初陣
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硬い石の床に薄い布を身体にかけながら寝ころんでいると、男衆は皆ぐっすりと眠っていた。
眠れない……何というか、見知らぬ男に囲まれている状態と見知らぬ場所で眠らなければならないという状況に、思考が付いていかないため緊張しているのだ。
豊久は適応能力が高いのか、いびきをかきながら眠っている。
何時間かそのような状態で眠れぬ時間を過ごしていると、与一が起き上がる気配がした。
「……ん?」
「あぁ、起こしてしまいましたか?」
「いえ、元々眠れなかったので……」
「……そうですか」
不思議そうに与一を見ていると、急に他の2人が勢いよく起き上がった。
「気がつかれたか」
廃城の窓から外を見ていた与一が、信長と豊久を見遣る。
「何だ、この≪におい≫」
「合戦のにおいか」
信長の言葉に、名前は慌てて窓から身を乗り出した。
「火だ。森のむこうの“えるふ”の連中の村じゃ」
信長の言う通り、廃城の前にある森の向こうに煙が立っているのが見えた。
「夜盗か≪野伏せり≫か。おそわれておるの。戦の≪におい≫だ。森向こうに住む、妙な連中の村だ。あれだ、お前達をここに引っぱってきた耳の長い“えるふ”という……」
まだ信長が言葉を発しているというにも関わらず、刀を携えて豊久は飛び出した。
「あ!!おい!待てぇい、行く気か」
「ここがどこで、どうなっているか何も知らん。これが夢か現実(うつつ)か、何もわからん!!だったら俺は、突っ走る事しか知らん!!」
言うなり、豊久は走り出した。
「……うつけ(あほ)じゃ、あいつは。先程まで死にかけておったのに、あいつは鉄砲玉かなんかか」
信長はそう言うと、与一と目で合図しニヤリと笑った。
「ようし!!おみゃあは、ここで留守番でもしておれ!」
信長と与一は、名前をその場に残し、豊久を追って走って行った。
「ちょっ!?こんな薄気味悪いとこに置いてかないでよー!!」
だんだんと遠のく3人の背中に向かって名前は叫んだが、その声は虚しく木霊するだけだった。
「うー……こんなとこに独りって……かなり不気味で嫌なんですけどー」
そう名前が呟くと、すぐ近くでナニかが草を踏む音がした。
「えっ……?こんな時に……何??」
音がした方を向くと、そこには常識では考えられない赤い眼をした黒い大きな犬がいた。
「ちょっ……まっ……えぇーっ!?」
鋭い眼光を名前に向けながら、犬はにじり寄ってくる。
「あっ……えっ……私なんか食べても美味しくないからー!!」
後退りながら名前が叫ぶも、犬の足は止まらない。
それどころか、近づいてくる速度が上がっている。
「ちょっと!マジで来ないでー!!」
犬の速度に合わせるかのように後退ることを続けていると、背中に何かがぶつかった。
「えっ……マジかよ……」
背後には、廃城の壁。これ以上後ろには下がれない。もう終わりだと思い座り込んだ時、目の前に犬の鼻先があった。
『主……やっと見つけた……我が主……』
頭の中に直接、拾われた時と同じ聞き慣れない言語が響き渡る。
「な……に……?」
『我が名を……主よ……我が名を呼んでくれ……』
だんだんと、聞き慣れない言葉がよく知っている言語となり、鳴り響く。
「主……?お前の……名前……??」
「そうだ……お前は我が主……我が名は……すでに≪見えて≫いるハズ……。さぁ、我が名を……呼ぶのだ……」
「セオ……フィラス……。お前の名は……セオフィラス?」
「あぁ……漸く呼んでもらえた……。さぁ、契約成立だ……主よ……。≪エルフ≫を助けたいか……?」
「エルフ……あの少年達の事?」
「左様……。今ならまだ間に合う……。主は……どうしたい……?」
「そんなの……決まってる!助けてもらった恩を返したい!襲われてるっていうなら、助けたい!!」
名前がセオフィラスにそう告げると、セオフィラスは声高に吠えた。
眠れない……何というか、見知らぬ男に囲まれている状態と見知らぬ場所で眠らなければならないという状況に、思考が付いていかないため緊張しているのだ。
豊久は適応能力が高いのか、いびきをかきながら眠っている。
何時間かそのような状態で眠れぬ時間を過ごしていると、与一が起き上がる気配がした。
「……ん?」
「あぁ、起こしてしまいましたか?」
「いえ、元々眠れなかったので……」
「……そうですか」
不思議そうに与一を見ていると、急に他の2人が勢いよく起き上がった。
「気がつかれたか」
廃城の窓から外を見ていた与一が、信長と豊久を見遣る。
「何だ、この≪におい≫」
「合戦のにおいか」
信長の言葉に、名前は慌てて窓から身を乗り出した。
「火だ。森のむこうの“えるふ”の連中の村じゃ」
信長の言う通り、廃城の前にある森の向こうに煙が立っているのが見えた。
「夜盗か≪野伏せり≫か。おそわれておるの。戦の≪におい≫だ。森向こうに住む、妙な連中の村だ。あれだ、お前達をここに引っぱってきた耳の長い“えるふ”という……」
まだ信長が言葉を発しているというにも関わらず、刀を携えて豊久は飛び出した。
「あ!!おい!待てぇい、行く気か」
「ここがどこで、どうなっているか何も知らん。これが夢か現実(うつつ)か、何もわからん!!だったら俺は、突っ走る事しか知らん!!」
言うなり、豊久は走り出した。
「……うつけ(あほ)じゃ、あいつは。先程まで死にかけておったのに、あいつは鉄砲玉かなんかか」
信長はそう言うと、与一と目で合図しニヤリと笑った。
「ようし!!おみゃあは、ここで留守番でもしておれ!」
信長と与一は、名前をその場に残し、豊久を追って走って行った。
「ちょっ!?こんな薄気味悪いとこに置いてかないでよー!!」
だんだんと遠のく3人の背中に向かって名前は叫んだが、その声は虚しく木霊するだけだった。
「うー……こんなとこに独りって……かなり不気味で嫌なんですけどー」
そう名前が呟くと、すぐ近くでナニかが草を踏む音がした。
「えっ……?こんな時に……何??」
音がした方を向くと、そこには常識では考えられない赤い眼をした黒い大きな犬がいた。
「ちょっ……まっ……えぇーっ!?」
鋭い眼光を名前に向けながら、犬はにじり寄ってくる。
「あっ……えっ……私なんか食べても美味しくないからー!!」
後退りながら名前が叫ぶも、犬の足は止まらない。
それどころか、近づいてくる速度が上がっている。
「ちょっと!マジで来ないでー!!」
犬の速度に合わせるかのように後退ることを続けていると、背中に何かがぶつかった。
「えっ……マジかよ……」
背後には、廃城の壁。これ以上後ろには下がれない。もう終わりだと思い座り込んだ時、目の前に犬の鼻先があった。
『主……やっと見つけた……我が主……』
頭の中に直接、拾われた時と同じ聞き慣れない言語が響き渡る。
「な……に……?」
『我が名を……主よ……我が名を呼んでくれ……』
だんだんと、聞き慣れない言葉がよく知っている言語となり、鳴り響く。
「主……?お前の……名前……??」
「そうだ……お前は我が主……我が名は……すでに≪見えて≫いるハズ……。さぁ、我が名を……呼ぶのだ……」
「セオ……フィラス……。お前の名は……セオフィラス?」
「あぁ……漸く呼んでもらえた……。さぁ、契約成立だ……主よ……。≪エルフ≫を助けたいか……?」
「エルフ……あの少年達の事?」
「左様……。今ならまだ間に合う……。主は……どうしたい……?」
「そんなの……決まってる!助けてもらった恩を返したい!襲われてるっていうなら、助けたい!!」
名前がセオフィラスにそう告げると、セオフィラスは声高に吠えた。