反撃
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「……敵兵(やっぱら)めを皆村に入れる」
「やられたらやり返す、か……ハァ……気が重いなぁ」
名前は、今までの話を聞いて溜息を漏らす。
どこの世界でも、権力争いなどで戦争が起こるのは同じ。それを豊久の目を見て改めて実感していた。
「して、名前」
「はい?」
「お前の事についてだが……何故(なにゆえ)エルフ共と札無しで会話出来ていた?≪戦≫のにおいがせんのに、何故躊躇いもなく敵兵を殺せた?お前さんのいた先の世では、このような≪戦≫はあったのか?」
「そうですね……少なくとも日本国内での戦争はなくなってます。ですが、セオフィラス――あ、この犬みたいなのが私と≪契約成立≫?とか言い出しまして……それからこちらの言葉が解るようになりました。で、戦えたのは多分この薙刀――灯(あかり)というのですが……どうも憑依してるっぽいんですよね。戦う時限定だと思いますけど……」
名前自身が自分でも理解できていない部分が多く、そのため他者に説明を求められても回答が難しい。
「もしかしてその犬……」
「何かご存じで?」
「≪あちらの世界≫で言う、西洋にいる“チャーチグリム”と呼ばれる精霊の一種ではないでしょうか?」
オルミーヌは、与一の問いに自身の考えを述べた。
「“ちゃーちぐりむ”とは何ぞや」
「墓地を墓荒らしから守る精霊の一種です。黒い体に赤い目……“ブラックドッグ”と呼ばれる精霊かとも思いましたが、むやみやたらに人を襲う様ではないみたいですし……御師匠様ならもっと詳しい事が判るかもしれませんが、私にはそれ以上の事は……」
「セオフィラス、お前は……“チャーチグリム”なの?」
名前がセオフィラスに向かって話しかけると、セオフィラスは頷いた。
「じゃあ、何故私を主と呼んでるの?私は……霊感とかそういうの一切ないんだけど……」
「そのようなモノは関係ない……。我が探し求めていたのは……主だ……。永き時を……我は主が現れるのをただ只管(ひたすら)待ち続けていただけだ……」
「な……ッ」
「犬が……しゃべった……?」
「面白か犬じゃのう。“妖(あやかし)”か?」
「貴様らの国ではそう呼ばれているやも知れぬが……我は主に従うのみ……。主が≪殺せ≫と命ずれば≪殺し≫、≪守れ≫と命ずれば≪守る≫……。ただそれだけの存在よ……」
「なるほど……それでは、アナタと契約したことで彼女は御師匠様の札が無くても、こちらの世界の言葉を理解し話せている……と言う事ですね?」
「貴様らの理屈で言えばそうなるな……」
セオフィラスはそれ以上語ることは無いという様に、名前の足元で体を丸めた。
「灯というその薙刀、少し拝見してもよろしいですか?名前殿」
与一はどうも灯が気になるようで、その視線は名前が持っている薙刀へと釘付けになっていた。
「はあ……別に構いませんが……どうぞ」
名前は与一に灯を手渡そうとした瞬間、薙刀全体が光り輝いた。
「そのような野蛮な手で妾(わらわ)に触れるでない!妾に触れて良いのは主様(ぬしさま)のみじゃ!!」
持っていたはずの薙刀は名前の手から消えており、いつの間にか隣に言葉では表すことが出来ないほど美しい女性が立っていた。
「あぁ、主様……お初にお目にかかり光栄でござんす。妾の名は灯。主様の意図を読み取り、戦うべく存在。戦う術を知らぬ主様に代わり、我が身をもって主様に仇なすモノを屠るが努めでやんす」
灯と名乗った女は名前に向かって深々と頭を下げ、鈴の音のような凛とした声で告げた。
「貴女が……灯……なの?」
「さようでござんす。妾はいうなれば“付喪神(つくもがみ)”でありんす」
「ははぁ……“付喪神”でございますか」
与一が灯を見ながら、感心したように声を漏らした。
「やられたらやり返す、か……ハァ……気が重いなぁ」
名前は、今までの話を聞いて溜息を漏らす。
どこの世界でも、権力争いなどで戦争が起こるのは同じ。それを豊久の目を見て改めて実感していた。
「して、名前」
「はい?」
「お前の事についてだが……何故(なにゆえ)エルフ共と札無しで会話出来ていた?≪戦≫のにおいがせんのに、何故躊躇いもなく敵兵を殺せた?お前さんのいた先の世では、このような≪戦≫はあったのか?」
「そうですね……少なくとも日本国内での戦争はなくなってます。ですが、セオフィラス――あ、この犬みたいなのが私と≪契約成立≫?とか言い出しまして……それからこちらの言葉が解るようになりました。で、戦えたのは多分この薙刀――灯(あかり)というのですが……どうも憑依してるっぽいんですよね。戦う時限定だと思いますけど……」
名前自身が自分でも理解できていない部分が多く、そのため他者に説明を求められても回答が難しい。
「もしかしてその犬……」
「何かご存じで?」
「≪あちらの世界≫で言う、西洋にいる“チャーチグリム”と呼ばれる精霊の一種ではないでしょうか?」
オルミーヌは、与一の問いに自身の考えを述べた。
「“ちゃーちぐりむ”とは何ぞや」
「墓地を墓荒らしから守る精霊の一種です。黒い体に赤い目……“ブラックドッグ”と呼ばれる精霊かとも思いましたが、むやみやたらに人を襲う様ではないみたいですし……御師匠様ならもっと詳しい事が判るかもしれませんが、私にはそれ以上の事は……」
「セオフィラス、お前は……“チャーチグリム”なの?」
名前がセオフィラスに向かって話しかけると、セオフィラスは頷いた。
「じゃあ、何故私を主と呼んでるの?私は……霊感とかそういうの一切ないんだけど……」
「そのようなモノは関係ない……。我が探し求めていたのは……主だ……。永き時を……我は主が現れるのをただ只管(ひたすら)待ち続けていただけだ……」
「な……ッ」
「犬が……しゃべった……?」
「面白か犬じゃのう。“妖(あやかし)”か?」
「貴様らの国ではそう呼ばれているやも知れぬが……我は主に従うのみ……。主が≪殺せ≫と命ずれば≪殺し≫、≪守れ≫と命ずれば≪守る≫……。ただそれだけの存在よ……」
「なるほど……それでは、アナタと契約したことで彼女は御師匠様の札が無くても、こちらの世界の言葉を理解し話せている……と言う事ですね?」
「貴様らの理屈で言えばそうなるな……」
セオフィラスはそれ以上語ることは無いという様に、名前の足元で体を丸めた。
「灯というその薙刀、少し拝見してもよろしいですか?名前殿」
与一はどうも灯が気になるようで、その視線は名前が持っている薙刀へと釘付けになっていた。
「はあ……別に構いませんが……どうぞ」
名前は与一に灯を手渡そうとした瞬間、薙刀全体が光り輝いた。
「そのような野蛮な手で妾(わらわ)に触れるでない!妾に触れて良いのは主様(ぬしさま)のみじゃ!!」
持っていたはずの薙刀は名前の手から消えており、いつの間にか隣に言葉では表すことが出来ないほど美しい女性が立っていた。
「あぁ、主様……お初にお目にかかり光栄でござんす。妾の名は灯。主様の意図を読み取り、戦うべく存在。戦う術を知らぬ主様に代わり、我が身をもって主様に仇なすモノを屠るが努めでやんす」
灯と名乗った女は名前に向かって深々と頭を下げ、鈴の音のような凛とした声で告げた。
「貴女が……灯……なの?」
「さようでござんす。妾はいうなれば“付喪神(つくもがみ)”でありんす」
「ははぁ……“付喪神”でございますか」
与一が灯を見ながら、感心したように声を漏らした。