精霊
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「全てのドラゴンを統べる【王】でもあるんだよ、ハヤテは」
白銀に輝く鱗だらけの背を撫でながら、ナマエは続けた。
「普通、ドラゴンは【火】を象徴する生物でしょ?でもね、ハヤテは【火】を吹くことが出来ないんだ」
「ワタシは生まれてから一度も【火】を吹いたことがないんですよねェ。その代り、どのドラゴンよりも速く飛ぶことが出来ましてねェ。それが所以で【風】の上位精霊として君臨する事を許されたのですよォ、先代の【王】に」
ギラギラと輝く眼を細め、ハヤテは舌なめずりをした。
「先代の【王】は、純粋な【風】の使い手でしたが……少々風変わりな御方達でしてねェ」
「“達”?という事は……複数いたのか?」
「【アネモイ】と言えばお分かりになりますかねェ?」
「東西南北を司る【風】の神達だよ」
「でも……神話の中の登場人物だろ?」
「神話とは面白い物でしてねェ。何らかの起因があってこそ受け継がれる代物なんですよォ」
喉奥でクツクツと笑いながら、ハヤテは続ける。
「ワタシは“異端”の上位精霊ですがねェ、他の上位精霊は世襲制なんですよォ。あァ、フェニックスだけは違いますねェ……彼女に“死”という概念がなかったのを失念してました。まァ、そんな些細な事はどうでもいいでしょう。今は関係ありませんからねェ。話を戻しましょうかァ。そもそも神話とはワタシ達の祖先達が起こした事の一部が伝承し、語り継がれる事によって“神話”となり、“人間”達の信仰心を持って“神”となるんですよォ。それがアナタの言う神話の真実ですよォ」
「なっ……実際の出来事だというのか?!」
「当たり前じゃないですかァ。先人の教え、というモノでしょうかねェ。ワタシ達は“人間”の良くも悪くも“手本”となるべき存在なのですからねェ」
「あり得ん……神話も伝承も――全て実際の出来事だというのか!?」
「そうだよ。この世にあり得ない事なんか何一つないんだ。全てにおいて真実が隠れている。それが“理”ってモンだよ、クロロ」
「あァ……無駄話もここまでのようですねェ。クラーケンの棲家が見えてきましたよォ」
視線を真っすぐにソコに向けるハヤテ。
その視線の先には大きく開いた穴があった。
穴の近くに降り立ち2人をその背から降ろすと、ハヤテは元の人型に戻った。
「ここから先はお嬢様、アナタ達だけで行くといいと思いますねェ。どうもワタシはクラーケンと相性が良くないですからァ」
「そう……わかった」
「あァ、そうだお嬢様」
「ん?」
「コレを差し上げましょう。クラーケンの突きつけるだろう無理難題に、あの2人の“力”だけでは心許ないというモノですしねェ。お嬢様、お手を拝借いたしますよォ」
そう言うなり、ハヤテはナマエの左手を取った。
「旋風」
ハヤテが呟くと、ナマエの左手の中指には1つのエメラルドの付いたリングが嵌まっていた。
「【風】の象徴であるワタシの“力”の源です。アナタはこれから試される。“あの”クラーケンの事ですから、相当苛められるでしょうねェ。クククッ……アナタは先代とは違う。それを証明してくださいよォ?お嬢様」
「ったく……何があっても負けるもんかよ!行くよ、クロロ」
「あァ、彼にも念のためワタシの力を注いでおきましょう。何物にも打ち砕くことのできない、柔軟性をねェ」
緑色に光り輝く紋様をクロロに向けて放つと、ハヤテは一頻りナマエを茶化した。
そんなハヤテに厭きれながらも、ナマエはクロロを連れて先へと進んだ。
穴の中へと足を一歩踏み入れると、そこは鍾乳洞になっており、シーンとした静寂の中に2人の足音が木霊した。
時折上から滴が落ちてくる音も聞こえるが、鍾乳洞の中は人一人がやっと通れる程の道幅の通路があるだけで、その通路の周りには澄んだ水が溜まっている。
白銀に輝く鱗だらけの背を撫でながら、ナマエは続けた。
「普通、ドラゴンは【火】を象徴する生物でしょ?でもね、ハヤテは【火】を吹くことが出来ないんだ」
「ワタシは生まれてから一度も【火】を吹いたことがないんですよねェ。その代り、どのドラゴンよりも速く飛ぶことが出来ましてねェ。それが所以で【風】の上位精霊として君臨する事を許されたのですよォ、先代の【王】に」
ギラギラと輝く眼を細め、ハヤテは舌なめずりをした。
「先代の【王】は、純粋な【風】の使い手でしたが……少々風変わりな御方達でしてねェ」
「“達”?という事は……複数いたのか?」
「【アネモイ】と言えばお分かりになりますかねェ?」
「東西南北を司る【風】の神達だよ」
「でも……神話の中の登場人物だろ?」
「神話とは面白い物でしてねェ。何らかの起因があってこそ受け継がれる代物なんですよォ」
喉奥でクツクツと笑いながら、ハヤテは続ける。
「ワタシは“異端”の上位精霊ですがねェ、他の上位精霊は世襲制なんですよォ。あァ、フェニックスだけは違いますねェ……彼女に“死”という概念がなかったのを失念してました。まァ、そんな些細な事はどうでもいいでしょう。今は関係ありませんからねェ。話を戻しましょうかァ。そもそも神話とはワタシ達の祖先達が起こした事の一部が伝承し、語り継がれる事によって“神話”となり、“人間”達の信仰心を持って“神”となるんですよォ。それがアナタの言う神話の真実ですよォ」
「なっ……実際の出来事だというのか?!」
「当たり前じゃないですかァ。先人の教え、というモノでしょうかねェ。ワタシ達は“人間”の良くも悪くも“手本”となるべき存在なのですからねェ」
「あり得ん……神話も伝承も――全て実際の出来事だというのか!?」
「そうだよ。この世にあり得ない事なんか何一つないんだ。全てにおいて真実が隠れている。それが“理”ってモンだよ、クロロ」
「あァ……無駄話もここまでのようですねェ。クラーケンの棲家が見えてきましたよォ」
視線を真っすぐにソコに向けるハヤテ。
その視線の先には大きく開いた穴があった。
穴の近くに降り立ち2人をその背から降ろすと、ハヤテは元の人型に戻った。
「ここから先はお嬢様、アナタ達だけで行くといいと思いますねェ。どうもワタシはクラーケンと相性が良くないですからァ」
「そう……わかった」
「あァ、そうだお嬢様」
「ん?」
「コレを差し上げましょう。クラーケンの突きつけるだろう無理難題に、あの2人の“力”だけでは心許ないというモノですしねェ。お嬢様、お手を拝借いたしますよォ」
そう言うなり、ハヤテはナマエの左手を取った。
「旋風」
ハヤテが呟くと、ナマエの左手の中指には1つのエメラルドの付いたリングが嵌まっていた。
「【風】の象徴であるワタシの“力”の源です。アナタはこれから試される。“あの”クラーケンの事ですから、相当苛められるでしょうねェ。クククッ……アナタは先代とは違う。それを証明してくださいよォ?お嬢様」
「ったく……何があっても負けるもんかよ!行くよ、クロロ」
「あァ、彼にも念のためワタシの力を注いでおきましょう。何物にも打ち砕くことのできない、柔軟性をねェ」
緑色に光り輝く紋様をクロロに向けて放つと、ハヤテは一頻りナマエを茶化した。
そんなハヤテに厭きれながらも、ナマエはクロロを連れて先へと進んだ。
穴の中へと足を一歩踏み入れると、そこは鍾乳洞になっており、シーンとした静寂の中に2人の足音が木霊した。
時折上から滴が落ちてくる音も聞こえるが、鍾乳洞の中は人一人がやっと通れる程の道幅の通路があるだけで、その通路の周りには澄んだ水が溜まっている。