漂流
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
言葉が通じないため、少年達に身振り手振りで付いて来いと促され、名前は黙ってそれに従った。
『『おもいいいいいいー』』
少年が2人がかりで男を引き摺りながら、延々と森の中を歩いた。
『はあ、はあ。なんて重いんだ』
『はやくしないと、領主様に見つかったらとんでもない事に』
やがて目の前に石造りの廃れた建物が見えてきた所で、別の声が辺りに響いた。
『トマーレ!』
その声に少年達はビクリと反応した。
『ソレ以上オ城に近ヅイタラコロス!フリムイテモコロス!大声ヲ出シテモコロス!!何ノ用ダ!?』
『あ、あんたらの仲間だろ!これ。男の方は死にそうなんだよ!せっかくつれてきてやったのに!!あんたらと同じ漂流者だろ?』
『モウチョットユックリシャベレ。ワカラナイ。アト、声小サイ。ユックリシャベラナイトコロス!!』
『ほら!これ!!』
『ホラ!!』
名前達を指差しながら少年達は声の主に答えた。
一瞬の静寂の後、少年達とは異なる、先程の声の主がまた話し始めた。
『ソコニオイテケ』
『あいかわらず訳わかんないよ』
『もういい、早く行こう。森に入っただけでなく、漂流者に会ったなんてバレたら殺される』
「えっ、あっ……えぇー?!置いてけぼりにすんの?この状況で??」
何を話していたのかは、名前には解らない。ただ、奇妙な少年達に見捨てられたと、そう思った。
「何事だ!!」
目の前にある廃れた建物から、今度は名前のよく知っている言語での言葉が響き渡った。
「村の者が行き倒れと奇妙な女人を連れてまいりました。日本の者です。行き倒れているのは、どこぞの家中の武者です」
「生きておるのか」
「虫の息ですが、生きております」
「で、あるか。ろくな薬もないが手当してやれ。命と運が強ければ生きるであろう、わしらのように。ふふん♪面白きものよなあ、この浮世は」
「にゃあ、女。詳しいことは、そこの男が目覚めてからでよいか?」
右目に眼帯をした壮年の男にそう言われ、名前はただ頷くしかなかった。
1つだけ分かることは、この男の背後にある【木瓜紋(もっこうもん)】。かの有名な織田家に関係している人物であるということのみ。
先程名前をこの廃城内へと導き入れた青年は、血まみれで倒れていた男の手当をすると名前をその場に残し、そのまま何も言わずにまた外へと出ていってしまった。
何が起こっているのか、名前には全く理解ができない。
理解しようとしても、状況が解らない。
「親父(おやっど)ッ」
独りで悶々と頭を抱えていると、いきなり叫び声が聞こえた。
声のする方を見ると、先程まで死にかけていたあの男が飛び起きていた。
「おう、起きたか。頑丈な奴じゃのう。縫うたばかりじゃ。あまり動くと死ぬぞ」
眼帯の男の声に反応し、死にかけていた男は近くにあった自身の刀に手をかけ構えた。
「誰だ。お前(ぬしっ)、誰だ!!」
「誰だ?≪そち≫こそ誰ぞ」
お互いに刀と火縄銃を構え、いつでも攻撃できると言わんばかりの気迫で向き合っている。
「答えい。そちはどこの誰ぞ」
「木瓜紋……織田家家中の者か?」
刀を構えたまま、男は問うた。
「家中ゥ!?虚けを抜かせ。俺が織田で、織田とは俺よ」
「誰だ、手前ェ!!」
「俺は信長。織田前右府信長である」
「はぁ!?」
名前の声と同時に、死にかけていたはずの男は力いっぱい刀を振るった。
「危ないのう、うつけが」
「≪うつけ≫は貴様だ。信長だと!?信長公は≪とう≫の昔に死んでおるわ。なれば、やはり≪ここ≫はあの世で、貴様は信長を騙るあの世の鬼じゃ」
刀の切っ先を見事に躱した信長と名乗った男。
その発言を受入れ難く思ったのは名前だけではなく、刀を振るった男もだった。
今にも殺し合いを始めそうな張り詰めた空気を纏った2人の間に、突然1本の矢が放たれた。
『『おもいいいいいいー』』
少年が2人がかりで男を引き摺りながら、延々と森の中を歩いた。
『はあ、はあ。なんて重いんだ』
『はやくしないと、領主様に見つかったらとんでもない事に』
やがて目の前に石造りの廃れた建物が見えてきた所で、別の声が辺りに響いた。
『トマーレ!』
その声に少年達はビクリと反応した。
『ソレ以上オ城に近ヅイタラコロス!フリムイテモコロス!大声ヲ出シテモコロス!!何ノ用ダ!?』
『あ、あんたらの仲間だろ!これ。男の方は死にそうなんだよ!せっかくつれてきてやったのに!!あんたらと同じ漂流者だろ?』
『モウチョットユックリシャベレ。ワカラナイ。アト、声小サイ。ユックリシャベラナイトコロス!!』
『ほら!これ!!』
『ホラ!!』
名前達を指差しながら少年達は声の主に答えた。
一瞬の静寂の後、少年達とは異なる、先程の声の主がまた話し始めた。
『ソコニオイテケ』
『あいかわらず訳わかんないよ』
『もういい、早く行こう。森に入っただけでなく、漂流者に会ったなんてバレたら殺される』
「えっ、あっ……えぇー?!置いてけぼりにすんの?この状況で??」
何を話していたのかは、名前には解らない。ただ、奇妙な少年達に見捨てられたと、そう思った。
「何事だ!!」
目の前にある廃れた建物から、今度は名前のよく知っている言語での言葉が響き渡った。
「村の者が行き倒れと奇妙な女人を連れてまいりました。日本の者です。行き倒れているのは、どこぞの家中の武者です」
「生きておるのか」
「虫の息ですが、生きております」
「で、あるか。ろくな薬もないが手当してやれ。命と運が強ければ生きるであろう、わしらのように。ふふん♪面白きものよなあ、この浮世は」
「にゃあ、女。詳しいことは、そこの男が目覚めてからでよいか?」
右目に眼帯をした壮年の男にそう言われ、名前はただ頷くしかなかった。
1つだけ分かることは、この男の背後にある【木瓜紋(もっこうもん)】。かの有名な織田家に関係している人物であるということのみ。
先程名前をこの廃城内へと導き入れた青年は、血まみれで倒れていた男の手当をすると名前をその場に残し、そのまま何も言わずにまた外へと出ていってしまった。
何が起こっているのか、名前には全く理解ができない。
理解しようとしても、状況が解らない。
「親父(おやっど)ッ」
独りで悶々と頭を抱えていると、いきなり叫び声が聞こえた。
声のする方を見ると、先程まで死にかけていたあの男が飛び起きていた。
「おう、起きたか。頑丈な奴じゃのう。縫うたばかりじゃ。あまり動くと死ぬぞ」
眼帯の男の声に反応し、死にかけていた男は近くにあった自身の刀に手をかけ構えた。
「誰だ。お前(ぬしっ)、誰だ!!」
「誰だ?≪そち≫こそ誰ぞ」
お互いに刀と火縄銃を構え、いつでも攻撃できると言わんばかりの気迫で向き合っている。
「答えい。そちはどこの誰ぞ」
「木瓜紋……織田家家中の者か?」
刀を構えたまま、男は問うた。
「家中ゥ!?虚けを抜かせ。俺が織田で、織田とは俺よ」
「誰だ、手前ェ!!」
「俺は信長。織田前右府信長である」
「はぁ!?」
名前の声と同時に、死にかけていたはずの男は力いっぱい刀を振るった。
「危ないのう、うつけが」
「≪うつけ≫は貴様だ。信長だと!?信長公は≪とう≫の昔に死んでおるわ。なれば、やはり≪ここ≫はあの世で、貴様は信長を騙るあの世の鬼じゃ」
刀の切っ先を見事に躱した信長と名乗った男。
その発言を受入れ難く思ったのは名前だけではなく、刀を振るった男もだった。
今にも殺し合いを始めそうな張り詰めた空気を纏った2人の間に、突然1本の矢が放たれた。