さく呟いた。
「……有難う」
「何がだ?」
「付き合ってくれた事」
「ああ、偶には【慈善活動】をしなきゃ駄目だからな」
声を出して笑うクロロに、ナマエはげんなりしていた。
「それに、付き合ったお礼は後で貰うしな」
「お礼?」
「ああ」
クツクツ笑いながら、クロロは歩き出した。その後を小走りでナマエは追いかけた。
ようやく美術館に着いた時には、辺りは夕闇に包まれていた。
「デカッ……」
「何してるんだ?行くぞ」
その大きさに目を瞠っているナマエの手を引いて、クロロは歩き出した。
「ちょっ!クロロ!!手!!!」
「ん?手がどうかしたか?」
意地悪く笑いながら、クロロは歩く事を止めなかった。
「さ、中に入るぞ」
いつの間にか入場チケットを購入していたクロロに手を引かれたまま、ナマエは美術館の中に足を踏み入れた。
「凄ッ……」
「凄いだろう?ここ目当てで来る観光客もいる位だ」
にこやかに笑いながら、クロロは足を止めずにナマエの手を離さずに先へと進んだ。
クロロが立ち止まったかと思ったら、1枚の絵画の前だった。
「綺麗……」
クロロが立ち止まったのは、何処にでもあるような風景画。
「気に入ったか?」
「うん。何か、懐かしい感じがするね。この絵」
「だろう?オレはこの作家の絵が好きなんだ」
「へぇ~。クロロの事だから、もっと美術品として価値ありそうなのが好きだと思った」
「まあ、否定はしないけどな。この作家だけは別物なんだよ」
そういうクロロの表情は、どこか寂しげだった。
「クロロでも、そんな顔するんだね」
「そんな顔?」
「何か……さっきの男の子みたい」
「ふっ……そうか。そんな顔してたか」
「うん。で、何でこの絵の前で止まったの?」
「お前に……ナマエに見せたかったんだ」
「ふ~ん……まぁ、嫌いじゃないよ。こういう絵は」
「気に入って貰えた様で良かったよ」
ふんわりと微笑むクロロを見て、ナマエは先程の男の子とクロロを重ねた。
(クロロは親、いなかったのかな……)
そんな事を思うと、何故かナマエまで寂しさに包まれていた。未だ繋がれたままの手。その手に少しだけ力を入れてやると、クロロは不思議そうにナマエの手を見た。
「今だけだからね」
「ああ。有難う」
それだけ言うと、クロロはまた風景画に視線を戻した。
どの位そこに居たのかは判らない。気付いたら、閉館のアナウンスが流れていた。
「帰ろうか」
「そうだね」
クロロと2人、手を繋いだまま美術館を後にした。