そのまま古城の外へネフェルピトーを連れて出たゴン。ネフェルピトーは焦っていた。
（方法は分からないが、強制的に成長したんだ……！！ボクを倒せるレベルまで！！）
後ろを向いているゴンに攻撃を仕掛けるネフェルピトー。しかし、その攻撃はゴンに当たる事はなく、逆にゴンの蹴りを食らってしまう。
「さい――しょは――グー――」
ゴンの右手にその強大なオーラが集まっていく。
ケリによって多大なダメージを受けているネフェルピトー。
「ジャン――ケン――」
地面に落ちる直前、ゴンの拳はネフェルピトーの顔面を捕えた。
（良かった……命を圧縮する事でしか成し得ないであろう能力……！！二度と【念能力】が使えなくなってもいい！！それ程の決意と覚悟で無ければ不可能！！天賦の才を持つ者が更に、その才を全て投げ出して漸く得られる程の力！！殺されるのが――ボクで良かった……！！）
どれだけゴンがネフェルピトーに拳を打ち込んだのかは分からない。
「ジャン……ケン……」
キルアが到着した時には、ゴンがネフェルピトーを砕く瞬間だった。
「……」
「カイト――教わった通り……止めを刺したよ。だから…………」
「…………ゴン……なのか……？なぁ……ナマエ……どうなんだよ！？」
「アレは――紛れも無く、ゴンだよ」
ナマエの言葉に、キルアは変わり果てたゴンを見つめた。
「キルア……」
ゴンは泣いていた。カイトを想って泣いていた。
そんなゴンに向かって、ネフェルピトーの【黒子舞想（テレプシコーラ）】が発動された。
「……ゴンッ！キルアッ！！」
キルアがゴンに飛びつくが、ネフェルピトーの【黒子舞想（テレプシコーラ）】はゴンの右腕を奪った。
王の為、死後更に強大となった【念】を纏い、ゴンの抹殺だけを目的とした骸人形となったネフェルピトー。
そんなネフェルピトーの攻撃の合間に、ナマエとキルアは確かに聞いた。
「大丈夫。痛くないよ。強がりじゃない。少しだけ――嬉しい。やっと……カイトと同じになれた。あの時の……」
「ゴンッ！！」
「少しだけ――救われた」
もぎ取られた右腕を取り、ゴンはその腕でネフェルピトーを殴りつけ追い打ちを掛ける。
「おぉおぉおぉ！！」
そのままネフェルピトーを両足で押さえつけるゴン。
「最――初は」
（右腕はやるよ。お前も――）
「グー！！」
（もう――おやすみ……）
「「ゴンッ！！！」」
一瞬こちらを見て、ゴンは悲しそうに笑った。

《衝撃的なニュースが入ってまいりました！！東ゴルドー共和国の全国民を集結させた大人民大会の真の目的は、総帥自身による大虐殺でした！！人民は特殊な薬品により心身の自由を奪われ、最終的にはミニチュアローズを含む破壊兵器によって爆殺される予定だったと思われます！！ディーゴ総帥は既に瓦礫の中から遺体で見つかっており、無理心中の公算が大きい状況ですが、東ゴルドーのNo2であるビゼフ長官の所在・安否は依然不明のままで、革命の可能性の方が有力であると一部の情報筋は警戒を強めています！！国際保安維持機構によりますと、東ゴルドーの各地で多数の虐殺体が発見されております！！逃亡を謀った人民が処刑されたものとみられ、その数は数万から数十万に上ると推測されております！！ミテネ連邦には他に三つの国がありますが、その中のNGLにも異変が起きております！！亡命者の確認等、機構が確認を試みておりますが、全く応答が無い状態です！！元々東ゴルドーとNGLとの間には黒い噂が絶えず、今回の事件を契機にNGLにも機構の強制捜査のメスが入る事は必至です！！》
同日。ネテロがハンター協会の会長職の辞任する旨と、後任人事に関するメッセージが記録された動画が電脳サイトで配信され話題になったが、政治家主導の巨大なニュースに掻き消され、ソレがネテロの遺言だと理解した者はごくごく僅かだった。