流星街
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「ナマエ」
G・Iから戻った翌日。朝食を終えて先に部屋へ戻ろうとするナマエを、イルミは呼び止めた。
「何?」
「後で話して貰うから」
「……分かった」
何の事かは解っていた。ジンにもまだ話していない、大事な【話】。それを今日、イルミに打ち明けなければいけない。
(こんな事言っても、イルミは信じないだろうけど……ま、言うだけ言ってみるか)
仕事の打ち合わせを終えたイルミは、部屋に入るなりナマエを探した。
“探す”とは言っても、部屋を見渡しただけであり、実際には“見つめた”と言った方が正しいかもしれない。
大きなソファーに腰を掛けた状態で、ナマエは窓の外を眺めていた。
「お待たせ」
「ん?あ、イルミ。早かったね」
「うん。いつもと変わらない内容だったから」
「そう」
ナマエの口数がいつもより少ないと感じたイルミは、少し心配になっていた。
「嫌なら無理には訊かない」
それだけ言うと、イルミは仕事道具を手にしようとした。
「ううん。ちゃんと話すよ」
ナマエの目には決意の色が見て取れた。その事を確認したイルミは、鋲を元の位置へ戻すとナマエの側に座った。
「で、何から話せばいい?」
少し困った顔でイルミを見るナマエ。
「ナマエの話しやすい順番でいいよ」
「う~ん……」
暫し考えこんで、ナマエはある言葉を口にした。
「イルミは……【トリップ】って信じる?」
「何それ?」
「簡単に言うと、時空を超えて異世界に来ちゃうって感じかな」
苦笑交じりに言葉を紡ぐナマエを、イルミはただ見つめて先を促した。
「実はね――私、【トリップ】して来たの」
「ヘェ……」
「反応薄いなぁ」
「それとナマエと、何が関係あるの?」
至極当然の様に訊いてくるイルミに、ナマエは二の句が紡げなかった。
「だって、ナマエは今ここに居るし。【トリップ】とか言うのが仮にあったとしても、関係ないでしょ」
「いやいや……いついなくなるか、解かんないんだよ?」
「いなくなる気?」
「そうじゃなくて」
「なら、関係ないじゃん」
「関係有るよ」
「オレはナマエが何処に行っても、必ず見つけ出して連れ戻すよ」
イルミの言葉に、素直に心からの笑顔になる。
「ナマエはそうやって、オレの側で笑ってればいいんだよ」
優しく抱きしめてくるイルミに、ナマエはただ頷いた。
「で、【トリップ】とオレが【知りたい】事の関係性は?」
暫く抱き締められていたかと思ったら、イルミに話の続きを求められた。
「【トリップ】する前の世界でね、イルミ達の事が本になってたの」
「オレ達の事?」
「そう。まだ完結していない本でね――そこに一連の流れが記されてたの」
「ふ~ん」
「だから、ある程度の流れは頭に入ってるんだよ」
「だからか……」
「ん?」
「ナマエが無茶してる【理由】」
「……そうだね。皆好きなキャラクターだったから――出来るだけ被害を最小限に留めたかったの」
「でも、それだけが【理由】じゃないでしょ?」
「……気付いてたの?」
「うん」
「そっかぁ……イルミの目は誤魔化せなかったか」
少し残念そうに呟いたナマエは、自虐的に笑いながらも話を続けた。
「最初はね、純粋に皆を助けたかっただけなんだよ?」
「知ってる」
「今は……どっちかと言うと、自分の【エゴ】だけどね」
「そうだね」
「否定してくれないんだ?」
「本当の事だからね。否定しない」
「何気に酷いなぁ」
小さく呟くナマエを抱き締め直し、イルミは続きを促した。
「色んな話があってね。私が知ってるのは、もう少し先の話までなんだ。多分、【あっち】の世界では私も知らない【続き】があると思う」
「うん」
「でも、【私】というイレギュラーな存在が出来たことで、物語は変わってるんだよ?」
「へぇー」
G・Iから戻った翌日。朝食を終えて先に部屋へ戻ろうとするナマエを、イルミは呼び止めた。
「何?」
「後で話して貰うから」
「……分かった」
何の事かは解っていた。ジンにもまだ話していない、大事な【話】。それを今日、イルミに打ち明けなければいけない。
(こんな事言っても、イルミは信じないだろうけど……ま、言うだけ言ってみるか)
仕事の打ち合わせを終えたイルミは、部屋に入るなりナマエを探した。
“探す”とは言っても、部屋を見渡しただけであり、実際には“見つめた”と言った方が正しいかもしれない。
大きなソファーに腰を掛けた状態で、ナマエは窓の外を眺めていた。
「お待たせ」
「ん?あ、イルミ。早かったね」
「うん。いつもと変わらない内容だったから」
「そう」
ナマエの口数がいつもより少ないと感じたイルミは、少し心配になっていた。
「嫌なら無理には訊かない」
それだけ言うと、イルミは仕事道具を手にしようとした。
「ううん。ちゃんと話すよ」
ナマエの目には決意の色が見て取れた。その事を確認したイルミは、鋲を元の位置へ戻すとナマエの側に座った。
「で、何から話せばいい?」
少し困った顔でイルミを見るナマエ。
「ナマエの話しやすい順番でいいよ」
「う~ん……」
暫し考えこんで、ナマエはある言葉を口にした。
「イルミは……【トリップ】って信じる?」
「何それ?」
「簡単に言うと、時空を超えて異世界に来ちゃうって感じかな」
苦笑交じりに言葉を紡ぐナマエを、イルミはただ見つめて先を促した。
「実はね――私、【トリップ】して来たの」
「ヘェ……」
「反応薄いなぁ」
「それとナマエと、何が関係あるの?」
至極当然の様に訊いてくるイルミに、ナマエは二の句が紡げなかった。
「だって、ナマエは今ここに居るし。【トリップ】とか言うのが仮にあったとしても、関係ないでしょ」
「いやいや……いついなくなるか、解かんないんだよ?」
「いなくなる気?」
「そうじゃなくて」
「なら、関係ないじゃん」
「関係有るよ」
「オレはナマエが何処に行っても、必ず見つけ出して連れ戻すよ」
イルミの言葉に、素直に心からの笑顔になる。
「ナマエはそうやって、オレの側で笑ってればいいんだよ」
優しく抱きしめてくるイルミに、ナマエはただ頷いた。
「で、【トリップ】とオレが【知りたい】事の関係性は?」
暫く抱き締められていたかと思ったら、イルミに話の続きを求められた。
「【トリップ】する前の世界でね、イルミ達の事が本になってたの」
「オレ達の事?」
「そう。まだ完結していない本でね――そこに一連の流れが記されてたの」
「ふ~ん」
「だから、ある程度の流れは頭に入ってるんだよ」
「だからか……」
「ん?」
「ナマエが無茶してる【理由】」
「……そうだね。皆好きなキャラクターだったから――出来るだけ被害を最小限に留めたかったの」
「でも、それだけが【理由】じゃないでしょ?」
「……気付いてたの?」
「うん」
「そっかぁ……イルミの目は誤魔化せなかったか」
少し残念そうに呟いたナマエは、自虐的に笑いながらも話を続けた。
「最初はね、純粋に皆を助けたかっただけなんだよ?」
「知ってる」
「今は……どっちかと言うと、自分の【エゴ】だけどね」
「そうだね」
「否定してくれないんだ?」
「本当の事だからね。否定しない」
「何気に酷いなぁ」
小さく呟くナマエを抱き締め直し、イルミは続きを促した。
「色んな話があってね。私が知ってるのは、もう少し先の話までなんだ。多分、【あっち】の世界では私も知らない【続き】があると思う」
「うん」
「でも、【私】というイレギュラーな存在が出来たことで、物語は変わってるんだよ?」
「へぇー」