精霊
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「なんですか?ベヒモス様!」
「各地に伝令を出せ。我等が“力”は全て、この新たな守護者殿の物だとな」
「「「はいっ!」」」
「さて――新たな守護者殿にワシより僅かながら祝福を授けようぞ」
「祝福……ですか?」
「左様。利き手を出してくれぬか」
「はぁ……」
イサクに言われるがまま、ナマエは自身の利き手を持ち上げた。
「我等【大地】の守護を汝に与えよう」
そう言いながらイサクがナマエの手を取ると、柔らかな光がその手を覆った。
やがてその光が収束すると、手首に琥珀で出来た腕輪が嵌っていた。
「これ……は?」
「ワシの杖と同年代の琥珀で出来ておる腕輪じゃ。どんな【火】にも、この腕輪を溶かすことは出来ぬ。故に、“魔女”共が使う【火】の“魔法”からお主を護ってくれるじゃろう。本当なら、ワシもジンやフェンリルのようにお主に同行したいのじゃがな……何せ老いぼれの身。足手まといになるのが関の山というものじゃ」
「そんな……足手まといだなんて!」
「ワシもそろそろ世代交代間近の身じゃて。もう人里に下りていく“力”もないのじゃよ」
どことなく哀愁を漂わせながら言うイサク。そんな彼の表情から、ナマエは嘘ではないと理解しそれ以上何も言わなかった。
「ところで……そちらの御仁は“人間”の様じゃが――何故ワシ等の棲家へ足を踏み入れたのかね?」
「オレはナマエの事を知りたい。ナマエが本当は何者なのか、何故歌い続けるのか。それを知りたくて一緒にいる」
「惚れておるのじゃな?」
「そうだな。オレはナマエに惚れている。本人には嫌われているけどね」
なんともないといった風に、クロロはイサクの問いに答えた。
イサクはそんなクロロを気に入ったのか、頬を緩めた。
「ほっほっほ。何があったかは知らぬが、お主の思いは必ず届くとも。少なくとも、ワシ等の主となった新たな守護者殿は心狭き者ではないからのぅ」
「ちょっ……えっ?!」
「守護者殿はこの大地の様に寛大なお心を持っておいでだ。それは先代から受け継がれし【エラトー】様のお姿にも現れておる。いや……先代以上に【エラトー】様本来のお姿に近しい」
「ちょっと待ってください、ベヒモス様!」
「守護者殿。ワシの事は“イサク”と呼んでくだされ。ワシは守護者殿の配下となったのじゃ。どうか真名(マナ)で呼んで欲しいのじゃよ」
「しかしッ――」
「老い先短い年寄りの願いじゃ。叶えてはくれんかいのう?それに、その話し方も守護者殿の素ではなかろう?気遣いは無用じゃ。普段通りにワシに接してはくれんか?」
「……ハァ。分かったよ、イサク。でも、私は貴方が言う様な出来た人間じゃない。今まで何度もこの【指環】に飲まれそうになってきた。つい最近だってそう。フェンリル――カゲロウをクロロ達に傷つけられて暴走しそうになった事だってあるんだ」
「【指環】は“欲の塊”じゃからのう。ワシ等“精霊”と違い、“人間”は欲深すぎる。故にその【指環】が生まれた。本来ならば正当な手順を踏んで継承してこそ、真の“力”が発揮される物。じゃが、ここ数百年は手順などお構いなしに主人を変えている。俗物に塗れてしもうたが故に、【悪魔の指環】などという俗名がついたのじゃ」
イサクが語る【指環】の歴史。“人間”の“欲”が生み出した異物。自ら主を選び、善悪関係なくその“力”を振るう意思を持ったモノ。そんな恐ろしいモノが、今自身の元にあるという事を改めて思い知り、ナマエは背筋が凍った。
「なに、畏怖することなぞない。守護者殿の元にある限り、その【指環】は【エラトー】様が“力”を制御してくださる。守護者殿は己が信念を貫き通すが良かろうて」
「爺さん」
「何じゃ?」
「率直な意見を聞きたい。オレはナマエにとって足手まといになるか?」
「ふむ……」
イサクは目を細めてクロロを見遣った。
「お主、俗に言う【能力者】じゃろう?」
「あぁ」
「なる程のぅ……」
「各地に伝令を出せ。我等が“力”は全て、この新たな守護者殿の物だとな」
「「「はいっ!」」」
「さて――新たな守護者殿にワシより僅かながら祝福を授けようぞ」
「祝福……ですか?」
「左様。利き手を出してくれぬか」
「はぁ……」
イサクに言われるがまま、ナマエは自身の利き手を持ち上げた。
「我等【大地】の守護を汝に与えよう」
そう言いながらイサクがナマエの手を取ると、柔らかな光がその手を覆った。
やがてその光が収束すると、手首に琥珀で出来た腕輪が嵌っていた。
「これ……は?」
「ワシの杖と同年代の琥珀で出来ておる腕輪じゃ。どんな【火】にも、この腕輪を溶かすことは出来ぬ。故に、“魔女”共が使う【火】の“魔法”からお主を護ってくれるじゃろう。本当なら、ワシもジンやフェンリルのようにお主に同行したいのじゃがな……何せ老いぼれの身。足手まといになるのが関の山というものじゃ」
「そんな……足手まといだなんて!」
「ワシもそろそろ世代交代間近の身じゃて。もう人里に下りていく“力”もないのじゃよ」
どことなく哀愁を漂わせながら言うイサク。そんな彼の表情から、ナマエは嘘ではないと理解しそれ以上何も言わなかった。
「ところで……そちらの御仁は“人間”の様じゃが――何故ワシ等の棲家へ足を踏み入れたのかね?」
「オレはナマエの事を知りたい。ナマエが本当は何者なのか、何故歌い続けるのか。それを知りたくて一緒にいる」
「惚れておるのじゃな?」
「そうだな。オレはナマエに惚れている。本人には嫌われているけどね」
なんともないといった風に、クロロはイサクの問いに答えた。
イサクはそんなクロロを気に入ったのか、頬を緩めた。
「ほっほっほ。何があったかは知らぬが、お主の思いは必ず届くとも。少なくとも、ワシ等の主となった新たな守護者殿は心狭き者ではないからのぅ」
「ちょっ……えっ?!」
「守護者殿はこの大地の様に寛大なお心を持っておいでだ。それは先代から受け継がれし【エラトー】様のお姿にも現れておる。いや……先代以上に【エラトー】様本来のお姿に近しい」
「ちょっと待ってください、ベヒモス様!」
「守護者殿。ワシの事は“イサク”と呼んでくだされ。ワシは守護者殿の配下となったのじゃ。どうか真名(マナ)で呼んで欲しいのじゃよ」
「しかしッ――」
「老い先短い年寄りの願いじゃ。叶えてはくれんかいのう?それに、その話し方も守護者殿の素ではなかろう?気遣いは無用じゃ。普段通りにワシに接してはくれんか?」
「……ハァ。分かったよ、イサク。でも、私は貴方が言う様な出来た人間じゃない。今まで何度もこの【指環】に飲まれそうになってきた。つい最近だってそう。フェンリル――カゲロウをクロロ達に傷つけられて暴走しそうになった事だってあるんだ」
「【指環】は“欲の塊”じゃからのう。ワシ等“精霊”と違い、“人間”は欲深すぎる。故にその【指環】が生まれた。本来ならば正当な手順を踏んで継承してこそ、真の“力”が発揮される物。じゃが、ここ数百年は手順などお構いなしに主人を変えている。俗物に塗れてしもうたが故に、【悪魔の指環】などという俗名がついたのじゃ」
イサクが語る【指環】の歴史。“人間”の“欲”が生み出した異物。自ら主を選び、善悪関係なくその“力”を振るう意思を持ったモノ。そんな恐ろしいモノが、今自身の元にあるという事を改めて思い知り、ナマエは背筋が凍った。
「なに、畏怖することなぞない。守護者殿の元にある限り、その【指環】は【エラトー】様が“力”を制御してくださる。守護者殿は己が信念を貫き通すが良かろうて」
「爺さん」
「何じゃ?」
「率直な意見を聞きたい。オレはナマエにとって足手まといになるか?」
「ふむ……」
イサクは目を細めてクロロを見遣った。
「お主、俗に言う【能力者】じゃろう?」
「あぁ」
「なる程のぅ……」