ジンとの出会い。それは突然だった。

目が覚めると、見渡す限りの木。木。木。木。森の中に1人取り残された様な、そんな状況だった。
「こんなトコで何してんだ？お前」
突然話しかけられた声に振り向くと、そこには1人の男が立っていた。
「ジン……フリークス？」
「何だ？オレの事知ってるのか？！」
「知ってるも何も……」
HUNTER×HUNTERの主人公：ゴンの父親だ、と言い掛けて止めた。何かが引っかかる。
「ま、いいか。それよりも何してんだ？こんな秘境の奥地で」
「秘境……？奥地……！？」
「ああ。ここはジャポンの樹海の中だ」
「ジャポン……って事は、日本か」
「ニホン？何だそれは？？」
ジンは頭に疑問符を浮かべて話を聞いている。
「私のいた国。気付いたらここにいたんだ」
「気付いたら……ねェ……」
暫し考え込むジン。
「で、お前の名前は？」
「##NAME2##」
「ナマエか。響きからして、ジャポン人か？」
「厳密には違うけど……こっちでいうジャポン人だね」
「厳密に言うと……か。で、行く当てはあるのか？」
「……ないよ、そんなの」
（家に帰りたい……）
知らず知らずに、ナマエの目には涙が浮かんでいた。
「おっ……おい！泣くな！！」
「泣いてなんか……ない！」
目を擦り、涙を拭うナマエ。
「分かった！分かったからもう泣くな！！な？な？？」
いまだに目を擦り続けているナマエに、ジンは“何も聞くまい”と決めた。

「ナマエ！そっちの道具取ってくれ！！」
「これ？」
「おう！それだ、それ！」
数週間後、ナマエはジンと共に暮らしていた。ジンはゴンに対する放置さはなく、ナマエには優しかった。

「何？これ」
ある日ジンはナマエにモデルガンを手渡した。
「見ての通り、モデルガンだ。ただし、特注のな」
人懐っこい笑みを浮かべながら、ジンは続けた。
「護身用だ。持っとけ」
「護身用って……ジンがいるのに、何で？」
「お前にはハンター試験を受けて貰う」
「ハンター試験！？」
「そうだ。ここ数ヶ月オレの手伝いをして、体力も行動力も問題ないレベルになった。なによりハンター証を持ってると色々と便利だからな」
二カッと笑うジンに、ナマエは苦笑するしかなかった。
「今からナマエに【念】の習得をして貰う。それが出来たら、今年のハンター試験に応募するぞ」
ニコニコと笑いながらジンは言う。そして、そのままいきなりナマエの精孔を開いた。
「ちょっ……ジン！？」
「今は【纏】に集中しろ」
いつに無く真面目なジンに、ナマエは黙って従った。
どれ位の時間が経ったのかは覚えていない。気付いたら【纏】が出来ており、ナマエの身体はオーラに包まれていた。
「手加減したとは言え、こんなすぐに【纏】が出来るとは思わなかったな。お前才能あるぞ、ナマエ！」
「何か、妙な気分……」
「ま、慣れるまでの辛抱だ。次は【練】だ」
「え？早くない？？」
「ハンター試験の申込み締切日が近いからな。【絶】はオレとの生活で出来るようになってるから問題ないとして、問題は【発】をどうするかなんだよなァ……」
ジンはナマエをおいて自分の世界に入り込んでしまった。
（とりあえず、【練】をしておけばいいんだよね……）
泉から水が湧き出す様をイメージし、ナマエは自身の精孔を広げた。その莫大なオーラ量に、思考に耽っていたジンは我に帰る。
「なんてオーラ量してやがるんだ……」
ジンはナマエの【練】を見て、すぐさまグラスと水、それに1枚の葉を用意した。
グラスに並々と注がれた水の上に浮かぶ葉。まさに【水見式】をやろうとしているのだ。