「ねぇ、ヒソカ」
「何だい？」
「暑いから離れて」
突然ナマエから辛辣な言葉を投げられたヒソカ。
「酷いなァ♠ボクの事が嫌いになったのかい？」
「いや、好きだけどさ……」
「ならいいじゃないか♥」
恋人の回答に、離れるどころか尚もくっつくヒソカ。
「作業しにくい」
「そうかい？」
「うん、かなり」
ヒソカの恋人は現在料理中。その背後からヒソカが抱きついている状態だったのである。
「それに、怪我してもいいの？」
「……」
「そこ、黙らない！」
「……分かったよ」
両手を上げて、ヒソカはナマエから離れた。
「分かればよろしい」
そのまま作業を続けるナマエを見て、ヒソカは思った。
（こんな時間が永久に続けばいいのに……♣）

「ヒソカー！出来たよ～！」
ナマエの声に、トランプタワーを作っていた手を止めたヒソカ。
視線を声の主に移せば、せっせとテーブルに料理を運んでいる最中だった。
「言ってくれれば手伝ったのに♦」
「準備と後片付けは料理の内だよ？ヒソカ」
カラカラと笑いながら食事の準備を続けるナマエに、ヒソカは愛しさが増していった。
「今日はジャポン料理なのかい？」
「うん。気分的にね。ジャポン料理が一番作りやすいってのもあるし」
「そうだったのかい？」
「そうだよ」
「それは知らなかったなァ♠」
「まだまだヒソカの知らない一面があるって事だよ」
「……」
「ん？どうしたの？」
「なんでもないよ♥」
（ボクの知らない一面も含めて、キミが愛おしくて堪らない……♥けど、この気持は当分お預けだな♦）
ヒソカの心中を知らないナマエは、そんなヒソカを急かして食事をするのであった。