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暗い暗い、深い闇の中。
一切の光も差し込むことがない、そんな場所。そこにナマエは独り佇んでいた。
「……出てきて」
ポツリと呟くナマエ。
その声に応えるように、ナマエのすぐ背後にナニかの気配が現れた。
「主よ……ようやく……ようやく会えた……」
「お前が……【指環】の正体なんだな?」
「左様……我は主の希望を叶えるために在るモノ。主が望むのであらば――我は何でも叶えてみせようぞ」
クツクツという笑い声が、漆黒の闇の中で木霊する。
「私が望むモノ……?そんなの……決まってる!」
「ほぉ……して、主はナニを望む?金か?名誉か?名声か?」
耳元で囁く【影の王】の声。それはナマエの背筋に冷たい汗を伝わせた。
「そんなモノ、私にはどうでもいい!私が望むモノ……ソレは私が――いや、“家族”が棲むこの“世界”を護りたい!ただそれだけだ!!」
「ならば……我にその身を委ねよ。さすれば、その願い――我が叶えようぞ」
「そんなの――嫌に決まってるだろ!なんで……なんでお前なんかに乗っ取られなきゃならないんだ!?私は、お前なんかに負けない!!」
「くくく……面白い。面白いぞ。今まで、そのような事を言ったのは――主が2人目だ」
「2人目……?」
「左様。主が最もよく知る“人間”。なんの損得も考えずに、純粋な“想い”のみを我にぶつけてきたのは……」
「お……母……さ、ん……」
「そうだ。主の母だ。何も求めず、見返りすらも求めずに我の“力”を行使した。その結果は――主もよく知っているだろう?」
記憶の奥底に眠っている、幼き日に最後に見た母の姿。それは――もはや“人間”とは呼べない、異形の影だった。
「我が子を苛めるのは、そこまでにして貰おうか、【影の王】よ」
漆黒の闇の中、突如として現れた淡い光の塊。その塊はユラユラと揺らめきながら、やがて人型となった。
「……【エラトー】か。また我の邪魔をする気か?」
「邪魔?……そうやも知れぬな。我々にとって、【白き魔女】は“特別”だからな」
「貴女が……私の中にいるっていう、【エラトー】なの?」
ナマエの眼前に現れたのは、 漆黒の闇に包まれたドラキュラの様な風貌の【影の王】とは正反対に全身が淡い光で包まれた1人の女性だった。
「そうじゃ。我が名は【エラトー】……そなた等の一族に流れるは、我が血潮と“力”。そこにいる【影の王】とはある意味、敵対関係にある」
「くく……それは、お主が一方的に我を嫌っているからであろう?我はお主に対し、何の感情も持ち合わせておらぬがな。我が気にかけるは、主ただ1人のみよ」
ナマエを挟むようにし、【影の王】と【エラトー】は対峙していた。
ピリピリとした空気を創り出しながら、ナマエを無視するかのように異形のモノ達は互いに睨みあっている。
「その気にかけている“主”を、お前は今まで幾人地獄へと突き落としてきたと思っておるのじゃ!?」
「くくく……地獄へと誘われたのは己が欲望に負けたからこそよ。我を使役するに相応しい“力”を持たぬからこそ、闇に飲み込まれるのだ」
「戯言を!我が子を……先代の【白き魔女】を屠っておきながら――その口、今すぐ閉じろ!!」
「くっく……」
「ちょっ………待て待て!どういう事なのか、説明して!!【影の王】がお母さんを殺したっていう事なの!?」
火花を散らしながら言い合う異形のモノ達。その会話を聞き、ナマエはいてもたってもいられずに声を荒げた。
「感情に流され、コヤツの禍々しい“力”を使ってしまった。コヤツの甘言に流されたのじゃ。それでそなたの母は……」
「“あの時”は実に愉快だった。【白き魔女】とも言われる【エラトー】の子が――自ら闇にその身を委ねたのだからな」
「貴様……お母さんに……お母さんに何をした!?」
「何もしてはおらん。我は、主の母である先代の【白き魔女】の意思に従ったまでよ。全てを消し去りたい、と。そう願ったのは他でもない、主の母なのだからな」
「だからって……お母さんは……そんな欲望なんかに飲まれる人じゃない!!」
「くっくっく……“人間”とは、実に脆く儚いモノよな」
さも可笑しそうに笑う【影の王】に対し、ナマエは手を握りしめた。
一切の光も差し込むことがない、そんな場所。そこにナマエは独り佇んでいた。
「……出てきて」
ポツリと呟くナマエ。
その声に応えるように、ナマエのすぐ背後にナニかの気配が現れた。
「主よ……ようやく……ようやく会えた……」
「お前が……【指環】の正体なんだな?」
「左様……我は主の希望を叶えるために在るモノ。主が望むのであらば――我は何でも叶えてみせようぞ」
クツクツという笑い声が、漆黒の闇の中で木霊する。
「私が望むモノ……?そんなの……決まってる!」
「ほぉ……して、主はナニを望む?金か?名誉か?名声か?」
耳元で囁く【影の王】の声。それはナマエの背筋に冷たい汗を伝わせた。
「そんなモノ、私にはどうでもいい!私が望むモノ……ソレは私が――いや、“家族”が棲むこの“世界”を護りたい!ただそれだけだ!!」
「ならば……我にその身を委ねよ。さすれば、その願い――我が叶えようぞ」
「そんなの――嫌に決まってるだろ!なんで……なんでお前なんかに乗っ取られなきゃならないんだ!?私は、お前なんかに負けない!!」
「くくく……面白い。面白いぞ。今まで、そのような事を言ったのは――主が2人目だ」
「2人目……?」
「左様。主が最もよく知る“人間”。なんの損得も考えずに、純粋な“想い”のみを我にぶつけてきたのは……」
「お……母……さ、ん……」
「そうだ。主の母だ。何も求めず、見返りすらも求めずに我の“力”を行使した。その結果は――主もよく知っているだろう?」
記憶の奥底に眠っている、幼き日に最後に見た母の姿。それは――もはや“人間”とは呼べない、異形の影だった。
「我が子を苛めるのは、そこまでにして貰おうか、【影の王】よ」
漆黒の闇の中、突如として現れた淡い光の塊。その塊はユラユラと揺らめきながら、やがて人型となった。
「……【エラトー】か。また我の邪魔をする気か?」
「邪魔?……そうやも知れぬな。我々にとって、【白き魔女】は“特別”だからな」
「貴女が……私の中にいるっていう、【エラトー】なの?」
ナマエの眼前に現れたのは、 漆黒の闇に包まれたドラキュラの様な風貌の【影の王】とは正反対に全身が淡い光で包まれた1人の女性だった。
「そうじゃ。我が名は【エラトー】……そなた等の一族に流れるは、我が血潮と“力”。そこにいる【影の王】とはある意味、敵対関係にある」
「くく……それは、お主が一方的に我を嫌っているからであろう?我はお主に対し、何の感情も持ち合わせておらぬがな。我が気にかけるは、主ただ1人のみよ」
ナマエを挟むようにし、【影の王】と【エラトー】は対峙していた。
ピリピリとした空気を創り出しながら、ナマエを無視するかのように異形のモノ達は互いに睨みあっている。
「その気にかけている“主”を、お前は今まで幾人地獄へと突き落としてきたと思っておるのじゃ!?」
「くくく……地獄へと誘われたのは己が欲望に負けたからこそよ。我を使役するに相応しい“力”を持たぬからこそ、闇に飲み込まれるのだ」
「戯言を!我が子を……先代の【白き魔女】を屠っておきながら――その口、今すぐ閉じろ!!」
「くっく……」
「ちょっ………待て待て!どういう事なのか、説明して!!【影の王】がお母さんを殺したっていう事なの!?」
火花を散らしながら言い合う異形のモノ達。その会話を聞き、ナマエはいてもたってもいられずに声を荒げた。
「感情に流され、コヤツの禍々しい“力”を使ってしまった。コヤツの甘言に流されたのじゃ。それでそなたの母は……」
「“あの時”は実に愉快だった。【白き魔女】とも言われる【エラトー】の子が――自ら闇にその身を委ねたのだからな」
「貴様……お母さんに……お母さんに何をした!?」
「何もしてはおらん。我は、主の母である先代の【白き魔女】の意思に従ったまでよ。全てを消し去りたい、と。そう願ったのは他でもない、主の母なのだからな」
「だからって……お母さんは……そんな欲望なんかに飲まれる人じゃない!!」
「くっくっく……“人間”とは、実に脆く儚いモノよな」
さも可笑しそうに笑う【影の王】に対し、ナマエは手を握りしめた。