天空闘技場
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「ちょっ……マチ、痛いって!」
「ああ、ごめん」
マチに腕を掴まれヒソカの部屋を出たナマエは、マチの力の強さに痛みを感じていた。ナマエの訴えに慌ててその手を離すマチだったが、ナマエの腕にはくっきりと跡が残っていた。
「あんた……捕まれた時【堅】しなかったの?」
「【仲間】相手にする必要ないと思ったから……」
「【仲間】、ねぇ……あんた、いつの間にかあたし等と打ち解けてるよね」
「?」
「いいのかい?あんなに拒んでたくせに」
「あぁ、その事?どうせ暫くは一緒に居るんだろうし、腹くくっただけだよ」
「そ。じゃ、団長への連絡頼んだよ」
マチはナマエにそう言い残すと、帰って行った。
その後姿を見送り、ナマエは溜息を漏らしつつ自室へと帰った。
部屋に帰り着くなり、自身の携帯片手に考え込むナマエ。
「電話……しなきゃ駄目なのかなぁ…………」
呟く様に言ったナマエだが、やがて意を決したように携帯の履歴からある人物の名前を探し、押した。
数回のコール音が長く感じる。電話の相手は直ぐには出てくれなかった。
やっと出たと思ったら、その声は不機嫌その物だった。
『ナマエか……』
「久しぶり」
『ああ。そっちはどうだ?』
「まぁまぁ、かな。さっきマチに会ったよ」
『そうか……』
「そんなに不機嫌にならないでよ」
『別に不機嫌になってない』
「そう?」
『ああ』
クロロの言葉の節々に、苛ついている事が見て取れた。
「そろそろさ」
『何だ?』
「帰ろうと思うんだよね」
『【元の世界】にか?』
「まさか。皆の所にだよ。【元の世界】に帰るのは諦めた」
ナマエの『諦めた』という言葉に、クロロはどこかで安堵していた。
『分かった。いつ頃帰って来れる?』
「準備が済んだら、直ぐに立つよ」
『……迎えに行く』
「子供じゃないんだから、必要ないって」
『オレが会いたいんだ……今直ぐにでもな』
寂しげな声音で言うクロロに、ナマエは苦笑した。
「そんな事言っても、今直ぐには流石に無理があるでしょ」
「そんな事はない」
不意に自身を抱き締める腕の感触と、耳元で囁かれた声。それは電話の相手、クロロの物だった。
「また【絶】して来たの?」
「ああ。お前に逃げられると思ってな」
「……とりあえず、離してくれない?」
「もう少し……このままでいさせてくれ」
「はぁ……クロロってこんなに子供染みてたっけ?」
「そういうな。心配してたんだ」
「心配ご無用。私はそんなに弱くない」
「そういう心配もあったが……」
「ん?」
「ヒソカと何かあったんじゃないかって、気が気じゃなかった」
「ヒソカと?」
「ああ」
「全く……ヒソカは【仲間】だから。それ以上の感情はない」
「なら、何故ヒソカと2人きりで食事に行った?」
「【仲間】と食事に行くのがいけないことなの?」
呆れ半分でクロロに問うナマエ。その表情は、クロロには見えなかった。
「いくら【仲間】でも、男と2人きりというのは不安になる」
「クロロに心配される様な事は何もないし、心配してくれって頼んだ覚えもない」
「オレが勝手に心配しているだけだ」
「そ。てか、マジでいい加減離してくれない?」
「嫌だ。もう少しだけでいい。このままでいさせてくれ」
抱き締める腕に力を込めて、クロロは甘えるように言った。そんなクロロを力づくで離れさせる事が、何故かナマエには出来なかった。
「分かった。なら、二択から選んで」
「二択?」
「そ。二択」
「それは……どんな二択だ?」
「もう少しこのまま抱き付いてるか、帰ったら2人で食事に行くか。どっちがいい?」
ナマエの選択に、クロロは黙った。
「クロロ?」
暫し考えた後、クロロはナマエを拘束していた腕を解いた。
「……後者がご希望なワケね」
「名残惜しいが……ヒソカだけに良い思いはさせられない」
不安に揺れる瞳でナマエを見つめ、微かに笑ってみせるクロロ。そんなクロロに何故か罪悪感が湧いたナマエは、急いで部屋を出る準備をした。
「さ、帰ろうか。皆の所へ」
準備を終えたナマエの顔は、クロロにはどこか慈愛に満ちたものに見えた。
「ああ、ごめん」
マチに腕を掴まれヒソカの部屋を出たナマエは、マチの力の強さに痛みを感じていた。ナマエの訴えに慌ててその手を離すマチだったが、ナマエの腕にはくっきりと跡が残っていた。
「あんた……捕まれた時【堅】しなかったの?」
「【仲間】相手にする必要ないと思ったから……」
「【仲間】、ねぇ……あんた、いつの間にかあたし等と打ち解けてるよね」
「?」
「いいのかい?あんなに拒んでたくせに」
「あぁ、その事?どうせ暫くは一緒に居るんだろうし、腹くくっただけだよ」
「そ。じゃ、団長への連絡頼んだよ」
マチはナマエにそう言い残すと、帰って行った。
その後姿を見送り、ナマエは溜息を漏らしつつ自室へと帰った。
部屋に帰り着くなり、自身の携帯片手に考え込むナマエ。
「電話……しなきゃ駄目なのかなぁ…………」
呟く様に言ったナマエだが、やがて意を決したように携帯の履歴からある人物の名前を探し、押した。
数回のコール音が長く感じる。電話の相手は直ぐには出てくれなかった。
やっと出たと思ったら、その声は不機嫌その物だった。
『ナマエか……』
「久しぶり」
『ああ。そっちはどうだ?』
「まぁまぁ、かな。さっきマチに会ったよ」
『そうか……』
「そんなに不機嫌にならないでよ」
『別に不機嫌になってない』
「そう?」
『ああ』
クロロの言葉の節々に、苛ついている事が見て取れた。
「そろそろさ」
『何だ?』
「帰ろうと思うんだよね」
『【元の世界】にか?』
「まさか。皆の所にだよ。【元の世界】に帰るのは諦めた」
ナマエの『諦めた』という言葉に、クロロはどこかで安堵していた。
『分かった。いつ頃帰って来れる?』
「準備が済んだら、直ぐに立つよ」
『……迎えに行く』
「子供じゃないんだから、必要ないって」
『オレが会いたいんだ……今直ぐにでもな』
寂しげな声音で言うクロロに、ナマエは苦笑した。
「そんな事言っても、今直ぐには流石に無理があるでしょ」
「そんな事はない」
不意に自身を抱き締める腕の感触と、耳元で囁かれた声。それは電話の相手、クロロの物だった。
「また【絶】して来たの?」
「ああ。お前に逃げられると思ってな」
「……とりあえず、離してくれない?」
「もう少し……このままでいさせてくれ」
「はぁ……クロロってこんなに子供染みてたっけ?」
「そういうな。心配してたんだ」
「心配ご無用。私はそんなに弱くない」
「そういう心配もあったが……」
「ん?」
「ヒソカと何かあったんじゃないかって、気が気じゃなかった」
「ヒソカと?」
「ああ」
「全く……ヒソカは【仲間】だから。それ以上の感情はない」
「なら、何故ヒソカと2人きりで食事に行った?」
「【仲間】と食事に行くのがいけないことなの?」
呆れ半分でクロロに問うナマエ。その表情は、クロロには見えなかった。
「いくら【仲間】でも、男と2人きりというのは不安になる」
「クロロに心配される様な事は何もないし、心配してくれって頼んだ覚えもない」
「オレが勝手に心配しているだけだ」
「そ。てか、マジでいい加減離してくれない?」
「嫌だ。もう少しだけでいい。このままでいさせてくれ」
抱き締める腕に力を込めて、クロロは甘えるように言った。そんなクロロを力づくで離れさせる事が、何故かナマエには出来なかった。
「分かった。なら、二択から選んで」
「二択?」
「そ。二択」
「それは……どんな二択だ?」
「もう少しこのまま抱き付いてるか、帰ったら2人で食事に行くか。どっちがいい?」
ナマエの選択に、クロロは黙った。
「クロロ?」
暫し考えた後、クロロはナマエを拘束していた腕を解いた。
「……後者がご希望なワケね」
「名残惜しいが……ヒソカだけに良い思いはさせられない」
不安に揺れる瞳でナマエを見つめ、微かに笑ってみせるクロロ。そんなクロロに何故か罪悪感が湧いたナマエは、急いで部屋を出る準備をした。
「さ、帰ろうか。皆の所へ」
準備を終えたナマエの顔は、クロロにはどこか慈愛に満ちたものに見えた。