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「ミヤビに?クソッ……ここは私だけの場所なのに…………」
「お前だけの場所なら、何故オレが入ってこれたんだ?」
「……わかんない。他の“人間”で、森に入ってもここに入り込んだ人はいなかったし。こっちが訊きたいくらいだ」
暫し思考に耽っていたナマエだが、やがて大きく溜息を吐くとゆっくりと立ち上がった。
「考えてもしょうがない。さっさと帰ろうか。ここは寒い。いろんな意味で……ね」
意味深な言葉を吐き出しながら、クロロに背を向けナマエは歩き出した。
家に帰り着いたのは、日付が変わってからだった。にも拘わらず、家からは煌々とした灯りが放たれていた。
音を立てないように扉を開けると、ミヤビが2人を出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、お嬢様。それに、クロロ様も」
柔らかな笑みを湛えながら、ミヤビは深く頭を下げた。
「ミヤビ……訊きたいことがある」
リビングに入るなり、ナマエは椅子に座りながらミヤビに鋭い視線を送った。
「何でございましょうか?」
「なんでクロロに“牢獄”の場所を教えたの?」
「何故か、ですか?それは……クロロ様なら、お嬢様を助けてくださると思ったからですわ」
「助ける?意味がわかんない」
「お嬢様だけでは、【指環】の悪意に飲み込まれてしまうと思ったのです。クロロ様がいらっしゃることで、お嬢様は冷静になれるかと……」
「オレも意味が理解出来ないな」
疑問符を浮かべながら、クロロは先を促した。
「自分よりも他人を重んじ、優先するお嬢様のことです。クロロ様がお嬢様の“牢獄”に入り込むことで、お嬢様は自己の感情に流されず、クロロ様を護ろうとなさるでしょう。そういった状況下にすることで、【指環】の悪意に対し、お嬢様は冷静な対処をされる。そう思ったのです」
あくまでもにこやかな笑みを湛えながら、ミヤビは言い切った。
「……確かに【影の王】――【指環】の挑発に乗った。だけど、クロロが来たから冷静になれたんじゃない。私は私の意思で向き合ったんだ。自分の中に蠢く感情に」
「あら……それにしては、随分とさっぱりとした表情をなさっておりますわ」
「確かにミヤビの言う通り、さっぱりした顔をしているな。オレがいたことで、何か変わったんじゃないのか?」
不思議そうにナマエを見るミヤビとクロロ。
だが、ナマエはキッパリと否定した。
「私は何も変わってない。逆に、クロロには邪魔されて不愉快だよ」
ギリッと拳を握りしめ、ナマエは何度も『変わってない』と呟いていた。
「おや?お嬢様、帰ってきてたんですねェ」
ピリピリとし始めた空気の中、ハヤテの気の抜けた声が聞こえた。
「お前まで起きてたのか、ハヤテ」
「いいえェ、寝てましたよォ?不穏なオーラがワタシの眠りを妨げたんで、起きてきたら……どうやら、誰かがお嬢様のご機嫌を損ねた状況だったようですねェ」
ケラケラと笑うハヤテに、ナマエは怒りを秘めた視線を送った。
「まァ、お嬢様もお疲れでしょう。今日はとりあえず、眠りませんかァ?」
欠伸をしながらそう言うハヤテに、ナマエは脱力しながらも同意した。
深い眠りについたナマエが目を覚ました時には、すでに太陽の位置は昼過ぎを指していた。
「ふぁ~……疲れた。寝たのに……疲れが取れない…………」
「やっと起きたか」
部屋のドアに凭れ掛かりながら、様子を見に来たカゲロウが優しい声音でナマエに話しかけた。
「さて……他の者達は皆起きている。“牢獄”で起こった事、聞かせて貰おうか」
カゲロウに促され、ナマエは着替えるとリビングへと向かった。
重い足取りで辿り着いたそこには、すでに起きていたクロロもいた。
「おはよう、ナマエ」
優しく微笑みながら、クロロはナマエに視線を移した。
「ん……早いね、クロロ」
「あんまり寝れなかったからね」
「そっ」
素っ気なく返答し、ナマエは定位置の椅子へと腰を落ち着けた。
「お前だけの場所なら、何故オレが入ってこれたんだ?」
「……わかんない。他の“人間”で、森に入ってもここに入り込んだ人はいなかったし。こっちが訊きたいくらいだ」
暫し思考に耽っていたナマエだが、やがて大きく溜息を吐くとゆっくりと立ち上がった。
「考えてもしょうがない。さっさと帰ろうか。ここは寒い。いろんな意味で……ね」
意味深な言葉を吐き出しながら、クロロに背を向けナマエは歩き出した。
家に帰り着いたのは、日付が変わってからだった。にも拘わらず、家からは煌々とした灯りが放たれていた。
音を立てないように扉を開けると、ミヤビが2人を出迎えてくれた。
「おかえりなさいませ、お嬢様。それに、クロロ様も」
柔らかな笑みを湛えながら、ミヤビは深く頭を下げた。
「ミヤビ……訊きたいことがある」
リビングに入るなり、ナマエは椅子に座りながらミヤビに鋭い視線を送った。
「何でございましょうか?」
「なんでクロロに“牢獄”の場所を教えたの?」
「何故か、ですか?それは……クロロ様なら、お嬢様を助けてくださると思ったからですわ」
「助ける?意味がわかんない」
「お嬢様だけでは、【指環】の悪意に飲み込まれてしまうと思ったのです。クロロ様がいらっしゃることで、お嬢様は冷静になれるかと……」
「オレも意味が理解出来ないな」
疑問符を浮かべながら、クロロは先を促した。
「自分よりも他人を重んじ、優先するお嬢様のことです。クロロ様がお嬢様の“牢獄”に入り込むことで、お嬢様は自己の感情に流されず、クロロ様を護ろうとなさるでしょう。そういった状況下にすることで、【指環】の悪意に対し、お嬢様は冷静な対処をされる。そう思ったのです」
あくまでもにこやかな笑みを湛えながら、ミヤビは言い切った。
「……確かに【影の王】――【指環】の挑発に乗った。だけど、クロロが来たから冷静になれたんじゃない。私は私の意思で向き合ったんだ。自分の中に蠢く感情に」
「あら……それにしては、随分とさっぱりとした表情をなさっておりますわ」
「確かにミヤビの言う通り、さっぱりした顔をしているな。オレがいたことで、何か変わったんじゃないのか?」
不思議そうにナマエを見るミヤビとクロロ。
だが、ナマエはキッパリと否定した。
「私は何も変わってない。逆に、クロロには邪魔されて不愉快だよ」
ギリッと拳を握りしめ、ナマエは何度も『変わってない』と呟いていた。
「おや?お嬢様、帰ってきてたんですねェ」
ピリピリとし始めた空気の中、ハヤテの気の抜けた声が聞こえた。
「お前まで起きてたのか、ハヤテ」
「いいえェ、寝てましたよォ?不穏なオーラがワタシの眠りを妨げたんで、起きてきたら……どうやら、誰かがお嬢様のご機嫌を損ねた状況だったようですねェ」
ケラケラと笑うハヤテに、ナマエは怒りを秘めた視線を送った。
「まァ、お嬢様もお疲れでしょう。今日はとりあえず、眠りませんかァ?」
欠伸をしながらそう言うハヤテに、ナマエは脱力しながらも同意した。
深い眠りについたナマエが目を覚ました時には、すでに太陽の位置は昼過ぎを指していた。
「ふぁ~……疲れた。寝たのに……疲れが取れない…………」
「やっと起きたか」
部屋のドアに凭れ掛かりながら、様子を見に来たカゲロウが優しい声音でナマエに話しかけた。
「さて……他の者達は皆起きている。“牢獄”で起こった事、聞かせて貰おうか」
カゲロウに促され、ナマエは着替えるとリビングへと向かった。
重い足取りで辿り着いたそこには、すでに起きていたクロロもいた。
「おはよう、ナマエ」
優しく微笑みながら、クロロはナマエに視線を移した。
「ん……早いね、クロロ」
「あんまり寝れなかったからね」
「そっ」
素っ気なく返答し、ナマエは定位置の椅子へと腰を落ち着けた。