反撃
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「“妖”に“付喪神”……おみゃあさんは随分とけったいな存在じゃのう、名前や」
「はぁ……私自身、自分の立ち位置が測りかねていますが……それでも、皆さんの足を引っ張らずに済みそうで少し安心しました」
頬をぽりぽりと掻きながら、名前は苦笑した。
「アラムら巡察隊が皆殺しにされたそうだ」
「まさか!!耳長(エルフ)共にそんな度胸あるもんかよ」
「それが、漂流者達に殺されたってウワサだ」
「漂流者(ドリフターズ)に!?」
「漂流物(ドリフ)といったって2、3人だろ。そんなに強いのか、漂流物(ドリフ)ってのは」
「ムダ口を叩くな!!村は近いぞ。警戒を怠るんじゃない」
「いくら漂流物といっても、こっちは200人からいるんだ。耳長の村一つ潰すのに大げさじゃないか。なあ」
「隊長、偵察が帰って来ました」
「よし。村の様子はどうだ。やはり一揆か」
「村は、誰もいません。一人もいません!!」
「何ぃ?」
名前達が話している頃、領主の軍はエルフの村に向かい進軍していた。
その軍団の元へ、偵察へと出ていた兵士が戻ってくるなり≪村には誰一人いない≫と報告をしたのである。
「いません!!」
「こちらも、誰もいません!!」
「もぬけのからです」
「どういう事だ!?」
「隊長、見て下さい」
「井戸が……何のにおいだ、これは」
「糞です。耳長ども、井戸に糞を投げ込みやがった。それに妙な事が。家々の土間と便所の土が掘られて無くなっている」
「何だ一体。耳長どもの≪まじないか≫。どういう事なんだ。どこに行った!!何が起きている!!」
「今宵、あやつらを皆殺しにする。ことごとく首を取る」
エルフの村に到着し反乱者であるエルフや豊久達を探す領主の軍を、離れた場所にある木の上から見ながら豊久は近くにいる者達にそう告げた。
「殺した敵兵から奪った剣と鎧兜が20。馬2頭。だが連中は騎乗できん。これは俺が考えた案で使う。鎧兜はともかく、剣を使える奴がほとんどおらん。それだが連中、妙に弓を作りたがってな。今、与一と弓を作らせてるんだが――奴ら嬉々として弓矢を作っておる。なんか、熟練の職人並のすごい勢いだぞ。剣はともかく、槍が欲しい所だな。槍の長さは恐怖を薄れさせる。農兵でも、三間半槍持てば武者を殺すわ。ククク」
「知らんだろうけど、あれぞ。明智光秀。彼奴、伏見で農民の落人狩りで死んだぞ」
「うわ、マジか。ざまあ。金柑頭ざまあ。えらいぞ、伏見の農民。百万年無税」
「そいにしても信長。悪だくみが楽しそうだの」
「合戦そのものは、それまで≪積んだ≫事の帰結よ。合戦に≪至るまで何をするかが≫、俺は戦だと思っとる。猿(ひでよし)以外、本質は誰も理解せんかったがな」
「はぁ……なんだか小難しいお話ですねぇ……」
廃城へと戻り、信長と豊久の会話を聞きながら名前は溜息を漏らしていた。
現代と戦国時代の人間なのだ。戦の事となると、名前には全く理解できないのである。
その頃、与一はエルフを集めていた。
「村に兵隊の死体がないと思ったら、集めてたのかッ!!」
「好きなのお取りよ。血がついたままだけど。自分たちであらうがよい。えらばれしものどもよ」
与一に連れてこられたエルフが目にした物。それは、自分達の村を襲った兵士が身に着けていた鎧兜、それに剣が集められていたのだった。
しかし、そこには死体が一つもなかった。
「ひどい匂いだ」
「首は弔って供養してやったんだろ。体の方はありがたく使わせてもらおう。草土と大小便と兵の屍を混ぜておいた。硝石が採れるのは、まあ2年はかかるな」
「硝石丘か」
信長に連れられ、名前は豊久とオルミーヌと共に廃城の裏にある山へと来ていた。
「はぁ……私自身、自分の立ち位置が測りかねていますが……それでも、皆さんの足を引っ張らずに済みそうで少し安心しました」
頬をぽりぽりと掻きながら、名前は苦笑した。
「アラムら巡察隊が皆殺しにされたそうだ」
「まさか!!耳長(エルフ)共にそんな度胸あるもんかよ」
「それが、漂流者達に殺されたってウワサだ」
「漂流者(ドリフターズ)に!?」
「漂流物(ドリフ)といったって2、3人だろ。そんなに強いのか、漂流物(ドリフ)ってのは」
「ムダ口を叩くな!!村は近いぞ。警戒を怠るんじゃない」
「いくら漂流物といっても、こっちは200人からいるんだ。耳長の村一つ潰すのに大げさじゃないか。なあ」
「隊長、偵察が帰って来ました」
「よし。村の様子はどうだ。やはり一揆か」
「村は、誰もいません。一人もいません!!」
「何ぃ?」
名前達が話している頃、領主の軍はエルフの村に向かい進軍していた。
その軍団の元へ、偵察へと出ていた兵士が戻ってくるなり≪村には誰一人いない≫と報告をしたのである。
「いません!!」
「こちらも、誰もいません!!」
「もぬけのからです」
「どういう事だ!?」
「隊長、見て下さい」
「井戸が……何のにおいだ、これは」
「糞です。耳長ども、井戸に糞を投げ込みやがった。それに妙な事が。家々の土間と便所の土が掘られて無くなっている」
「何だ一体。耳長どもの≪まじないか≫。どういう事なんだ。どこに行った!!何が起きている!!」
「今宵、あやつらを皆殺しにする。ことごとく首を取る」
エルフの村に到着し反乱者であるエルフや豊久達を探す領主の軍を、離れた場所にある木の上から見ながら豊久は近くにいる者達にそう告げた。
「殺した敵兵から奪った剣と鎧兜が20。馬2頭。だが連中は騎乗できん。これは俺が考えた案で使う。鎧兜はともかく、剣を使える奴がほとんどおらん。それだが連中、妙に弓を作りたがってな。今、与一と弓を作らせてるんだが――奴ら嬉々として弓矢を作っておる。なんか、熟練の職人並のすごい勢いだぞ。剣はともかく、槍が欲しい所だな。槍の長さは恐怖を薄れさせる。農兵でも、三間半槍持てば武者を殺すわ。ククク」
「知らんだろうけど、あれぞ。明智光秀。彼奴、伏見で農民の落人狩りで死んだぞ」
「うわ、マジか。ざまあ。金柑頭ざまあ。えらいぞ、伏見の農民。百万年無税」
「そいにしても信長。悪だくみが楽しそうだの」
「合戦そのものは、それまで≪積んだ≫事の帰結よ。合戦に≪至るまで何をするかが≫、俺は戦だと思っとる。猿(ひでよし)以外、本質は誰も理解せんかったがな」
「はぁ……なんだか小難しいお話ですねぇ……」
廃城へと戻り、信長と豊久の会話を聞きながら名前は溜息を漏らしていた。
現代と戦国時代の人間なのだ。戦の事となると、名前には全く理解できないのである。
その頃、与一はエルフを集めていた。
「村に兵隊の死体がないと思ったら、集めてたのかッ!!」
「好きなのお取りよ。血がついたままだけど。自分たちであらうがよい。えらばれしものどもよ」
与一に連れてこられたエルフが目にした物。それは、自分達の村を襲った兵士が身に着けていた鎧兜、それに剣が集められていたのだった。
しかし、そこには死体が一つもなかった。
「ひどい匂いだ」
「首は弔って供養してやったんだろ。体の方はありがたく使わせてもらおう。草土と大小便と兵の屍を混ぜておいた。硝石が採れるのは、まあ2年はかかるな」
「硝石丘か」
信長に連れられ、名前は豊久とオルミーヌと共に廃城の裏にある山へと来ていた。