「【見守る】事……ね」
イルミは暫く顎に手を当てて考えていた。先程の殺気はもう無い。
無言の時間がどの位流れただろうか。感情の読めないイルミが何を考えているのかまでは判らない。ただ判るのは、イルミが本気で考えているであろう事のみ。
「いいよ」
漸くイルミが発した言葉。それは了承の言葉だった。
「本当に？」
「うん」
「良かったぁ……」
ナマエは安堵の溜息を吐いた。それをイルミは不思議そうに見ている。
「何が良かったの？」
「【条件】を飲んで貰えた事だよ」
「…………だって、そうでもしないとナマエはオレと付き合ってくれないんでしょ？」
「まぁ……そうだけど」
「オレにとっては、ナマエと付き合う方がメリットがあるから【条件】を飲んだだけ」
「それでも、キルアが少しでも今の状況から抜け出せるんならいいよ」
にこやかに笑うナマエを、イルミは優しく抱き寄せた。
「何？」
「付き合ってるんだよね？オレ達」
「つい今しがたからね」
「なら、こうしてももう大丈夫なわけだ」
そう言うや否や、イルミはナマエに軽いキスをした。
「ちょっ……イルミ？！」
「付き合ってるなら、問題ないでしょ？」
首を傾げながらイルミは確認した。
「こういうのはお互いの気持ちが通じ合ってからするモンなの！！」
ナマエの言っている意味が理解出来ないのか、イルミは首を傾げたままだ。
「はぁ～……先が思いやられるわ……」
イルミに聞こえない様に、小さく溜息を吐いて呟くナマエ。しかし、イルミはその呟きが聞こえていた。
「大丈夫。ナマエが本当に嫌がる様な事は無理強いしないから」
「そうして……じゃないと即別れるから！」