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「今回は……【指環】の“力”を中心でやれってこと?」
「いや……それだけでは“魔女”に勝てない。やはり、【エラトー】の“力”も使いこなさなければ難しい。否、勝つためには【指環】と【エラトー】の両方の“力”が必須だ」
カゲロウの発した言葉を聞きながら、ナマエは思案した。
「……わかった。悪いけど、ちょっと独りにして貰えないかな?」
「ナマエ……?」
「お嬢様?一体何をなさるおつもりなのですか??」
顔を俯かせたナマエを不審に思いながら、クロロとミヤビは首を傾げた。
「まさか……“アノ部屋”に籠るつもりなのか?」
「そうだよ。今の私には……自分自身と向き合うことが一番大事なんだと思うから。だから――“アノ部屋”で自分と向き合いたい……いや、向き合わなきゃいけないんだ!」
「お嬢様、お気は確かなんですか!?何故……何故今なんですの?!もう時間が無いというのに……」
「おい、“アノ部屋”ってのは、何なんだ?」
「……私が……私である存在意義を見出すための――“牢獄”だよ」
何ともないように言うナマエの言葉を聞き、クロロは目を見開いた。
「牢……獄……だと?」
「そ。まぁ、普通の“牢獄”じゃないけどね」
「普通じゃないとはいえ、なんで今頃“牢獄”に入ると言い出すんだ?時間が限られているこんな時に……」
「こんな時、だからこそだよ」
「どういう……意味なんだ?」
「今のままじゃ、【エラトー】を自分の意思で喚び出すどころか――【指環】に飲み込まれるのがオチだからね」
ナマエの口から出た言葉に、その場にいた者は何も言えなくなった。
その日の夜から、ナマエは“家”から姿を消していた。
皆、ナマエの行先は知っているも、誰もその事には敢えて触れようとしなかった。
「さて……話して貰おうか」
「話す?何をだ?貴様に話す事など、何もないぞ」
「ナマエの行った“牢獄”についてだ。オレには知る必要がある。知らなければならないと思っている」
確固たる意志を持った瞳で、クロロはカゲロウを仰ぎ見た。
「オレをナマエのいる“牢獄”とやらに連れて行ってくれ」
「連れて行けだと?貴様を連れて行って、ナマエのために何が変わると言うのだ?!」
息を荒げるカゲロウだが、そんな彼を諫めたのは他でもないミヤビだった。
「落ち着きなさいませ、カゲロウ。貴方がそんなに声を荒げたところで、クロロ様が諦めるとは思えませんわ。きちんと、ご納得いただけるようにご説明を致しませんと……」
「そうですねェ……事実は小説よりも奇なり、と言ったところですかねェ。実際に、お嬢様の現在のご様子を見ていただくのが一番だとワタシは思いますよォ」
ケラケラと笑いながら、ハヤテはクロロを見遣った。
そんなハヤテの言動に、ミヤビは頷いた。
「ご説明をするのは、正直難しいですわ。ですので、実際にご覧になっていただきましょう?お嬢様のいらっしゃる……“牢獄”を」
ミヤビに連れられて、クロロは森の奥深くまで来ていた。
そこは“家”から遠く離れた、大小の木々しかないような場所だった。
「こんな何もない所に……本当にナマエはいるのか?」
「えぇ。お嬢様はこの先の……“結界”の中にいらっしゃいますわ」
「“結界”?どこにそんなモノが……」
「目には見えないモノなのですわ、お嬢様がいらっしゃる“結界”は。カゲロウの【六兆年と一夜物語(トリックスター)】よりも、格段に強力な“結界”……そのため、私達はその空間を“牢獄”と呼んでおりますの」
真っ暗な闇の中、突如として現れた微かな光。その光に吸い込まれるように、クロロは歩く速度を速めた。
「ここから先には、私達は入れませんの。自分の意思でしか入れない……“人間”にしか入れない“結界”――誰の助けも得られない。まさに“牢獄”なのですわ。私がお連れ出来るのはここまで。ここから先は、クロロ様のご意思で進んでくださいませ。お嬢様を“助けたい”という、その強いご意思。そのご意思があれば、きっと……いえ、必ずお嬢様のいらっしゃる場所まで辿り着けますわ」
その場にクロロを残し、ミヤビは静かに踵を返し“家”へと戻って行った。
「いや……それだけでは“魔女”に勝てない。やはり、【エラトー】の“力”も使いこなさなければ難しい。否、勝つためには【指環】と【エラトー】の両方の“力”が必須だ」
カゲロウの発した言葉を聞きながら、ナマエは思案した。
「……わかった。悪いけど、ちょっと独りにして貰えないかな?」
「ナマエ……?」
「お嬢様?一体何をなさるおつもりなのですか??」
顔を俯かせたナマエを不審に思いながら、クロロとミヤビは首を傾げた。
「まさか……“アノ部屋”に籠るつもりなのか?」
「そうだよ。今の私には……自分自身と向き合うことが一番大事なんだと思うから。だから――“アノ部屋”で自分と向き合いたい……いや、向き合わなきゃいけないんだ!」
「お嬢様、お気は確かなんですか!?何故……何故今なんですの?!もう時間が無いというのに……」
「おい、“アノ部屋”ってのは、何なんだ?」
「……私が……私である存在意義を見出すための――“牢獄”だよ」
何ともないように言うナマエの言葉を聞き、クロロは目を見開いた。
「牢……獄……だと?」
「そ。まぁ、普通の“牢獄”じゃないけどね」
「普通じゃないとはいえ、なんで今頃“牢獄”に入ると言い出すんだ?時間が限られているこんな時に……」
「こんな時、だからこそだよ」
「どういう……意味なんだ?」
「今のままじゃ、【エラトー】を自分の意思で喚び出すどころか――【指環】に飲み込まれるのがオチだからね」
ナマエの口から出た言葉に、その場にいた者は何も言えなくなった。
その日の夜から、ナマエは“家”から姿を消していた。
皆、ナマエの行先は知っているも、誰もその事には敢えて触れようとしなかった。
「さて……話して貰おうか」
「話す?何をだ?貴様に話す事など、何もないぞ」
「ナマエの行った“牢獄”についてだ。オレには知る必要がある。知らなければならないと思っている」
確固たる意志を持った瞳で、クロロはカゲロウを仰ぎ見た。
「オレをナマエのいる“牢獄”とやらに連れて行ってくれ」
「連れて行けだと?貴様を連れて行って、ナマエのために何が変わると言うのだ?!」
息を荒げるカゲロウだが、そんな彼を諫めたのは他でもないミヤビだった。
「落ち着きなさいませ、カゲロウ。貴方がそんなに声を荒げたところで、クロロ様が諦めるとは思えませんわ。きちんと、ご納得いただけるようにご説明を致しませんと……」
「そうですねェ……事実は小説よりも奇なり、と言ったところですかねェ。実際に、お嬢様の現在のご様子を見ていただくのが一番だとワタシは思いますよォ」
ケラケラと笑いながら、ハヤテはクロロを見遣った。
そんなハヤテの言動に、ミヤビは頷いた。
「ご説明をするのは、正直難しいですわ。ですので、実際にご覧になっていただきましょう?お嬢様のいらっしゃる……“牢獄”を」
ミヤビに連れられて、クロロは森の奥深くまで来ていた。
そこは“家”から遠く離れた、大小の木々しかないような場所だった。
「こんな何もない所に……本当にナマエはいるのか?」
「えぇ。お嬢様はこの先の……“結界”の中にいらっしゃいますわ」
「“結界”?どこにそんなモノが……」
「目には見えないモノなのですわ、お嬢様がいらっしゃる“結界”は。カゲロウの【六兆年と一夜物語(トリックスター)】よりも、格段に強力な“結界”……そのため、私達はその空間を“牢獄”と呼んでおりますの」
真っ暗な闇の中、突如として現れた微かな光。その光に吸い込まれるように、クロロは歩く速度を速めた。
「ここから先には、私達は入れませんの。自分の意思でしか入れない……“人間”にしか入れない“結界”――誰の助けも得られない。まさに“牢獄”なのですわ。私がお連れ出来るのはここまで。ここから先は、クロロ様のご意思で進んでくださいませ。お嬢様を“助けたい”という、その強いご意思。そのご意思があれば、きっと……いえ、必ずお嬢様のいらっしゃる場所まで辿り着けますわ」
その場にクロロを残し、ミヤビは静かに踵を返し“家”へと戻って行った。