イルミのお仕置き
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「おかえり、ナマエ」
「た……ただいま?」
「何で疑問形なの?」
【試しの門】を開けた瞬間、イルミに出迎えられたナマエ。
イルミの表情は相変わらず読めないが、怒っているのだけは確実だった。
「いや……【おかえり】って言われると思ってなかったから…………」
しどろもどろに何とか答えると、ナマエはイルミの香りに包まれていた。
「心配したんだからね」
「うっ……ごめん」
怒っているはずなのに、優しく抱きしめるイルミ。
「オレ、【蜘蛛には関わるな】って言ったよね?」
「……うん」
「何で【約束】破ったの?」
「【依頼】があって……ですね?」
自然と上目遣いになりながら、恐る恐るイルミを見遣るナマエ。しかし、イルミはナマエの目を見てはいなかった。
「ふ~ん……オレとの【約束】より、【依頼】の方が大事なんだ?」
「いや……決してそういう訳じゃ――」
「言い訳は聞きたくない」
そう言うと、イルミはナマエの唇を塞いだ。
「ちょっ……イル…………」
いつもより深いキス。ナマエの耳には、イルミとのキスの音だけが鳴り響く。
思考がイルミのキスに支配された時、漸くナマエはイルミから開放された。
「どういうつもりか知らないけど、【お仕置き】はちゃんと受けて貰うからね」
それだけ言い残し、イルミはナマエを置いて屋敷へ向かって歩き出していた。
(ヤバい……完全に怒らせちゃったかな…………)
イルミの後ろ姿を見送りながら、ナマエは焦っていた。あのイルミの逆鱗に触れてしまった。どんな【お仕置き】が待っているのか――
「ナマエ、いつまでそこにいるの?置いて行くよ?」
かなり前方から、イルミの声がする。姿は見えないが、ナマエの【円】の範囲内には居るようだ。
「まっ……今行く!!」
急いで声のする方へと駆け出し、何とかイルミに追いつく。
並んで歩きはするものの、2人の間に会話はない。ヨークシンに行く前にはこの無言の時間も心地よい物だったが、今は殺伐とした空気で耐え難い物があった。
「ねぇ、イルミ……」
先に沈黙を破ったのはナマエだった。
「何?」
真っ直ぐと前を向いたまま、イルミは返答した。
「お願いだから、こっち見て」
「話しなら聞こえてる。言いたい事があるなら言えば?」
いつもより冷たい口調。いつもより冷たい空気。いつもより冷たい態度。何もかもがヨークシンに行く前のイルミと違っていた。
「本当に……ごめんなさい」
「うん」
「どうしても、クラピカに無駄な人殺しをさせたくなかったの」
「それで?」
「だから……イルミとの【約束】破って、旅団と関わった」
「で?」
「…………」
「泣いたら許されるとでも思ってるの?」
ナマエは声を出さずに泣いていた。それは自覚がなく、イルミに指摘されて初めて自覚した。
「違ッ……」
「ふぅ……ナマエさ、オレの事なんだと思ってるの?」
「え?」
「泣いたら【うん、解った】って許す様な、そんな軽い男だとでも思ってるわけ?」
「そんな事――」
『ない』と言い切りたかった。しかし、イルミの冷たい視線を浴びて、ナマエは何も言えなくなった。
「オレ、これでもかなり譲歩してるつもりなんだけど」
「ごめん……」
「今回ばかりは、泣いて謝っても許してあげない」
そう言い切ると、イルミは速度を上げて歩き出した。
屋敷に着いてからも、イルミは自らナマエに話しかける事はなく、ナマエからの問いかけにも簡潔にしか答えなかった。
(どうしよう……かなり怒ってる…………)
泣くまいと思っていても、涙は自然と溢れてくる。イルミに気付かれない様、零れ落ちる涙を拭うと、ナマエはそのままゾルディック家に用意されている自室へと消えていった。
ナマエが自室へ入って行くのを確認すると、イルミは『ふぅ』と小さく溜息を吐いた。
(今回ばかりは、ちゃんと解らせなきゃ駄目だな……)
「た……ただいま?」
「何で疑問形なの?」
【試しの門】を開けた瞬間、イルミに出迎えられたナマエ。
イルミの表情は相変わらず読めないが、怒っているのだけは確実だった。
「いや……【おかえり】って言われると思ってなかったから…………」
しどろもどろに何とか答えると、ナマエはイルミの香りに包まれていた。
「心配したんだからね」
「うっ……ごめん」
怒っているはずなのに、優しく抱きしめるイルミ。
「オレ、【蜘蛛には関わるな】って言ったよね?」
「……うん」
「何で【約束】破ったの?」
「【依頼】があって……ですね?」
自然と上目遣いになりながら、恐る恐るイルミを見遣るナマエ。しかし、イルミはナマエの目を見てはいなかった。
「ふ~ん……オレとの【約束】より、【依頼】の方が大事なんだ?」
「いや……決してそういう訳じゃ――」
「言い訳は聞きたくない」
そう言うと、イルミはナマエの唇を塞いだ。
「ちょっ……イル…………」
いつもより深いキス。ナマエの耳には、イルミとのキスの音だけが鳴り響く。
思考がイルミのキスに支配された時、漸くナマエはイルミから開放された。
「どういうつもりか知らないけど、【お仕置き】はちゃんと受けて貰うからね」
それだけ言い残し、イルミはナマエを置いて屋敷へ向かって歩き出していた。
(ヤバい……完全に怒らせちゃったかな…………)
イルミの後ろ姿を見送りながら、ナマエは焦っていた。あのイルミの逆鱗に触れてしまった。どんな【お仕置き】が待っているのか――
「ナマエ、いつまでそこにいるの?置いて行くよ?」
かなり前方から、イルミの声がする。姿は見えないが、ナマエの【円】の範囲内には居るようだ。
「まっ……今行く!!」
急いで声のする方へと駆け出し、何とかイルミに追いつく。
並んで歩きはするものの、2人の間に会話はない。ヨークシンに行く前にはこの無言の時間も心地よい物だったが、今は殺伐とした空気で耐え難い物があった。
「ねぇ、イルミ……」
先に沈黙を破ったのはナマエだった。
「何?」
真っ直ぐと前を向いたまま、イルミは返答した。
「お願いだから、こっち見て」
「話しなら聞こえてる。言いたい事があるなら言えば?」
いつもより冷たい口調。いつもより冷たい空気。いつもより冷たい態度。何もかもがヨークシンに行く前のイルミと違っていた。
「本当に……ごめんなさい」
「うん」
「どうしても、クラピカに無駄な人殺しをさせたくなかったの」
「それで?」
「だから……イルミとの【約束】破って、旅団と関わった」
「で?」
「…………」
「泣いたら許されるとでも思ってるの?」
ナマエは声を出さずに泣いていた。それは自覚がなく、イルミに指摘されて初めて自覚した。
「違ッ……」
「ふぅ……ナマエさ、オレの事なんだと思ってるの?」
「え?」
「泣いたら【うん、解った】って許す様な、そんな軽い男だとでも思ってるわけ?」
「そんな事――」
『ない』と言い切りたかった。しかし、イルミの冷たい視線を浴びて、ナマエは何も言えなくなった。
「オレ、これでもかなり譲歩してるつもりなんだけど」
「ごめん……」
「今回ばかりは、泣いて謝っても許してあげない」
そう言い切ると、イルミは速度を上げて歩き出した。
屋敷に着いてからも、イルミは自らナマエに話しかける事はなく、ナマエからの問いかけにも簡潔にしか答えなかった。
(どうしよう……かなり怒ってる…………)
泣くまいと思っていても、涙は自然と溢れてくる。イルミに気付かれない様、零れ落ちる涙を拭うと、ナマエはそのままゾルディック家に用意されている自室へと消えていった。
ナマエが自室へ入って行くのを確認すると、イルミは『ふぅ』と小さく溜息を吐いた。
(今回ばかりは、ちゃんと解らせなきゃ駄目だな……)