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「何を企んでいるのか知らぬが……それ以上我が子を苛めないで貰おうか、【影の王】よ」
「苛める?否、我は救おうとしているのだよ。この状況を見よ。主は困惑している。人の子の甘言に惑わされようとしている。実に面白いが……不快でもある」
目を細めながら、【影の王】はナマエとクロロを見ている。
そんな【影の王】を見つめながら、【エラトー】は心の隅に不安が芽生え始めた。
「クロロの考えを押し付けるな!私には私の考えがあるんだ!!」
「お前の考えは尊重したいと思っている。だが――今のお前じゃ独りで突っ走っているようにしか見えない。お前にはオレがついている。いや、お前には“家族”がいる。そうだろう?」
言い聞かせるように優しく言うクロロ。ナマエはクロロの言葉を聞きながら思った。
「……分かった。だけど、クロロに私の行動を止める権利はない」
「解ってる。だが、無茶をするお前を見ていられない。オレにとって、ナマエは唯一無二の存在なんだ。だから――」
「だから?私はクロロの意見を訊いていない。ただ、私の考えや想いをを否定すんな!」
涙目になりつつ、ナマエはクロロの手を振り払い立ち上がった。
「……【影の王】」
「なんだ?」
「私に力を貸して」
「……して、“対価”は如何にする?」
「私の――“命”でどう?」
「なっ!?」
ナマエが【影の王】へ提案した“対価”。それには、流石のクロロも絶句した。
「面白い事を言うな、主よ」
「止めておけ、我が子よ。コヤツに“命”を差し出すとは……無謀にも程が過ぎる」
「何も今すぐ差し出すとは言っていない。私の“命”は――私が死んだ後に渡す。生きているうちは、渡さないよ【エラトー】。お前もそれでいいな?【影の王】」
強い意志をその眼に宿しながら、ナマエは言い切った。
「くくっ……ふはははは!いいぞ。実に面白い。歴代の主の中で、そのような取引を持ち掛けたのは――【白き魔女】を含めたとしても、主だけだ」
「で?答えは??」
「良いぞ。主のその“対価”、しかと受け取った」
そう言うと、【影の王】はカランッと音を立てて姿を消した。
【影の王】が立っていた場所を見遣ると、そこには大鎌が落ちていた。
とても禍々しいオーラを放つ大鎌を、ナマエは手に取った。大鎌はまるで、ナマエが昔からとても使い込んでいたかのように、その手に馴染んでいた。
「ほぅ……我が子は大した度胸をしておるな」
「どういう意味?」
「【影の王】がその姿になるのは、真の意味で“契約”を交わした時のみじゃ。そうさな……我も数百年は見ていなければ、噂に聞いた事すら無いわな」
「そう……まずは一歩前に進めたわけか。なら――あとは貴女だけだな」
会話について行けず、クロロはただただ2人の様子を伺っていた。
「私に“力”を貸して。勿論タダでとは――」
「しー……その続きは言わなくともよい」
「なら……貴女の望みはなんなの?」
「我は汝、汝は我」
「?」
「今は解らずとも良い。いすれ解る時がくる」
そう言い残し、【エラトー】は淡い光の中へと吸い込まれ、消えていった。
「なんだ?今のやり取りは……」
「知るか」
それだけ言うと、2人の視界が暗転した。
先に気が付いたのはクロロだった。
木々が風に吹かれ、ザワザワと音を立てている。
鬱蒼とした森の中で、クロロは地面に伏していた。柔らかい草で埋め尽くされた草地。少しだけ湿っている感触を感じながら、ゆっくりと体を起こした。
「ナマエ……?」
辺りを見回すと、ナマエも同じように草地に横たわっていた。
「ナマエ!?おい、起きろ!」
ゆさゆさとナマエの肩を揺らしながら、クロロは焦っていた。
「っ……ん……ク、ロロ?」
重い瞼をゆっくりと開き、何度か瞬きをするナマエ。
そんな彼女を見て、クロロは安堵した。
「大丈夫か?」
「ん……大丈夫」
薄っすらと認識していたクロロの輪郭がはっきりとしてきたところで、ナマエは身体を起こし、周りを見渡した。
「なんで……ここが分かったの?」
自分がいる場所を確認したナマエは、不思議そうにクロロに問うた。
「ミヤビに入り口まで連れてきてもらった。そこからは……お前のオーラを頼りに森の中を歩いていたら、ここに辿り着いたんだ」
「苛める?否、我は救おうとしているのだよ。この状況を見よ。主は困惑している。人の子の甘言に惑わされようとしている。実に面白いが……不快でもある」
目を細めながら、【影の王】はナマエとクロロを見ている。
そんな【影の王】を見つめながら、【エラトー】は心の隅に不安が芽生え始めた。
「クロロの考えを押し付けるな!私には私の考えがあるんだ!!」
「お前の考えは尊重したいと思っている。だが――今のお前じゃ独りで突っ走っているようにしか見えない。お前にはオレがついている。いや、お前には“家族”がいる。そうだろう?」
言い聞かせるように優しく言うクロロ。ナマエはクロロの言葉を聞きながら思った。
「……分かった。だけど、クロロに私の行動を止める権利はない」
「解ってる。だが、無茶をするお前を見ていられない。オレにとって、ナマエは唯一無二の存在なんだ。だから――」
「だから?私はクロロの意見を訊いていない。ただ、私の考えや想いをを否定すんな!」
涙目になりつつ、ナマエはクロロの手を振り払い立ち上がった。
「……【影の王】」
「なんだ?」
「私に力を貸して」
「……して、“対価”は如何にする?」
「私の――“命”でどう?」
「なっ!?」
ナマエが【影の王】へ提案した“対価”。それには、流石のクロロも絶句した。
「面白い事を言うな、主よ」
「止めておけ、我が子よ。コヤツに“命”を差し出すとは……無謀にも程が過ぎる」
「何も今すぐ差し出すとは言っていない。私の“命”は――私が死んだ後に渡す。生きているうちは、渡さないよ【エラトー】。お前もそれでいいな?【影の王】」
強い意志をその眼に宿しながら、ナマエは言い切った。
「くくっ……ふはははは!いいぞ。実に面白い。歴代の主の中で、そのような取引を持ち掛けたのは――【白き魔女】を含めたとしても、主だけだ」
「で?答えは??」
「良いぞ。主のその“対価”、しかと受け取った」
そう言うと、【影の王】はカランッと音を立てて姿を消した。
【影の王】が立っていた場所を見遣ると、そこには大鎌が落ちていた。
とても禍々しいオーラを放つ大鎌を、ナマエは手に取った。大鎌はまるで、ナマエが昔からとても使い込んでいたかのように、その手に馴染んでいた。
「ほぅ……我が子は大した度胸をしておるな」
「どういう意味?」
「【影の王】がその姿になるのは、真の意味で“契約”を交わした時のみじゃ。そうさな……我も数百年は見ていなければ、噂に聞いた事すら無いわな」
「そう……まずは一歩前に進めたわけか。なら――あとは貴女だけだな」
会話について行けず、クロロはただただ2人の様子を伺っていた。
「私に“力”を貸して。勿論タダでとは――」
「しー……その続きは言わなくともよい」
「なら……貴女の望みはなんなの?」
「我は汝、汝は我」
「?」
「今は解らずとも良い。いすれ解る時がくる」
そう言い残し、【エラトー】は淡い光の中へと吸い込まれ、消えていった。
「なんだ?今のやり取りは……」
「知るか」
それだけ言うと、2人の視界が暗転した。
先に気が付いたのはクロロだった。
木々が風に吹かれ、ザワザワと音を立てている。
鬱蒼とした森の中で、クロロは地面に伏していた。柔らかい草で埋め尽くされた草地。少しだけ湿っている感触を感じながら、ゆっくりと体を起こした。
「ナマエ……?」
辺りを見回すと、ナマエも同じように草地に横たわっていた。
「ナマエ!?おい、起きろ!」
ゆさゆさとナマエの肩を揺らしながら、クロロは焦っていた。
「っ……ん……ク、ロロ?」
重い瞼をゆっくりと開き、何度か瞬きをするナマエ。
そんな彼女を見て、クロロは安堵した。
「大丈夫か?」
「ん……大丈夫」
薄っすらと認識していたクロロの輪郭がはっきりとしてきたところで、ナマエは身体を起こし、周りを見渡した。
「なんで……ここが分かったの?」
自分がいる場所を確認したナマエは、不思議そうにクロロに問うた。
「ミヤビに入り口まで連れてきてもらった。そこからは……お前のオーラを頼りに森の中を歩いていたら、ここに辿り着いたんだ」