精霊
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「先代……小母上よりお前を逃がす事を命じられ、その直後に小母上は変異なされた……初めて受けた主の“命令”に、吾輩は逆らう事も出来ずに幼いお前の手を引いて、シルバ殿達が事を治めるまであの穴に隠れていたんだ。シルバ殿達に引き取られ、次第に笑うようになったお前を見て……吾輩はお前の中から小母上の最後の姿を消し去ったんだ。そして、【氷雪の魔狼】の名はその瞬間に捨て去った。吾輩はナマエの家族として……友としてお前を支える道を、自らの意思で選んだ」
「……分かった。もういいよ、カゲロウ。確かに最後に見たお母さんの後姿は“人間”とはかけ離れていた。だけど――そんな姿になってまで私達を護ろうとしてくれたんだ。同じ過ちを繰り返してはいけない。さっさとクラーケンの所に行って、【水】の“力”を借りよう」
拳を強く握りしめ、ナマエは覚悟を決めた。
「そうそう、忘れるところでしたわ」
ホノカの言葉に、その場を去ろうとしていたナマエ達は振り返った。
「イサク殿と同じように、ワタクシも貴方に“力”を与えましょう」
「“力”、だと?」
「えぇ。新たな主を護り通せるよう、その精神に揺るぎない情熱を」
ホノカはイサクと同様にクロロへ手を翳すと、イサクの時とはまた別の紋様が浮かび上がってクロロに吸い込まれていった。
火山を下り始め暫くすると、やっと草花が見え始めてきた。
「……主、見つけた」
風が凪いだ瞬間、ナマエ達は背後から声をかけられた。
「ソーマ!?」
「クラーケン様……見つけた。主、クラーケン様と会う……」
現れたソーマは言葉少なにそう言うと、クラーケンがいるのであろう方向を指さした。
「ありがとう、ソーマ」
「ソーマ殿、場所はここからどの位かかる?」
「“人間”の速さ……3日位」
「3日か……飛行船を使うか?」
「んー……」
「飛行船、駄目……他の“人間”頼るな……言われた」
ジッとナマエの目を見据えながら、ソーマはクラーケンからの伝言を伝えた。
「“人間”じゃなきゃ頼っても良いって事だよね?」
「……たぶん」
「ハヤテ」
「何ですかァ?」
「出番だ」
「ハァ……“精霊”使いの荒いお人ですねェ、お嬢様も」
「御託はいい。さっさと元の姿に戻れ」
「ハイハイ」
冷たい目でハヤテを見遣ると、ナマエは初めて“命令”を下した。
ナマエの言葉に応えるように、ハヤテの周りを強風が覆った。
やがて風が収まると、その中心部にはハヤテの姿はなく、代わりに大きな影があった。
「この姿で人前に出るのは――実に何百年振りですかねェ」
「ドラ……ゴン……だ、と?!」
頭上から降り注ぐ声にクロロが見上げると、そこには伝説上の生物として文献に載っていたドラゴンの姿があった。
「いやァ、この姿は好きじゃないんですけどねェ」
巨大な躰を屈ませると、ドラゴンの姿になったハヤテはその大きな目を細めてナマエを見据えた。
「さァて、ご命令を」
「私達をクラーケンの許へ!!」
「御意。さァ、ワタシの背にお乗りくださいませお嬢様」
ハヤテの背に乗り、ナマエとクロロはソーマが指さした方へと飛び立った。
「一体どういう事なんだ?ナマエ」
「ん?何が?」
「オレにはこの状況が読み込めない……ドラゴンがこの世にいるとは……」
信じられない、という顔でクロロはナマエに問いかけた。
「説明してくれないか?」
「ハヤテは【風】を司る“精霊”であると同時に、ドラゴンでもあるんだ。いや……ドラゴンだからこそ、上位精霊として君臨できてるのかもしれない」
「ワタシはそこらのドラゴンとは違いますよォ」
「?」
「……分かった。もういいよ、カゲロウ。確かに最後に見たお母さんの後姿は“人間”とはかけ離れていた。だけど――そんな姿になってまで私達を護ろうとしてくれたんだ。同じ過ちを繰り返してはいけない。さっさとクラーケンの所に行って、【水】の“力”を借りよう」
拳を強く握りしめ、ナマエは覚悟を決めた。
「そうそう、忘れるところでしたわ」
ホノカの言葉に、その場を去ろうとしていたナマエ達は振り返った。
「イサク殿と同じように、ワタクシも貴方に“力”を与えましょう」
「“力”、だと?」
「えぇ。新たな主を護り通せるよう、その精神に揺るぎない情熱を」
ホノカはイサクと同様にクロロへ手を翳すと、イサクの時とはまた別の紋様が浮かび上がってクロロに吸い込まれていった。
火山を下り始め暫くすると、やっと草花が見え始めてきた。
「……主、見つけた」
風が凪いだ瞬間、ナマエ達は背後から声をかけられた。
「ソーマ!?」
「クラーケン様……見つけた。主、クラーケン様と会う……」
現れたソーマは言葉少なにそう言うと、クラーケンがいるのであろう方向を指さした。
「ありがとう、ソーマ」
「ソーマ殿、場所はここからどの位かかる?」
「“人間”の速さ……3日位」
「3日か……飛行船を使うか?」
「んー……」
「飛行船、駄目……他の“人間”頼るな……言われた」
ジッとナマエの目を見据えながら、ソーマはクラーケンからの伝言を伝えた。
「“人間”じゃなきゃ頼っても良いって事だよね?」
「……たぶん」
「ハヤテ」
「何ですかァ?」
「出番だ」
「ハァ……“精霊”使いの荒いお人ですねェ、お嬢様も」
「御託はいい。さっさと元の姿に戻れ」
「ハイハイ」
冷たい目でハヤテを見遣ると、ナマエは初めて“命令”を下した。
ナマエの言葉に応えるように、ハヤテの周りを強風が覆った。
やがて風が収まると、その中心部にはハヤテの姿はなく、代わりに大きな影があった。
「この姿で人前に出るのは――実に何百年振りですかねェ」
「ドラ……ゴン……だ、と?!」
頭上から降り注ぐ声にクロロが見上げると、そこには伝説上の生物として文献に載っていたドラゴンの姿があった。
「いやァ、この姿は好きじゃないんですけどねェ」
巨大な躰を屈ませると、ドラゴンの姿になったハヤテはその大きな目を細めてナマエを見据えた。
「さァて、ご命令を」
「私達をクラーケンの許へ!!」
「御意。さァ、ワタシの背にお乗りくださいませお嬢様」
ハヤテの背に乗り、ナマエとクロロはソーマが指さした方へと飛び立った。
「一体どういう事なんだ?ナマエ」
「ん?何が?」
「オレにはこの状況が読み込めない……ドラゴンがこの世にいるとは……」
信じられない、という顔でクロロはナマエに問いかけた。
「説明してくれないか?」
「ハヤテは【風】を司る“精霊”であると同時に、ドラゴンでもあるんだ。いや……ドラゴンだからこそ、上位精霊として君臨できてるのかもしれない」
「ワタシはそこらのドラゴンとは違いますよォ」
「?」