「【堅】が出来るか。ならば死ぬ事はあるまい。当たりどころが良ければな」
レイザーのオーラが増した。それを肌で感じ取るゴンとキルア。
「行くぞ、ゴン！！」
「来い！！！」
ゴンは【硬】で手と頭をガードする。その状態でレイザーのボールを受けるも、足の踏ん張りが足りずに飛ばされてしまう。
「ゴン！！」
「ボールは！？」
その時、大きな音を立てて、ゴンが弾いたボールが天井の奥深くにのめり込んだ。
「計算して、かなり丈夫に作って貰ったんだがな。ま……突き抜けなかっただけでもよしとするか」
「何mも奥にめり込んでるぜ……」
「ありゃあ落ちてこねーな」
弾き飛ばされたゴンの元へ、キルアとビスケが駆け寄っていく。
「ヒソカ」
「ん？」
「【面白く】なってきたでしょ？」
「ああ♥」
「あいつ、絶対ェ許さない」
にこやかに言うナマエからは、その顔からは想像出来ない程の殺気が漏れていた。
《ボールの落下予想地点は……ゴンチーム内野ボールで試合を再開します！！なお、天井と壁も床の延長と見做しますので、ゴン選手はアウトです！！それでは、スタート》
「ゴン！手当てしとけ！！」
キルアがゴレイヌにパスをしながら、指示を出す。
「別にこうしてパス続けても、反則じゃないだろ？」
《OKです》
何度かパスをしていたキルアとゴレイヌだが、いきなりゴレイヌがボールを持ったまま歩き出した。
「？」
「ヤる気満々だな、ありゃ……」
「おい」
「……」
「やられっ放しってのは、性に合わねーんだ。借りを返すぜ、レイザー」
キルアの声を無視し、ゴレイヌはレイザー目掛けてボールを投げ出す。
「いくぜ、くらえ」
ありったけのオーラを込めて、ゴレイヌはボールを投げる。
顔面を捕えたボールは、そのままイルミの方へ飛んで行った。
「ざまぁみやがれ。てめェも、外野へ引込みな！！」
「無駄な事をまた……」
「どうしたんだい？ナマエ♠」
「――ヒソカ、こっからが本番だ」
「OK、ナマエ♥」
ナマエがヒソカに声をかけた瞬間、No13がNo2を投げ飛ばし、ボールをキャッチ。そのままNo13にパスをした。
「なっ」
「？」
イルミはやる気無しで、ただその様を傍観している。
「……っ。な……」
ゴレイヌは次の瞬間、ボールが顔面に直撃した。
「「ゴッゴレイヌ！！」」
「なかなかいい力だ。大事にしなよ」
ゴレイヌは失神してしまっている。
「ちょっと、あんた。何て事すんのよ！！」
「ん？敵にパスしちゃいけないルールはないぜ？ちなみに、ここのルールじゃ顔面への攻撃もアリだ。だから、さっきのオレへの攻撃も有効！球が床に落ちてれば、オレはアウトだったな」
「こりゃ……ムリだ！」
「これで内野は4対3……！！」
「さて……と」
レイザーの動きに、ナマエ達4人が構える。
「次は、誰かな！？」
レイザーの投げたボールは、そのままキルア目掛けて物凄い勢いで飛んでくる。
キルアはとっさに避けようとするも、間に合いそうになかった。
「キルア！！」
キルアが声に気付いたのと同時に、横に押し出される感覚が身体を襲った。
慌てて体勢を立て直すキルアが見たもの、それは直角にシュートするボールと自分を押し出したであろうナマエの姿。
ボールはそのままビスケとヒソカに向かって行く。2人は避けるも、No5が体勢を倒したヒソカに向けてボールを放つ。
「「「「「ヒソカ！！」」」」」
【伸縮自在の愛（バンジーガム）】を発動し、ボールを何とか受け止めるヒソカ。
《ナマエ選手、ビスケ選手アウト！！外野へ移動です！！》
「何！？」
「避けただろ！？」
「衣服も体の一部……ってことだわね？不覚……」
「ごめん、キルア。ドジッた！」
謝るナマエに視線を向けると、右肩を抑える姿が目に入った。
「ナマエ！？」