「さて、これでもうこの建物を一歩出たら諸君等はワシ等と同じ！ハンターとして仲間でもあるが、商売敵でもあるわけじゃ。ともあれ、次に会うまで諸君等の息災を祈るとしよう。では解散！！」
ネテロがドアの向こうへ消えると、合格者達はそれぞれ帰って行く。
「いいのかい？殺し屋が自分のアジト教えちゃって♦」
「うん。隠して無いし、地元じゃ有名だしねー。まぁ、彼等も行ってみれば解るよ。オレ達と彼等じゃ住む世界が違うって事がね」
ヒソカはイルミの右手に視線を落とした。
「これか。うん、折れてるよ。面白い素材だ。ヒソカが見守りたいって気持ちがよく解るよ」
「だろ♥」
（それだけにオレから見れば危険人物なんだよな。出来れば今のうちに……）
イルミがゴンの後姿を見つめていると、ヒソカに睨み付けられた。
「ゴンはボクの獲物だ♠手出ししたらただじゃおかないよ♣」
「解ってるよ。短い付き合いだがヒソカの好みは把握した。―――で、ヒソカ。キミはこれからどうするんだ？」
「じっと待つよ♦果実が美味しく実るまで……♥」
「ナマエは？」
「とりあえずはキルアに会いに行く」
「うちに来るって事？」
「そう」
「じゃ、オレと付き合ってくれるって事でいいんだよね？」
「それとこれとは別問題。だけど、キルアに会わせて貰えるなら前向きに検討するよ」
ナマエの言葉に、イルミはピクリと反応して何処かへ電話を掛け始めた。
「ナマエ♠」
「何？ヒソカ」
「イルミの扱いが上手くなってるね♦」
「そうかなぁ？」
暫くヒソカと話していると、電話を終えたイルミがこちらに向き直った。
「親父が高速艇を用意してくれた。飛行場に行けばいつでも出発できるよ」
「イルミは？」
「オレも仕事の為に一旦戻らなきゃいけないから、ナマエと一緒に行く」
「そ。なら早く行こう。ヒソカまたね」
ナマエはヒソカに手を振りながら、イルミと連れ立って飛行場へと走った。一刻も早くキルアに会うために。