反撃
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
信長の後を追い山の中を進むうちに、何とも言いようのない、吐き気を催す臭いが漂ってきた。
「一向衆徒がやっていた手よ。この裏山は村人の出入りは禁止じゃな。流行り病にかかるかも知れん」
立ち止まった信長の視線の先には、窪地に放り込まれ異臭を放っている首なしの死体が無数にあった。
「うぷ」
「うえっ……」
オルミーヌと二人、臭いとその光景に必死に耐えようとする名前。
「便所の土はどうするのだ」
「木炭(きずみ)はともかく、硫黄が無い。しばらくはあのままだ」
「ひどすぎますよ!!敵の死体をこんな……」
「何故ぞ。土に埋めても同じ事だ。腐って虫に食われ土になる。早めているだけで同じ事ぞ。もったいない」
「首は洗い、整えて埋めてやった。人として供養してやった。こちらに手を合わせれば良か。糞小便が汚かと思うなら、俺(おい)もお前(まん)も腹ば切れば中は糞の詰まった肉袋ぞ。手を合わせ弔った首にではなく、糞ば詰まった肉に人ん魂は宿るのか。理(ことわり)ば合わなかではなかか」
信長と豊久の言いたいことは、なんとなくだが理解できる。しかし、いくら敵とはいえ死体の扱い方があまりにも名前の理解の範疇を超えていた。
「おい、オルミーオッパイ」
「なぜ最後の一文字で間違える。もはや怒る気すら起きない」
「火山の近くとかで良く採れるんだが、くさーくて黄色いの。イオウっていうんだが、手に入るか。なんか屁を粉にしたってカンジのやつ」
「えッ、硫黄ですか。いや、あるとは思いますけど。そんなのどうするんです」
「いいからいっぱい持ってこい。お前らの、その何とか機関とか頼んで。パイオツ機関とやらによー」
「ええッ。十月です」
便所の土に殺した兵士の死体。それに硫黄。信長の考えが読めず、名前は思案した。≪この男は何をするつもりなのだ?≫と。
「あのう、タダって訳にはいかないと思うんですが、お金は?」
「うるせーッ。国の5、6個ブン取ったら払ってやるよ。いいから持ってこい、クラァ!!」
「えーッ」
「これより、村へ攻め入る。一人も生かして帰すな」
その日の夕刻。豊久は廃城に集まったエルフ達に向けて言い放った。
「村を取り返すだけでは終わらぬ。そいまま代官の城館まで攻め入り、代官の首ば取る」
「な……何ッ!?」
「こやつらから聞いた。なぜこの村に若い女がおらんのか」
そう言う豊久の近くには、マーシャとマルクがいた。
「…………俺達エルフは、年に一度しか子を作れない。その期間になると若い女は代官たちに連れていかれる」
「ああ、なる程。それでか。本気で根を絶やす気なのだな。種族(おまえら)を」
確かに、助け出したエルフ達の中には若い女性がいなかった。いても、年寄りか幼い子供だけ。
「女房子供を取り返せ。それで初めて畜生でなくなる。お前達を畜生に堕とした奴ばらめの首を取れ。この世に正と邪があるならば、これは正ぞ。たとえ死んだとて、あの世で父祖にこう言える。闘って死んだと。家族を守ろうと死んだと。女房を取り返せ。子を取り返せ。国を取り返せ。己を取り返せ」
「己を……取り返す……」
豊久の言葉を反芻しながら、名前は考えた。
エルフ達が強いられているこの状況。
これは意図的に自己を捨てさせられている。農奴とし、代官に年貢を納めるだけの存在。
彼らは、望まずしてそのような存在になっている。そんな立ち位置から脱却させようと、豊久は考えているのかもしれない。
「こやつ、やはり生まれながらの武将だ。大名ではなく、乱世の武将に必要な能力。人を戦に駆り立てる力。“狂奔”」
「ぺッ。耳長どもはどこに行ったんだ」
「わからん。明日から周囲の村に捜索に出るんだと」
「匿っていたらその村も潰すのか。ハハハ」
「多分な」
豊久達がエルフ達の村に着いた時、見張り役の兵士達が気楽に会話していた。
しかし、その見張りも弓による襲撃で静かに息を引き取ることとなった。
「喉乾いたな」
「水はがまんしろ。井戸が使えん」
「クソ投げ込みやがった。クソ耳長どもめ。まったく、あんな奴らさっさと皆殺しに……」
「一向衆徒がやっていた手よ。この裏山は村人の出入りは禁止じゃな。流行り病にかかるかも知れん」
立ち止まった信長の視線の先には、窪地に放り込まれ異臭を放っている首なしの死体が無数にあった。
「うぷ」
「うえっ……」
オルミーヌと二人、臭いとその光景に必死に耐えようとする名前。
「便所の土はどうするのだ」
「木炭(きずみ)はともかく、硫黄が無い。しばらくはあのままだ」
「ひどすぎますよ!!敵の死体をこんな……」
「何故ぞ。土に埋めても同じ事だ。腐って虫に食われ土になる。早めているだけで同じ事ぞ。もったいない」
「首は洗い、整えて埋めてやった。人として供養してやった。こちらに手を合わせれば良か。糞小便が汚かと思うなら、俺(おい)もお前(まん)も腹ば切れば中は糞の詰まった肉袋ぞ。手を合わせ弔った首にではなく、糞ば詰まった肉に人ん魂は宿るのか。理(ことわり)ば合わなかではなかか」
信長と豊久の言いたいことは、なんとなくだが理解できる。しかし、いくら敵とはいえ死体の扱い方があまりにも名前の理解の範疇を超えていた。
「おい、オルミーオッパイ」
「なぜ最後の一文字で間違える。もはや怒る気すら起きない」
「火山の近くとかで良く採れるんだが、くさーくて黄色いの。イオウっていうんだが、手に入るか。なんか屁を粉にしたってカンジのやつ」
「えッ、硫黄ですか。いや、あるとは思いますけど。そんなのどうするんです」
「いいからいっぱい持ってこい。お前らの、その何とか機関とか頼んで。パイオツ機関とやらによー」
「ええッ。十月です」
便所の土に殺した兵士の死体。それに硫黄。信長の考えが読めず、名前は思案した。≪この男は何をするつもりなのだ?≫と。
「あのう、タダって訳にはいかないと思うんですが、お金は?」
「うるせーッ。国の5、6個ブン取ったら払ってやるよ。いいから持ってこい、クラァ!!」
「えーッ」
「これより、村へ攻め入る。一人も生かして帰すな」
その日の夕刻。豊久は廃城に集まったエルフ達に向けて言い放った。
「村を取り返すだけでは終わらぬ。そいまま代官の城館まで攻め入り、代官の首ば取る」
「な……何ッ!?」
「こやつらから聞いた。なぜこの村に若い女がおらんのか」
そう言う豊久の近くには、マーシャとマルクがいた。
「…………俺達エルフは、年に一度しか子を作れない。その期間になると若い女は代官たちに連れていかれる」
「ああ、なる程。それでか。本気で根を絶やす気なのだな。種族(おまえら)を」
確かに、助け出したエルフ達の中には若い女性がいなかった。いても、年寄りか幼い子供だけ。
「女房子供を取り返せ。それで初めて畜生でなくなる。お前達を畜生に堕とした奴ばらめの首を取れ。この世に正と邪があるならば、これは正ぞ。たとえ死んだとて、あの世で父祖にこう言える。闘って死んだと。家族を守ろうと死んだと。女房を取り返せ。子を取り返せ。国を取り返せ。己を取り返せ」
「己を……取り返す……」
豊久の言葉を反芻しながら、名前は考えた。
エルフ達が強いられているこの状況。
これは意図的に自己を捨てさせられている。農奴とし、代官に年貢を納めるだけの存在。
彼らは、望まずしてそのような存在になっている。そんな立ち位置から脱却させようと、豊久は考えているのかもしれない。
「こやつ、やはり生まれながらの武将だ。大名ではなく、乱世の武将に必要な能力。人を戦に駆り立てる力。“狂奔”」
「ぺッ。耳長どもはどこに行ったんだ」
「わからん。明日から周囲の村に捜索に出るんだと」
「匿っていたらその村も潰すのか。ハハハ」
「多分な」
豊久達がエルフ達の村に着いた時、見張り役の兵士達が気楽に会話していた。
しかし、その見張りも弓による襲撃で静かに息を引き取ることとなった。
「喉乾いたな」
「水はがまんしろ。井戸が使えん」
「クソ投げ込みやがった。クソ耳長どもめ。まったく、あんな奴らさっさと皆殺しに……」