天空闘技場
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(風邪引いた時に似てるな、この感じ)
身体がダルくて重い。熱でも出ているんじゃないかと思う位に重い。
暫くするとイルミが水を持って来てくれた。
「はい」
「ありがとう」
受け取ろうとするも、手に上手く力が入らない。
イルミはそんなナマエの様子を見て、水の入ったグラスをナマエの口元へと持っていく。
「飲める?」
「ん」
イルミの持ってきた水をコクリと飲み込む。喉の奥が焼けるように痛い。ヒリヒリする。
「ダルいし、喉が痛い……」
「この前のよりちょっとだけ強い【毒】だからね」
「そう……」
【毒】の種類なんて怖くて聞けない。ただ、【毒】を摂取させられているのだという認識だけでいい。
ナマエを【毒】に慣らす。これもイルミの【愛】の形。
「少し横になる?」
「ん」
イルミの問いかけに短く答えると、イルミはナマエを横抱きにし優しくベッドの上に寝かせた。
「気持ち悪くなったりしてない?」
「それは大丈夫。風邪引いた時みたいな感じ」
「そう」
ナマエの頭を優しく撫でながら、イルミは体調を気遣ってくれる。そんな些細な優しさも、今までのイルミにはなかった物。
(【毒物】じゃなくて、イルミに【毒】されて来てるなぁ……)
そんなナマエの気持ちは、イルミには暫く内緒にしておく事にした。
時は6月に入り、ゴンとキルアが新人潰しと闘う日程が決まった。サダソはキルアの脅しに負けて闘技場を立ち去った事により、2人は不戦勝。今日はゴンとキルアがそれぞれギドとリールベルトとの対戦だ。
まずはゴンの試合。今回は釣り竿を持って参戦しているゴン。そんなゴンを、ナマエはイルミと共にモニター越しに眺めている。本来ならば会場に行って観戦したかったが、毎日摂取させられる【毒】の影響でそうも言っていられない。今だって、起き上がってソファーに座っているだけでやっとの状態だ。
「ゴン……瞳の輝きが変わってる。今回は余裕で勝つね」
「そうだね」
「これでまた大怪我したら、ジンに告げ口してやろう。『お前の息子は父親似の馬鹿野郎だ』って」
「うん」
イルミはいつにも増して単調な声で返事をする。何がそんなに面白くないのだろうか。
イルミの思考を読み取ろうとしていると、あっという間にゴンの試合が終わった。ゴンがギドの義足をぶち折った事により、戦闘続行不可能になったのだ。次はキルア対リールベルト戦。「イルミ」
「何?」
「ちゃんと見てあげなよ」
「うん」
「……ねぇ」
「何?」
「何か怒ってる?」
「別に」
「ならちゃんとこっち見てよ……」
イルミの服の裾を引っ張ってみるも、反応がない。表情はまた無表情、声も無機質な物に変わっている。そんなイルミの反応に、ナマエは知らないうちに涙が零れていた。
「何で泣いてるの?」
数瞬後、イルミがナマエの顔を見ながら驚いたように目を見開きながら訊いてきた。
「泣いてなんか、ないよ」
「じゃあ、これは何?」
イルミの指がナマエの頬を伝う雫をそっと拭い取る。
「あ……れ?何で……?」
「それはオレが訊きたい」
「……判んない。イルミに嫌われたと思ったら、勝手に…………」
「オレに嫌われたと思ったの?」
「うん」
「何で?」
「こっち……見てくれなかったから……」
「ごめん。考え事してた」
「考え事?」
「うん。ナマエにこのまま【毒】を取らせていいのかとか」
「そう……嫌われた訳じゃなかったんだ」
「オレがナマエを嫌いになる理由が無いよ」
いまだに涙が伝うナマエの頬を優しく撫でながら、イルミは続けた。
「どうすればナマエがオレの事だけ見てくれるのか、そっちの方が心配」
自身の唇でナマエの涙を吸い取るイルミ。そんな行動がくすぐったくて、ナマエは小さな笑みを溢した。
身体がダルくて重い。熱でも出ているんじゃないかと思う位に重い。
暫くするとイルミが水を持って来てくれた。
「はい」
「ありがとう」
受け取ろうとするも、手に上手く力が入らない。
イルミはそんなナマエの様子を見て、水の入ったグラスをナマエの口元へと持っていく。
「飲める?」
「ん」
イルミの持ってきた水をコクリと飲み込む。喉の奥が焼けるように痛い。ヒリヒリする。
「ダルいし、喉が痛い……」
「この前のよりちょっとだけ強い【毒】だからね」
「そう……」
【毒】の種類なんて怖くて聞けない。ただ、【毒】を摂取させられているのだという認識だけでいい。
ナマエを【毒】に慣らす。これもイルミの【愛】の形。
「少し横になる?」
「ん」
イルミの問いかけに短く答えると、イルミはナマエを横抱きにし優しくベッドの上に寝かせた。
「気持ち悪くなったりしてない?」
「それは大丈夫。風邪引いた時みたいな感じ」
「そう」
ナマエの頭を優しく撫でながら、イルミは体調を気遣ってくれる。そんな些細な優しさも、今までのイルミにはなかった物。
(【毒物】じゃなくて、イルミに【毒】されて来てるなぁ……)
そんなナマエの気持ちは、イルミには暫く内緒にしておく事にした。
時は6月に入り、ゴンとキルアが新人潰しと闘う日程が決まった。サダソはキルアの脅しに負けて闘技場を立ち去った事により、2人は不戦勝。今日はゴンとキルアがそれぞれギドとリールベルトとの対戦だ。
まずはゴンの試合。今回は釣り竿を持って参戦しているゴン。そんなゴンを、ナマエはイルミと共にモニター越しに眺めている。本来ならば会場に行って観戦したかったが、毎日摂取させられる【毒】の影響でそうも言っていられない。今だって、起き上がってソファーに座っているだけでやっとの状態だ。
「ゴン……瞳の輝きが変わってる。今回は余裕で勝つね」
「そうだね」
「これでまた大怪我したら、ジンに告げ口してやろう。『お前の息子は父親似の馬鹿野郎だ』って」
「うん」
イルミはいつにも増して単調な声で返事をする。何がそんなに面白くないのだろうか。
イルミの思考を読み取ろうとしていると、あっという間にゴンの試合が終わった。ゴンがギドの義足をぶち折った事により、戦闘続行不可能になったのだ。次はキルア対リールベルト戦。「イルミ」
「何?」
「ちゃんと見てあげなよ」
「うん」
「……ねぇ」
「何?」
「何か怒ってる?」
「別に」
「ならちゃんとこっち見てよ……」
イルミの服の裾を引っ張ってみるも、反応がない。表情はまた無表情、声も無機質な物に変わっている。そんなイルミの反応に、ナマエは知らないうちに涙が零れていた。
「何で泣いてるの?」
数瞬後、イルミがナマエの顔を見ながら驚いたように目を見開きながら訊いてきた。
「泣いてなんか、ないよ」
「じゃあ、これは何?」
イルミの指がナマエの頬を伝う雫をそっと拭い取る。
「あ……れ?何で……?」
「それはオレが訊きたい」
「……判んない。イルミに嫌われたと思ったら、勝手に…………」
「オレに嫌われたと思ったの?」
「うん」
「何で?」
「こっち……見てくれなかったから……」
「ごめん。考え事してた」
「考え事?」
「うん。ナマエにこのまま【毒】を取らせていいのかとか」
「そう……嫌われた訳じゃなかったんだ」
「オレがナマエを嫌いになる理由が無いよ」
いまだに涙が伝うナマエの頬を優しく撫でながら、イルミは続けた。
「どうすればナマエがオレの事だけ見てくれるのか、そっちの方が心配」
自身の唇でナマエの涙を吸い取るイルミ。そんな行動がくすぐったくて、ナマエは小さな笑みを溢した。