精霊
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カゲロウはナマエの言葉に慌てた。
「さようでございますわ。貴女様から発せられている“気”は先代を遥かに凌いでおられます」
「貴女も……貴女もお母さんを知ってるの?ホノカ」
「もちろん存じ上げておりますわ。先代も貴女様と同じように、こうしてこの山を訪れた事がございますもの」
ホノカは語った。先代――ナマエの母がこの地を訪れた時の事を。
「……そう。お母さんもここに来て貴女に会ったことがあるんだね」
「えぇ。今の貴女様と同じ位の年頃に、先々代に連れられここに参りましたの。その時はまだ【能力者】でも【Fate】でもない、ただの“人間”でしたわ」
「ただの“人間”がこの活火山を登ってきたというのか?!」
「さようにございます。しかしながら、先代には最たる素質がございました」
「先代は元々異質でしたからねェ。ワタシ達“人外”を見ても驚かず、逆に懐いておいでだったんですよォ」
「父上と我輩の事も、何の疑問も持たずに受け入れて下さった理由がソレだったのか……」
ざわつくクロロ達とは正反対に、ホノカは微笑みながら続けた。
「通常はこの火山に登るためには必要な【能力】があって然るべきなのです。ですが、先代はその内に秘めたる“お力”のみで登って来られました。最初はそんな先代を連れて来られた先々代を快く思っておりませんでしたが……先代はワタクシを見るなり仰ったのです。誰にも明かしていない、ワタクシの真名を」
「そもそも、真名とは何なんだ?」
「ワタクシ達“人外”の種族名ではなく個々の名前にございます」
「真名を呼ばれる事は、即ち従者となる事ですからねェ。ワタシも驚きましたよォ。気紛れで“人間”に化けて生きていた事があるんですがねェ……幼子からいきなり偽名ではなく真名で呼ばれたんですから、そりゃあもうビックリしましたよォ」
「自ら忠誠を誓うと決めぬ限り、自分達は真名を明かしません」
「なるほどな。つまりは――お前らは本名を呼ばれることによって縛られる。そういう事なんだな?」
「少し違います。あたし達はあくまでナマエ様にお仕えする事を選んだからこそ、真名を呼ばれてその“力”をお貸しする事を決めたのです」
少しずつではあるが、目の前にいる“人外”達の言葉にクロロは思考を巡らせた。
“妖精”や“精霊”と呼ばれるモノ達には、通り名である種族名とは別に真名という個別の名前がある。
例えその真名を知られ呼ばれようとも、自身が主と認めない限りは“力”を貸すことはしない。
真名を明かした上で相手の力量を測り、そうして認めた場合にだけ何らかの形で自身の“力”を貸し与えるのだろう。
「そんなに難しい顔をして、如何なされましたか?」
ホノカが眉間に皺を寄せているクロロの顔を覗き込みながら心配そうに声をかけた。
「いや……アンタ達の忠誠心っていうのか?ソレがよく解らなくてな」
「ウフフ、“人間”は難く考えすぎですわ。ワタクシ共は皆、ただただ平穏に暮らしたいのです。そのために何をすべきなのか……それを一番に理解しているのがイサク殿なのでございます。そんなイサク殿がお認めになったというのであれば、ワタクシは何も言う事はございませんわ」
「そう、ワタシ達が望むのはただ一つなのさァ」
「無益な殺生や争いを起こさず、むやみやたらに“人間”に害をなさない」
「それって……」
「そうです。【Fate】の在り方があたし達の理想そのものなのです」
「ワタクシ達の“願い”……それを叶えようとしてくださったのが先代なのでございます」
「まァ、それでも“人間”に害意を持つモノも多いんですがねェ」
ケラケラと笑いながら、ハヤテは眼を細めた。
「随分と面白そうだねぇ、ハヤテ」
「そりゃぁもう、面白くて面白くて仕方がないですよォ?お嬢様」
「……ふむ」
「さようでございますわ。貴女様から発せられている“気”は先代を遥かに凌いでおられます」
「貴女も……貴女もお母さんを知ってるの?ホノカ」
「もちろん存じ上げておりますわ。先代も貴女様と同じように、こうしてこの山を訪れた事がございますもの」
ホノカは語った。先代――ナマエの母がこの地を訪れた時の事を。
「……そう。お母さんもここに来て貴女に会ったことがあるんだね」
「えぇ。今の貴女様と同じ位の年頃に、先々代に連れられここに参りましたの。その時はまだ【能力者】でも【Fate】でもない、ただの“人間”でしたわ」
「ただの“人間”がこの活火山を登ってきたというのか?!」
「さようにございます。しかしながら、先代には最たる素質がございました」
「先代は元々異質でしたからねェ。ワタシ達“人外”を見ても驚かず、逆に懐いておいでだったんですよォ」
「父上と我輩の事も、何の疑問も持たずに受け入れて下さった理由がソレだったのか……」
ざわつくクロロ達とは正反対に、ホノカは微笑みながら続けた。
「通常はこの火山に登るためには必要な【能力】があって然るべきなのです。ですが、先代はその内に秘めたる“お力”のみで登って来られました。最初はそんな先代を連れて来られた先々代を快く思っておりませんでしたが……先代はワタクシを見るなり仰ったのです。誰にも明かしていない、ワタクシの真名を」
「そもそも、真名とは何なんだ?」
「ワタクシ達“人外”の種族名ではなく個々の名前にございます」
「真名を呼ばれる事は、即ち従者となる事ですからねェ。ワタシも驚きましたよォ。気紛れで“人間”に化けて生きていた事があるんですがねェ……幼子からいきなり偽名ではなく真名で呼ばれたんですから、そりゃあもうビックリしましたよォ」
「自ら忠誠を誓うと決めぬ限り、自分達は真名を明かしません」
「なるほどな。つまりは――お前らは本名を呼ばれることによって縛られる。そういう事なんだな?」
「少し違います。あたし達はあくまでナマエ様にお仕えする事を選んだからこそ、真名を呼ばれてその“力”をお貸しする事を決めたのです」
少しずつではあるが、目の前にいる“人外”達の言葉にクロロは思考を巡らせた。
“妖精”や“精霊”と呼ばれるモノ達には、通り名である種族名とは別に真名という個別の名前がある。
例えその真名を知られ呼ばれようとも、自身が主と認めない限りは“力”を貸すことはしない。
真名を明かした上で相手の力量を測り、そうして認めた場合にだけ何らかの形で自身の“力”を貸し与えるのだろう。
「そんなに難しい顔をして、如何なされましたか?」
ホノカが眉間に皺を寄せているクロロの顔を覗き込みながら心配そうに声をかけた。
「いや……アンタ達の忠誠心っていうのか?ソレがよく解らなくてな」
「ウフフ、“人間”は難く考えすぎですわ。ワタクシ共は皆、ただただ平穏に暮らしたいのです。そのために何をすべきなのか……それを一番に理解しているのがイサク殿なのでございます。そんなイサク殿がお認めになったというのであれば、ワタクシは何も言う事はございませんわ」
「そう、ワタシ達が望むのはただ一つなのさァ」
「無益な殺生や争いを起こさず、むやみやたらに“人間”に害をなさない」
「それって……」
「そうです。【Fate】の在り方があたし達の理想そのものなのです」
「ワタクシ達の“願い”……それを叶えようとしてくださったのが先代なのでございます」
「まァ、それでも“人間”に害意を持つモノも多いんですがねェ」
ケラケラと笑いながら、ハヤテは眼を細めた。
「随分と面白そうだねぇ、ハヤテ」
「そりゃぁもう、面白くて面白くて仕方がないですよォ?お嬢様」
「……ふむ」