精霊
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「『ふむ』じゃないでしょ!クロロ!?」
何かを思いついたのか、クロロは顎に手を当ててナマエを見つめた。
クロロの視線の先にいるのは怪訝な顔をしているナマエ。
そんな彼女を、その場にいるモノ達は黙って見つめた。
「あくまでも仮定の話だが……」
暫く沈黙が続いた中、クロロは結論を見出した。
「お前達の言う【Fate】とは、“妖精”やら“精霊”やらが望む“世界”その物を指している。そして、そんな“世界”を創れるのが【エラトー】の血を受け継いでいるナマエ、お前だ。お前達の血脈は“平穏な世界”を創るという“制約”でもって、“人外”の“力”を借りるという“誓約”を得ている。しかしながら、ソレを良しとしないモノ達がお前の母親を手にかけた。混沌や諍いを好む奴等が、平穏を望むワケがない。そう考えると、結論はただ一つ。コイツが面白がっているのは――これから起こるであろう“戦争”だ」
チラリとハヤテに視線を向けるも、クロロはすぐにナマエに視線を戻して言い切った。
「せ……“戦争”っ!?ちょっと!なんでそんな大事になってくんだよ?!」
「大事か?そもそも、ナマエの母親と狼男の父親を殺した時点で、相手は“戦争”する気満々だったんだと思うがな。それを回避しようとして、ナマエの母親は【指環】に飲まれて死ぬ道を選ばざるを得なかった。違うか?」
確かめるようにクロロはハヤテとホノカを交互に見た。
一瞬呆気にとられたホノカだったが、すぐにその表情を真剣なものへと変えた。
「“人間”にしておくには勿体ない頭脳をお持ちでございますわね。確かに、貴方様の仰る通りでございます。先代は“戦争”を回避するために【指環】の力に縋ったのでございます。ワタクシ達を召喚すれば良かったものの、先代はワタクシ達を巻き込みたくなかったのでございましょう。結局はお一人の……ご自身の【念能力】のみで“魔女”達に立ち向かい、そして“指環”に飲まれこの世をお去りになりました」
「異変に気付いたワタシ達はすぐに自分の配下のモノを向かわせたんですがねェ……【指環】に飲まれてしまっては、流石にワタシ達“精霊”でも手出しが出来ないんですよォ」
「……何故?」
「自分達は――例え姿形が変わっていようと、主の命には逆らえないのです。異形のモノになり果ててなお、先代は『手出しはするな』と仰られました」
「主の“命令”は絶対って事か」
「そうです。それはカゲロウ様もよくご存じかと……」
長い睫毛を伏せながら、レイはカゲロウに向かって言葉を放った。
「あの場にいたカゲロウ様が一番ご存じのハズです。あたし達が来る前にナマエ様を連れて逃げ遂せた貴方様なら――」
「分かっている……ソレは幼かったとはいえ、吾輩が先代から受けた最初で最後の“命令”だからな」
苦虫を噛み潰したような顔で言うカゲロウを見て、ナマエは朧気にしか覚えていない記憶の糸を手繰り寄せた。
「カゲロウ!逃げなさい!!ナマエを連れて、早くここから逃げなさい!!」
「嫌だ……嫌だ嫌だ!父上に代わって、吾輩が小母上を護るんだ!!」
「カゲロウ、私のことを思ってくれるなら――どうかナマエを護って。そして……【エラトー】の血を……【Fate】の存在を護って!これは“命令”よ!さぁ、早く行きなさい!!私もそう長く持たないわ」
徐々に記憶が鮮明になってきたナマエの瞳からは、一粒の涙が零れ落ちた。
「お母……さん……」
「ずっと……ずっと記憶の奥底に封印されていらしたのですね、ナマエ様」
「吾輩が思い出させないようにしてきたんだ……すまない、ナマエ」
カゲロウは膝をつき、苦々しい表情で呟いた。
何かを思いついたのか、クロロは顎に手を当ててナマエを見つめた。
クロロの視線の先にいるのは怪訝な顔をしているナマエ。
そんな彼女を、その場にいるモノ達は黙って見つめた。
「あくまでも仮定の話だが……」
暫く沈黙が続いた中、クロロは結論を見出した。
「お前達の言う【Fate】とは、“妖精”やら“精霊”やらが望む“世界”その物を指している。そして、そんな“世界”を創れるのが【エラトー】の血を受け継いでいるナマエ、お前だ。お前達の血脈は“平穏な世界”を創るという“制約”でもって、“人外”の“力”を借りるという“誓約”を得ている。しかしながら、ソレを良しとしないモノ達がお前の母親を手にかけた。混沌や諍いを好む奴等が、平穏を望むワケがない。そう考えると、結論はただ一つ。コイツが面白がっているのは――これから起こるであろう“戦争”だ」
チラリとハヤテに視線を向けるも、クロロはすぐにナマエに視線を戻して言い切った。
「せ……“戦争”っ!?ちょっと!なんでそんな大事になってくんだよ?!」
「大事か?そもそも、ナマエの母親と狼男の父親を殺した時点で、相手は“戦争”する気満々だったんだと思うがな。それを回避しようとして、ナマエの母親は【指環】に飲まれて死ぬ道を選ばざるを得なかった。違うか?」
確かめるようにクロロはハヤテとホノカを交互に見た。
一瞬呆気にとられたホノカだったが、すぐにその表情を真剣なものへと変えた。
「“人間”にしておくには勿体ない頭脳をお持ちでございますわね。確かに、貴方様の仰る通りでございます。先代は“戦争”を回避するために【指環】の力に縋ったのでございます。ワタクシ達を召喚すれば良かったものの、先代はワタクシ達を巻き込みたくなかったのでございましょう。結局はお一人の……ご自身の【念能力】のみで“魔女”達に立ち向かい、そして“指環”に飲まれこの世をお去りになりました」
「異変に気付いたワタシ達はすぐに自分の配下のモノを向かわせたんですがねェ……【指環】に飲まれてしまっては、流石にワタシ達“精霊”でも手出しが出来ないんですよォ」
「……何故?」
「自分達は――例え姿形が変わっていようと、主の命には逆らえないのです。異形のモノになり果ててなお、先代は『手出しはするな』と仰られました」
「主の“命令”は絶対って事か」
「そうです。それはカゲロウ様もよくご存じかと……」
長い睫毛を伏せながら、レイはカゲロウに向かって言葉を放った。
「あの場にいたカゲロウ様が一番ご存じのハズです。あたし達が来る前にナマエ様を連れて逃げ遂せた貴方様なら――」
「分かっている……ソレは幼かったとはいえ、吾輩が先代から受けた最初で最後の“命令”だからな」
苦虫を噛み潰したような顔で言うカゲロウを見て、ナマエは朧気にしか覚えていない記憶の糸を手繰り寄せた。
「カゲロウ!逃げなさい!!ナマエを連れて、早くここから逃げなさい!!」
「嫌だ……嫌だ嫌だ!父上に代わって、吾輩が小母上を護るんだ!!」
「カゲロウ、私のことを思ってくれるなら――どうかナマエを護って。そして……【エラトー】の血を……【Fate】の存在を護って!これは“命令”よ!さぁ、早く行きなさい!!私もそう長く持たないわ」
徐々に記憶が鮮明になってきたナマエの瞳からは、一粒の涙が零れ落ちた。
「お母……さん……」
「ずっと……ずっと記憶の奥底に封印されていらしたのですね、ナマエ様」
「吾輩が思い出させないようにしてきたんだ……すまない、ナマエ」
カゲロウは膝をつき、苦々しい表情で呟いた。